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営業が知っておきたい「あふれる営業Tipsのサバき方」 〜手段は一つでないけど、答えは一つな営業〜

#営業アドベント2021 15日目の #note になります。名だたる営業の方に混ざって昨年の初参加「人生に使える営業術」に引き続き、2度目の参加をさせていただきます。

今回書くこと & ところであんた誰?

さて今回は「巷に飛び交う営業Tipsとの付き合い方」についてお伝えしたいと思います。昨今の「営業手法(Tips)」が溢れる環境が恵まれていると思う一方、情報が飛び交う中で頭でっかちになったり、情報迷子になっているという営業パーソンの方もいるのではないかと思ったからです。

ちょっと整理しきれず無駄に長めになり、全部読むのも大変なので「太字の部分」だけ読んだら、半分以下の文量であらましがわかるようになってます 笑 ので、まずはざっと読んでもらい、気になるところは、より読んでもらう的な使い方をしていただければ幸いです。

オマケ的にあちこちに「こぼれ話」入れました
(興味があるもの以外、飛ばしてもらって大丈夫です)

①私たちがエンタープライズ営業を強化した方法
②「THE MODEL」の本質とは
③2年半で「時短メンバーがオンライン商談で1000施設獲得」できた理由
④「集客効果がないグルメサイト」の売り方
⑤なぜ私たちがお客様ひとりひとりに、なるべく労力をかけないことが「顧客視点」なのか
⑥お客様が誰かを確認し、お客様を絞ったら売上が上がった話
⑦新卒を2年で営業の達人に!? コドモンの新しいチャレンジ

私は、20年弱、飲食店向けの営業をした後、現在は主に保育施設向けSaaS事業のセールス・マーケ部門の責任者をしています。子どもを取り巻く環境をテクノロジーの力でよりよいものにするべく、保育園、幼稚園、学童、小学校などの「こども施設」向けICTソフト「CoDMON(コドモン )」の普及に全力をかけています。

おかげさまで日本てもっとも使われている「こども施設向けICTソフト」です

学生時代の1999年から営業をはじめ、かれこれ20年以上営業に携わってます。そのうちマネージャーを18年勤めてきました。

私の詳しいキャリアはSalesZineさんがキレイにまとめてくれた記事があるのでそちらを見ていただくか、 私のProfieeをご覧ください。

(上記ツイートは各施策を詳しく書いたnoteにもつながっています)

成功手法がいっぱい。営業Tipsに溺れる時代

20年以上前の私が新人だった頃、昔は営業手法のノウハウは上司や先輩から教わったり、営業本を漁るしかありませんでした。それが今はSNSにより、営業で実績をあげた人たちが自分の持っている営業ノウハウを後進のために惜しみなくシェアしてくださることが増えました。

おかげさまで、自分もそれらを参考にすることで、困ったときや、未知のケースの対応をするときに活かせることも少なくありません。

一方で、中には私から見ると、再現性があるように思えない属人的で偶然的なTipsが発信されているケース(自戒も込めて)も少なくなく、ケースによってはそのまま取り入れると逆効果になるような、受け取り手側のリテラシーも問われるようになってきたと感じます。

そもそも営業手法の正解はひとつではなく、目的達成の手段は無数にあります。またそれが最適かどうかは、どんなお客様であるかや、どんな状況かによっても変わるのです。

したがって、「或る人は活動量が必要」と言っている一方で「或る人は質がない活動は意味がない」と言うなど、発信されている営業Tips同士が矛盾しているように見えたり、真逆のことが同時期に情報発信されるケースも少なくなく、混乱される方もいるのではないかと思います。

非常識!?な「コドモン流の営業手法」

さらに混乱させてしまうかもしれませんが、私たちコドモンが採用している手法(下記)も一見すると、今まで言われてきた営業セオリーとは真逆かつ昨日までの営業アドベント参加の方々が発信しているnoteと矛盾してるやんと思われるかもしれません。

コドモン流の営業手法

お客様先に行かない。足繁く通わない
営業担当が1人で最後まで責任を持たない
いつもどんなお客様にも全員が同じご案内をする
お客様より多く話す。冒頭はヒヤリングせず一方的に話す
お客様の発言を切り返さないようにする
お客様のために仕事しない

※下線のあるものはそれについて書かれたnoteに飛びます

これら巷で営業Tipsとしてさまざまな人が発信している情報も、非常識な営業手法に見える私たちの手法も、実は根本は一つと聞いたら驚かれるでしょうか。またよく言われるSMBか、エンタープライズ営業かに関しても手法は異なれど、根本は同じく一つだと思っています。

ではこれから世の中にあるさまざまな情報の中から①「再現性ある営業Tips」を見極め、②「それらを活用できる最適な手法」を見つけるステップをお伝えします。この二つができると、世の中に溢れる情報や常識にとらわれず、思考停止せず、自社に最適な手法を見いだせるはずです。

ステップ① まずは「再現性ある営業Tips」を見極める

まず先により再現性あるTipsを見つける有効な手段をご紹介します。そもそもなぜ再現性が重要かというと、属人性の高いTipsと違い、再現性があるTipsのほうが自らやチーム全体で活用できる可能性が高いからです。

再現性あるTipsの見つけ方としては「同じテーマに基づいて情報を集め、共通するエッセンスを見つける」という方法がオススメです。共通する最大公約数の部分が再現性が高いのだろうと推測できるからです。

こぼれ話①
私たちがエンタープライズ営業を強化した方法

自社にエンタープライズ営業の経験者がおらず、大手法人営業の知見が足りていないなと感じていた時に、まず私が行ったことは世の中にあるエンプラ営業に関するnoteや本をたくさん読み、その中で多くの人が発信している共通するエッセンスを絞り込むことでした。

そうすると、成果を出している人がある共通のエッセンスを発信していることに気づきました。そして、その共通エッセンスを体系的にまとめて発信している人にアドバイザーになっていただきました。こうしてチームに足りなかった知見を早期に獲得できました。

ちなみにビジネス本によって新しい知見を得るときも同様の手法を取っていて、新しいテーマや未知のテーマに取り組む時には、同じテーマの本やその書評を多読して、「共通項」を再現性がある本質な部分であると見極めています。

その際、気をつけるべきは表面的な枝葉のノウハウの部分だけではなく、必ずその「営業手法の意図や考え方」など根本にあるものを見ることが大切です。

こぼれ話②
「THE MODEL」の本質とは


私は「THE MODEL」の本質は「インサイド/フィールド/カスタマーサクセスに分業すること」自体ではないと思っていますので、そのまま自社に採用すると失敗するケースもあるのではないかと思います。

THE MODEL」の本質は「自分たちのお客様が最大限にメリットを享受できる分業体制(リソース配分)を組みましょう」だと思っていますので、分業自体やその切り分けの仕方を否定してもあまり意味はなく、自社に合わせてその切り分け方を変えたり、そもそも分業するべきかはそれぞれがチューニングすべきだと思っています。

※著者の福田さん自体もそのままはダメだと言及されています

コドモンのインサイドセールス=商談・成約する人です

こぼれ話③
2年半で「時短メンバーがオンライン商談で1000施設獲得」できた理由

ちなみに私たちコドモンでは自分たちのお客様が最大限にメリットを享受できる分業体制を作ることを突きつめ、1回のオンライン商談で受注できることがわかったので「インサイドセールスチームの役割はオンライン商談しクロージングまで行う」ようにしたり、また営業が商談に集中できるよう商談以外の業務を行う独自のデスクチームを配置する体制をとったりと「The Model」で示された切り分けに囚われず、自社に適した体制を目指しました。

結果、配置前に比べて受注を倍増することできました。さらにその後もブラッシュアップを続けた結果、先日、うちのあるインサイドセールスのメンバーは、子育てのために時短勤務をしているという制約がありながら、入社2年半でひとりでついに累計1000施設の契約獲得を突破しました。(ちなみに同時期に入ったメンバーも900施設近く獲得しているので再現性もバッチリです)

同様にまた機会があれば書きたい内容ですが、うちのチームには子育てや介護などご家庭の都合で時短勤務をしているメンバーが多いのですが、共創体制とも言えるスムーズな分業によって時間制約を感じさせないほど、皆エースとして活躍してくれています。

これらは通常では考えにくい驚くべきパフォーマンスであり、The Modelそのままを取り入れていたら成し遂げられていません。

ステップ② 「活用できる営業手法を見つける」

再現性がありそうなTipsが見つかったとします。しかし、いろんな営業手法があり、またそれを行った結果の実績があふれる中、次は「営業Tipsが活用できるか」という判断です。

 活用できるかどうかの答えにたどり着くには「営業のゴール」とそこに導く「3つの要素」が鍵となります。もちろんいろんな考えがありますが、私の考えとしては、

営業のゴールは

「正しい相手」と 「正しい価値」について「合意」すること

だと思います。

そして突き詰めると、そのゴールを達成するために必要な要素は下記の3つに集約できるのかなと思います。

「誰に」×「どんな価値を」×「どうやって」

「どうやって」

あえて逆の順番で一つずつ、まず「どうやって」からご紹介していきます。世の中に溢れる営業Tips、ナレッジの多くはこの「どうやって(how)」にあたります。

しかし、数多ある「どうやって(how)」を集めても、それが自社に活用できるかは判断できません。それは後述する「誰に」「どんな価値を」と組み合わせて考えて初めて「どうやって伝える」の最適な方法が見つけられるからです。

また「どうやって」にはそこにかかる労力の観点も重要です。当然、営業リソースは有限なので、無数にある「しないよりしたほうがいい手法」に手を回していたら、いくらあってもリソースが足りません。

きちんと「労力に見合う手法なのか」という軸でも見て、「本当に必要があるか」の見極めが必要だと思います。

「どんな価値」

どんなサービスでも「価値」はあります。また、その見方によっても価値は変わります。自社の商品やサービスを多面的な見方で見てみましょう。同じ商品でも別の切り口の価値を見つけて売れるようになったものはたくさんあります。

また単品の商品・サービスだけで価値提供が難しければ、他の商品、場合によっては他社サービスと組み合わせて提案することで価値を高める方法もあります。

一方で営業にありがちなのは営業のサガとして「売ること自体が目的化」してしまい、どんな時でも売ろうとしてしまうことですが、こちらが提示した価値に合意できない相手に売っても誰にもメリットがなく、何の意味もありません。

価値が合意できないと見極めて「あえて売らないという選択」をするのも営業の大切な仕事の一つです。誰かの何らかの課題を解決できてこそ「価値の合意」ができます。

うちでは営業成績が悪くても怒られませんが、価値の合意ができていないお客様と契約すると私にこっぴどく怒られます。(もうそんな人はうちにはいないですが)

こぼれ話④
「集客効果がないグルメサイト」の売り方

私がグルメサイトの営業をしていた時にはあえて商談冒頭に「(お客様が求めるような)効果は全然ないです」とお伝えして売っていました。それは当時、お客様から常に求められていた「グルメサイト=大量に集客できる広告」という価値とは合意できない自社サービスだったからです。

「私たちのサービスは集客 ”量” ではなく、送客絶対数は少なくとも、リピーターや常連になってくれるような ”良質なお客様を送客する” ものです」と根拠となるデータを示しながら、お客様が当初に浮かべる価値とは異なっても、別の課題解決やニーズに応えられる「自社ならではの価値」をご案内することで、その価値を感じたお客様に買っていただいてました。

どんなサービスも何らかの価値はあります。そしてそれを合意してくれるお客様は「誰か」を探せば満足いただけます。

「誰に」

新規か既存か?、個人?企業であれば中小?大手?、  オーナー代表?管理者?担当者?  職業や業界?といった軸でお客様が「誰か」によって最適解は変わります

売らなければいけない価値が「これ」と決められている場合でも、「誰に」を変えることで売れることはよくあります。

また見落としがちなのが、合意するべきお客様が「多くのお客様に広く」なのか「少ないお客様と深く」なのかという軸です。ここによっても最適な手段が変わってきます。「多くのお客様に広く」が求められる場合には、限られたリソースの中で対応せざるを得ません。

そのため、お客様に対し、「本当に受注するために必要な対応か?」それとも「やらないよりやったほうがいいレベル対応か?」の見極めが必要です。

こぼれ話⑤
なぜ私たちがお客様ひとりひとりに、なるべく労力をかけないことが「顧客視点」なのか

例えば、大手法人営業など、少ないお客様をより深耕してアップセル/クロスセル含め大型受注を仕掛けていくような営業の場合は、一撃必中になるようよりお客様にリソースを集中的にかけることができます。その場合、「商談準備」「顧客理解に注力する」「お客様との関係づくりをする」「お客様に適した提案作り」などにより多くの時間をかけることが有効でしょう。

しかし、私たちのように新規開拓よりで「より多くのお客様と合意すること」を求められる場合はどうでしょうか。目の前のお客様だけに時間と力をかけてしまうと、次や、その次に控える「これからご案内するお客様」にご迷惑をおかけしてしまうのです。そもそもご案内できないのであればどんなに最適なプランを用意しても受注はできません。

したがって、私たちの場合は「お客様をお待たせしないこと」を最優先とし、どんなお客様にもある程度当てはまる共通項な提案づくりをして、一見非常識な「常に同じご案内をする」ことに振り切っています。そうすることで、より多くのお客様により早くご案内できるよう、誰でも一定の水準でご案内できる体制を組むことを重視しています。

どちらが正解ということではなく、お客様が誰かによって変わります。

私たちは「誰に」向けた営業なのか忘れないために商談ブースにお客様の写真を貼っています

「売れる仕組みづくり」「答えを見つける方法」は一つ

今までお伝えしてきたように一見、手段としては真逆や無数に見えても、シンプルに営業を組み立てるフレームワークとしては「誰に」「どんな価値を」「どうやって」を軸にチューニングするという一つになると思います。

そして、正しくチューニングの精度を高める方法も一つ

常に答えは「お客様」が持っている

長年、営業をやってきたことを振り返ってみても、「誰が喜んでくれたか」「何に価値を感じてくれたか」「どんな方法が伝わりやすかったか」は、いつでも答えはお客様が持っていました。

困った時は大抵、「買っていただいたお客様」や「断られたお客様」に聞いたり、傾向を分析したりすることで答えが見つかりました。

こぼれ話⑥
お客様が誰かを確認し、お客様を絞ったら売上が上がった話

私の支援先でAとBという特徴を持った企業がありました。当初彼らはAの価値が刺さるお客様にも、Bが刺さるお客様にも、AB両方にも刺さるお客様にも売りたいとご案内していました。しかしその結果、売り方もその後のフォローも定まらず、ブラッシュアップができていませんでした。

そこで私は既存のお客様が満足度が高いのはAかBかの確認をお願いし、Aという答えが出たので、まずはAに満足を頂きやすいお客様のみに絞ってご案内し、そこに付加価値としてBを提案する形をお勧めしました。

結果、販売数は伸び、サポートも同じ価値に合意したお客様が増えたことでご案内のコストが減り、満足度は増えました。

「売れる仕組みづくり」の答えの導き出し方は、エンプラも、SMBも、新規もルートも、高額商品も定額商品も、根本は一緒だと思っています。

なーんだ、そんなことかとか、当たり前の話だよねと思われたかもしれませんが、その当たり前が出来ていないと、残念ながら売れません。

こぼれ話⑦
新卒を2年で営業の達人に!? コドモンの新しいチャレンジ
 

2年以上前から、数えきれないほど多くたくさんのお客様に同じ「売れる型」でひたすらご案内し受注してきた営業経験のあるメンバーがどうなったか。

格闘漫画で言う「基本の正しい型のパンチやキックをひたすらしていたら、実はかなり強くなってた」的に、知らぬ間に売れるための感覚が肌身に染み込み、ほぼ私と同じような感覚で「売れる仕組みづくり」ができるようになっていました。

では果たして、新卒の営業未経験者に同様にしてもらったら、どうなるか?が今後の挑戦です。すでに毎月20-30施設ペースで契約できている新卒メンバーが、2年後にどんな風に仕上がっているかが楽しみです。

「営業」ってもっと自由で、楽しくてもいいかも

長く「営業」に携わってきた身としては、営業に携わるさまざまな人たちが「営業」を考えるようになった結果、圧倒的に「営業」についての思考は深まって、高度化やロジカルな分析が進んでいるなと思っている反面、「こうあるべき」「こうしなくてはいけない」などと考えすぎて、自分たち自身で必要以上に難しく、取っ付きにくくしてしまっているのではと思います。

私にとっての「営業」のイメージはもっと広くて、言わば「商い」と同義に近い感覚で、プロフェッショナルかつ高度なコンサル的なものから、街のお店など客商売なども、広い意味で「営業」に含まれています。

「お客様が商品を深く理解しないと買ってくれない」なんてことがないのと同じように、営業に携わる人が必ずしも「営業とは」や「営業ナレッジ」を理解していないと売れないわけではないと思います。
(もちろん知らないよりかは知っているほうが良いとも思いますが)

Tipsや理論、KPIどうするかの前に、純粋にシンプルに【お客様が喜んでもらうにはどうすればいいのだろう】を常識にとらわれず、ひたすら追求するだけで、営業力も営業精度も上がります。

文法知らずに外国語話せるように、Tipsやナレッジは、むしろ日々の実体験の後付けで学んだほうが腹落ちしやすかったりもします。

もし巷に溢れるいろんな人のいろんな知見をたくさん見て、頭の中が混乱してうわーとなってしまっている人がいたら、一旦まずはシンプルに目の前の「お客様」に目を向けてはいかがでしょうか。

常に答えは「お客様」が持っていますので。

長文、駄文読んでいただきありがとうございました。

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