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三体Ⅰの感想とレビュー。SF小説の最高傑作の呼び声高い!映像化は確実な面白さ

 三体Ⅰなので三部作の序章を読んだところです。にも関わらず、もうすでに「めちゃくちゃ面白い」ものでした。SF好きには堪らない展開で、現実の世界と物理世界、そしてはっきりし始めるゲーム「三体」の意味。

 ここから先は三体Ⅰのネタバレを含みますので未読の方は先に三体Ⅰをお楽しみ下さい。

最初は中国の文革あたりの知識あると良い

 本当の序盤を読む段階では「あれ?SFというよりも中国の文革あたりの歴史系?」と思うかもしれません。僕自身は中国の歴史に疎い方なので若干背景を理解するのに時間がかかってしまいました。

 もしかするとその辺りの知識が豊富な方が読むとスムーズに走って行けるのかもしれません。

 序盤が終わると一人の男に焦点が当てられて、これから起こるSF世界への窓が叩かれる感じで進んでいきます。まずポイントになるのは三体問題をベースとした文明が描かれるゲームの世界です。

三体問題を知らないと難しいのか

 この小説に登場する物理法則の肝と言えるのが「三体問題」になります。Wikipediaで確認しても「何だ?」となるかもしれませんが、完全に理解する必要はありません。

 要するにお互いに重力が作用する三つの点があった場合、その軌道は予想出来ないってことが分かればOKです。次の瞬間に三つの点がどこに動くか分からないってこと。

 これさえ分かっていれば一先ずは問題ありません。

三つの太陽が存在するゲーム

 三体問題を軽く理解した上で作中に出てくる「三つの太陽が存在する世界」をモチーフにしたゲームが出てきます。完全なるVRで体感も可能な近未来的なゲームですが、それをプレイする中で「三体問題を孕んだ三つの太陽が存在する恒星に住んでいるとどうなるか」という感覚が分かりやすく描かれています。

 簡単に言ってしまうと、三体問題という「次に三つの太陽がどの位置にいるのか分からない」という状況下での文明で「どのくらい暖かい期間、安定した太陽の出現が定期であるのか」が分からない世界だと考えて下さい。

 三つの太陽が遠くにあれば強烈な氷河期。また太陽がどのくらいの期間出てくるのかも、いつ出るのかも分からない。三つが近くに出現してしまえば地表は焼かれて、これも生きてはいけない。
 今の地球で考えるとあり得ない世界観なのが分かるはずです。一日で太陽の上げ下げがあり、そうならない場所でも、例えば白夜はどのくらい続くものという物理現象をもとにした予測可能な規則が存在します。

 完全に不規則に太陽が動き回る世界においてどうやって文明を作り上げていけばいいのかを読み進めていく面白さがあります。

 なぜこんなゲームが存在するのか。それが三体Ⅰでの終盤に明かされることになります。遂にSF感強まって胸が熱くなり始める部分と言えるでしょう。

終盤の智子が面白い

 本当の終盤に登場する三体人が作り出した智子(ソフォン)の発想が面白い。陽子レベルの極小物を高次元で折りたたむような不可解な描写がありますが、それは特に詳しく調べ上げて物理を知る必要もありません。この辺りは人間の持つ想像力で「そういうものがあるんだな」と思えば十分楽しめるものになります。

 その智子の役割がまた斬新なものです。三体人が地球に向かってくる間に四百年以上要することになります。
 人間の加速度的な技術の発展によって「今は技術で勝っているけれど」と いう三体人の考えが投影されて智子の発展と地球への導入が始まるくだり。

 地球人の技術が三体人が訪れるまでの四百年で自分たちを超えてしまうだろうと思っているのが非常にこの異星人対決の面白さを際立たせます。
 非常によく考えられていて、複雑で多角的な技術革新というものを作者の鋭敏な感覚値によって作り上げられた見事な世界観だと感じます。

 結果的に智子によって「地球文明の技術進化にストップがかかる」状況になってしまいます。果たして人類は四百年以上も後に訪れる三体人に立ち向かえる防衛体制を整えられるのか

 そういった戦闘準備に入る前段階を三体Ⅰでは描かれます。

 ワクワクが止まらない三体という物語に引き込まれて見て下さい。オススメです。

映像化ほぼ確実と言われている全世界で売れまくっている作品となります。是非とも読んで三体について語らってみて下さいね。


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