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40歳。やりたくないことが、増えた。

9月末から始めた、業務委託のオンライン結婚相談所の仕事を辞めた。

やっていたのは、結婚相談所入会のための無料面談を請け負う仕事で、BtoCの営業だ。

たった2ヶ月ほどしか働いていない上、友人の急逝や、子ども・自分自身の体調不良で、何度も休んだ。
休んでいる間、ホッとしていたのが正直な気持ちだった。

11月後半、娘が発熱し、その後自分も体調を崩し、気管支炎と喘息の中間のような咳き込みが止まらず、1週間ほど寝込んだ。

なんとかかんとか、起きて通常の生活に戻り始めたとき、
「完治しても、もうあの仕事には戻れない」と思った。

私はつくづく、中身が子どものままで、成長していないと痛感する。

「おもちゃやさんになりたい」と卒園アルバムに書いていた頃のままだ。

「おもちゃやさんでは、おもちゃであそべるとおもっていたのに、ぜんぜんあそべなくて、レジをうったり、ラッピングしたり、やりたくないこといっぱいあった。おもちゃやさん、もうやめる!」

というのと変わらないレベルなのだ。

始めた動機は

  • 以前より、婚活業界に興味があった。幸せな人が増えることに何か貢献したかった。

  • この業界では珍しく完全在宅な上、土日祝休める。(でも働いてる人たちはいる)

  • to C営業のクロージングを学べると思った。

  • 時給は普通だが、成約したときにもらえるインセンティブに目が眩んだ。

これだけだった。

実際に働いてみて

働き始めてすぐ、1つ感動したことがあった。 

それは、100人ほどの社員や業務委託スタッフが、部署をまたぎ、オープンに意見や情報を交わし合っていたこと。

私の所属はセールスだったが、実際に入会したあとの会員さんの婚活を伴走するサポーター(私はマッチングに興味があるので、本当はこの仕事に憧れていたが、長い道のりが必要そうだった)や、社内外の環境整備のカスタマー、また、マーケティングなどの部署があった。

雑談などで盛り上がっているチャンネルもあり、全体的にサークルのようなノリがあった。
みんな仕事は熱く真面目だけど、ゆるむときはゆるむ、みたいなメリハリがあり、人間味があって、いいなぁと思った。

以前働いていたWEB広告の会社も、同様に業務委託の契約だったが、社内は社長と連絡を取り合うだけで、横のつながりはほぼなく、周りの人が何しているのかわからなかった。

「私はここで手こずっているけど、みんなはどうしているのだろう?」と気になって仕方なくて、同時期に仕事をスタートさせたメンバーと情報交換できるチャンネルを作ってもよいかと打診したことがあった。

しかし、横と繋がることを社長が推進しておらず、仕事を覚えていく過程で、孤独を募らせていった。社長には懐いていたので、不満というほどではなかったのだが。

そのときの状況との対比があまりにもくっきりしていて、わぁ、いい会社にお世話になれて嬉しいなと思った。

それなのに…

徐々にしんどくなっていった原因をつぶさに書いてみたいと思う。 

【環境面】

  • ベンチャーゆえに、実験的な取り組みが多く、情報更新の頻度が高く、それに疲弊していった。SlackやNotion、Googleスプレッドシート等を行ったりきたりするだけでも集中力がすぐに途切れるのを感じた。「ここさえ見れば全てわかる」というものがなく、心許なさが常にあった。

  • 無料入会面談のための時間を固定で空けておく必要があり、私の場合は、13時〜17時は、用事がなければ空けておくのだが、時間が固定ということに、日に日に窮屈さを感じていった。来年、次男が小学生になったら、さらに固定は厳しいかもという不安も増していた。

  • 面談中は、帰宅した長男に「おかえり」が言えないことが続き、長男がそのまま習い事に行くのを見送ることもできず、申し訳なかった。

  • 朝、次男のみならず長女まで登園拒否をすると無性に腹が立って、イライラした。3歳児が在宅の場合は、他に見てくれる大人がいない限り、お客様との面談は無理なので、毎朝緊張した。

【適性面】

  • 結婚相談所のいくつかの連盟を覚えたり、業界知識を学んだりする必要があったが、あまりピンと来なかった。私も結婚相談所での婚活経験があったら良かったのにと思うほどだった。

  • 人と話すのは好きなので、お客様と親しく話すことはできるのだが、入会を即決しない人に対しては、
    「なぜあなたは結婚できないのか、このままでいいのか?」というような、「痛み」を与えるセールスを行う必要があった。
    それが大事なのはわかるし、相手にとっては愛のムチなのだが、私にはどうにも抵抗があった。ただただ、寄り添うことだけができたらいいのにと思っていた。でもこれは、やってるうちに慣れるのかもしれない。いや、慣れないか…

  • 共感性が高いからお客様に引っ張られないように、と上司に言われたが、私はすぐ相手のペースに引きずりこまれた。共感性の高さを活かしきれないなんて自分がもったいない、と思い始めた。

  • どんな人が面談に来るのかわからない恐怖があった。

上司には、体調がなかなか良くならないことで自信をなくしていることや、この会社で働くには私自身の環境が整っていなかったことに気づいた、とお詫びしながら、辞めることを伝えた。

カスタマーの仕事はどうかと、辞めずに済む選択肢を提示してくれたが、時間で縛られることは変わらない。
業務委託とは言え、私はもう、
「組織の歯車」として働くことはできない気がして、丁重に辞退した。

ただ一つ、上司が困っていることがあり、それを解決するための説明動画を作成することになったので、厳密に言うと、辞めずに在籍したままだ。
正直に言うとやりたい仕事ではない。
でも、罪滅ぼしのような気持ちで引き受けた。
通常業務からは離れることとなっただけでも、心はだいぶ軽くなった。

数日前に電話で話した兄からは、

「いいじゃん、何が向いてるか、できるかを探していたというよりはさ、何がダメで、苦手で、やりたくないことなのかはっきりしてきて、これからの知子にとって、やりやすくなるんじゃない」と言われて、甘ったれの私は、ずいぶんホッとした。

でも実際に、
ダメ、苦手、と思うことがめちゃくちゃ増えている。

時間通りに出勤すること、
在宅でも稼働時間が決まっていること、
台本通りにお客様と話すこと、
お客様に「痛み」を与えること、
やりたくないなと思ったら、少しの我慢もできないこと、
自分の用事や、子どもの体調や気分に合わせた働く時間のコントロールができないこと…

子どもがいなかったら、どうだったんだろう。
会社勤めしていたのだろうか。
子どもがいるから、できなくなったのか、
子どもは関係なく、できなくなったのか。

最近、登園拒否の長女に私が言った言葉で、あとからハッとしたことがある。

「いいないいな、行くところがあっていいなぁ、ママだけ行くところないんだよ、寂しいよ」なんて言って、こども園に行けるあなたは羨ましい、というムードを演出してみたのだが、考えてみたら、「毎日行かなきゃいけない場所に行く」って私にはもうできない気がした。

そう考えると、子どもが登園、登校拒否したときは、気持ちをわかってあげられないとおかしいな…

すっかりわがままになっている。
でも、このわがままを通せたら、幸せだ。

実際、同時進行していた別の動画の仕事があるのだが、こちらは、多少具合が悪くてもやりたくて仕方なくて、寝てられなかった。
体育の授業は嫌だけど、遠足には行きたい気分に似ている。

ある程度のコミュニケーションの発生する仕事で、型はなく、相手に寄り添うことだけが求められ、自分の好きな時間に、好きな世界にこもるような、エモーショナルな仕事だけができたらと、今、そればかり考えている。

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