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秋の養生()

まだうだつのあがらない暑さが続きますが、暑さ寒さも彼岸まで。
季節の変わり目は体調を崩しやすいので季節の変わり目を迎える前に秋に備えられるよう、東洋医学の観点でお伝いできたらと思います。


夏に比べて湿気も少なくなり、涼しい秋は、過ごしやすい季節。
一方、同時にふとした時に寂しさを感じたり、意味もなく悲しくなるなど、こころのバランスが崩れやすい季節でもあります。

東洋医学でも、秋は「憂い」の季節といわれていて、気持ちが沈みやすい時季と言われています。

東洋医学の視点で考える秋とは

秋は乾燥しやすい季節です。
東洋医学では、秋を「燥(そう)」の季節として捉えます。
「燥邪」の影響を受けやすくなると考えられています。
「燥邪」の影響を最も受けやすいのは、「肝・心・脾・肺・腎」の五臓の中で「肺」といわれています。

東洋医学でいう「肺」は、臓器としての肺だけではないのです。
空気を取り入れる鼻や口や喉など呼吸器全般とそれらが持つ機能も含めたものを指します。
そして、肺は全身のすみずみまで「気」をスムーズに巡らせる重要な役割を担っています。

「肺」が弱ってしまうと、「気」を全身に広げることができません。
身体のバリア機能が弱まり、呼吸器系だけでなく、皮膚などにも不調が現れるのです。

例えば、咳、鼻水・鼻詰まり、肌荒れ、風邪をひきやすくなるなど免疫機能の低下等の症状が現れてきます。

憂いの季節”秋”

東洋医学では感情を「怒・喜・思・憂・恐」の五つに分類しています(五志)。
5つの感情は五臓によって統括されていると考えられています。
五志は五臓が管理しているので、五臓がしっかり働いていれば、精神状態も安定している状態になります。

怒(春)・喜(夏)・思(長夏”梅雨”)・憂(秋)・恐(冬)

五臓が傷んでしまうと、五志も大変不安定になってしまいます。
五臓の状態が良くても、感情の高ぶりが続いたり、ストレスなどの強い刺激を受けたりすると、五臓が傷ついて、様々な不調を引き起こしてしまうのです。

秋は五志における「憂い」の季節です。

「憂い」を管理する五臓は「肺」とされています。
肺が正常に機能しているときは、憂いの感情が優位に立つことはないのです。
しかし、秋の季節の「肺」は、乾燥によるダメージを受けやすい状態。
些細なことがきっかけで、「憂い」の感情が強く出てしまう。
強くなった「憂い」の感情が続くと、肺はストレスを感じてダメージを受けます。

肺が傷つけば気の巡りも滞り、強い倦怠感を感じたり、気力がなくなったりと、さらに強い「憂い」の感情に支配されがちになって、悪循環が生まれてしまいます。

秋は「憂い」が出やすい季節。
人肌が恋しくなったり、なんとなく気持ちも落ち込みがちなになるのは、秋という季節がそうさせているのであって、ご自身のせいではないとおもってください。
また、夏の疲れを引きずったまま秋を迎えると憂いの感情も出やすくなります。
秋に向けて今から無理をせずゆっくりと身体を休めましょう。

ストレスがかかっているときは、イライラして呼吸が浅くなりがちです。
呼吸が浅いと憂いの感情に支配されやすくなります。
気持ちが沈むと呼吸が浅く短くなります。
すると、全身の気の巡りが滞って、さらに気持ちが沈んでしまいます。

ストレス解消のヒント

① 軽い運動をする
秋は暑さも和らぎ、風も心地よく感じられる季節です。
ウォーキングやサイクリングなど、運動をすることで、新鮮な空気を取り込み、身体の中を巡らせてみましょ。
東洋医学では、「肺」と皮膚の関係が深いとされています。
心地よく吹く風が、皮膚に刺激を与えることで、「肺」の気を巡らせる機能を活性化してくれます。
しかし、身体の中には夏の酷暑の疲れが溜まっていますので、心地よいと感じる程度の運動にしましょう。

おすすめのツボ

・尺沢(しゃくたく)… 咳や鼻の症状、乾燥肌に。
ツボの場所
肘のシワの外側のくぼみにある『肺の流中』上にあるツボ。
ケアの仕方
ツボと反対の手で肘を包み込むようにして、親指でツボを押す。そのままゆっくりと下の腕を身体の方に引き寄せると、ツボに深く押し込まれます。


・膻中(だんちゅう)…  不安、胸の圧迫感に
ツボの場所
両方の乳頭を結んだ真ん中にあるツボ。
ケアの仕方
ピンポイントで押すと痛みがあったりもするので、ボディオイルやボディクリームを使用して、さするように優しくマッサージを。
お気に入りの香りを感じながら大きく息を吸ってみましょう。
両側の肩甲骨を中心に引き寄せるようして、深呼吸してましょう。


・内関(ないかん)…  ストレス、不眠、気持ちの落ち込みに。
ツボの場所
手首の一番深いシワから、肘に向かって指3本分上がったところ。
腱と腱の間にあるツボです。
ケアの仕方
腱と腱の間に、指を立てて押し込み、痛みを感じる場所を探して刺激してみましょう。

秋に必要な食の養生
秋の養生には、夏に消耗した気と潤いを補うことが大切です。
呼吸機能をコントロールしている秋の臓「肺」は外気と接しているため、乾燥が苦手です。
空気が乾燥して気温も低くなる中秋から晩秋にかけては「肺」を潤す食材を取り入れましょう。

また、秋の食事では冬に向けて栄養を蓄えることも重要なポイントです。
「酸味」には収斂(しゅうれん)作用があり、エネルギーを身体にとどめてくれます。
旬の栗やいも類、穀類などエネルギーを補う食材とあわせてとってみましょう。

◯秋の養生食材
サバ、れんこん、ねぎ、春菊、ゆり根、ピーナッツ、白きくらげ、梨、さつまいも、ぶどうなど


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