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わかるようでわからない「アフィリエイト」ってどんなもの?

島田 雄左
株式会社スタイル・エッジ 代表取締役社長
士業適正広告推進協議会 理事

アフィリエイトとは成果報酬型広告のこと

アフィリエイトという言葉を見聞きされたことのある方は多いと思います。ただ、このアフィリエイトについて具体的に説明を求められると「わかるようでわからない」といった反応をしばしば目にします。今回はこのアフィリエイトをテーマとしたコラムを書いていきたいと思います。

まずアフィリエイトとは、簡単に言えば、インターネットを利用した広告のひとつであり、成果報酬型広告と呼ばれていたりします。このアフィリエイトですが、これまでの「広告」とは根本的な違いがあります。

従来からある「広告」というものの性質として「枠」という考え方があります。たとえば駅前にある看板広告の「枠」が月額10万円で販売されていたとします。広告主はその「枠」を購入することで広告を掲載するわけです。

しかし、アフィリエイトでは「枠」に広告を掲載すること自体は無料であるケースが多いです。アフィリエイターと呼ばれる方々が、ご自身が運営するブログ等に広告主のサービスや商品のバナーを貼り、それらが売れた際や、申し込み等がなされた場合など設定された成果地点に対し成果が発生した時に初めて報酬が支払われる仕組みになっています。これがアフィリエイトが成果報酬型広告と呼ばれる所以です。

アフィリエイト(affiliate)のそもそもの意味が「~を提携させる、手を組ませる、加入する、系列会社、子会社」(出典:ジーニアス英和辞典 第5版)であることを踏まえると、上記の広告の仕組みがアフィリエイトと名付けられていることも納得できます。

ASP アフィリエイターをとりまとめる会社の誕生

このアフィリエイトは士業広告の世界でも広く活用されています。2000年に弁護士の業務広告が解禁されたことを皮切りに、各士業の広告に対する規制緩和がなされ、士業の世界でも広告出稿を望む方たちが増えています。

この「広告」の最終的な目的は集客ですが、集客以前に「ここに私の事務所があります」といった事務所の認知自体を向上させる必要があります。

多くのアフィリエイターに自社のバナーを貼ってもらえれば認知が広がるわけで、アフィリエイトは認知向上に非常に有効です。ただ、アフィリエイターの方々にひとりずつ連絡して「うちの事務所のバナーを貼ってくれませんか」と依頼・交渉するのは手間がかかります。

また、そもそも広告を掲載してくれるかどうかも定かではないですし、サービスへの申し込みがあった際の1件あたりの成果報酬をいくらに設定するかといった交渉も大変です。加えて弁護士の場合は紹介料の授受や報酬分配の禁止が定められていますから、その点からも個別の依頼・交渉は問題になりかねません。

このような背景の中、うまれたのがASPといわれる会社です。ASPとはアフィリエイト・サービス・プロバイダーの略であり、アフィリエイターをとりまとめる会社のことです。  

様々なASPがありますが、各社得意とする分野があります。たとえば「士業に強い」「金融に強い」「美容に強い」「旅行に強い」等々、ASPが抱えているアフィリエイターの方々により、各社強みが異なります。

ASPを通じたアフィリエイトを利用するメリット

ASPを通じたアフィリエイトを利用するメリットについて、士業広告を例にとって考えてみたいと思います。たとえば債務整理についてアフィリエイトを活用して集客したい場合、債務整理の案件と親和性の高いアフィリエイターの方々を多く擁する ASP を選び、予算や期間等の条件を提案して集客をしてくれませんかと依頼をかけるわけです。

その後、ASPは自社に登録している数千から数十万という数のアフィリエイターの方々に呼びかけ、広告の掲載を募ります。そして、数多くのブログやウェブサイト等に債務整理の広告が掲載されていきます。

このようにASPにまとめて依頼することで大幅な業務効率化が図れるわけです。これがひとつめの広告主側のアフィリエイトを活用するメリットです。

さらに、ASPに依頼することで1件あたり**円で集客を設定した案件に対し、どのくらいの問い合わせがきて、最終的に何件が正式な依頼とした成立したか、といった効果測定が非常にやりやすくなるといったメリットもあるわけです。

ただし、このメリットはあくまで広告主側における集客に限定した効果判断におけるそれであり、前記の弁護士倫理規定との関係で正式な依頼数と紐付けることはできませんので(それをすると成果報酬型=報酬配分と見なされる可能性が高い)、そこをきちんと理解し実践しているASPを選択することが肝要になります。

ルール遵守が行き届く管理をされているASPとのお付き合いを推奨

そして、ASPを通したアフィリエイトの活用にもリスクとなりうる点もあります。それは広告主側の管理が行き届かない点があるということです。

ASPを活用することにより、アフィリエイターを自分で探して依頼・交渉する手間を省くことができるわけですが、逆にASPがどういったアフィリエイターに広告掲載を依頼しているかまでは把握できません。

もちろん広告主とASPの間で広告出稿に関して「こういったルールでやってください」といった取り決めがあり、ASPはそれに従ってアフィリエイターを管理しているわけです。

一方でアフィリエイターにも様々な方がいまして、ちゃんとルールを守る方もいれば「少しくらいバレないだろう」と成果を求めるがあまりルール違反をしてしまう方も中にはいたりします。仮にそういったアフィリエイターを通じてルールに違反した広告が出稿された場合、広告主へのクレームとなる等、ブランドイメージが棄損されるリスクもあるわけです。

したがって、広告出稿の際には、ルールの遵守がしっかりと行き届く管理をされているASPとのお付き合いを推奨します。そのことにより、事務所の認知向上はもとより、大幅な業務効率化ならびに効果測定が容易になるといったアフィリエイトのメリットを最大限に享受できると感じています。

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