#37 雪隠と留学 [第3部 スペイン編] ep.XXI「英語の逆襲」

英語を自ら学ぼうと思ったのは必要に迫られたからである。

　当然スターウォーズだ。その八作目がこの留学先で公開されるなどという幸せがあっていいのだろうか。フォースの導きだろう。なんとスピンオフも公開され、二作も拝むことができた。素晴らしき哉我が人生。これが生きがいだ。

　和食レストラン「生きがい」に行った。数週間前に数分だけ話した友達のチェコ人の友達が一緒に寿司を食べたいとのことだ。今まで食べたことがなく、日本人に選んでもらったちゃんとしたお店で食べたいとのことだ。

不可能だ。そんな店あるはずがない。第一、見たことも聞いたこともない。軽く検索してみるとどうやらめぼしい店もいくつかあるようだったが、おいそれと大学生の友達で行くような安い店ではなかった。

ネット上の写真、口コミ、値段を見て「生きがい」に狙いを定めた。茹で過ぎた枝豆以外は及第点と言っていいだろう。それでもやはり札幌の回転寿司と比べると握りもネタも小ぶりだが、お寿司ではあった。ふと横にあるクッションを見ると、どこの雑誌から切り抜いてきたのかわからないが白髪染めの広告がこれ見よがしにこちらに微笑んでいた。これが「生きがい」だ。

　クリスマス休暇に入ると友達は皆帰ってしまうので最後に小さなホームパーティーをした。と言ってもそれぞれが一品ずつ料理を振る舞うだけだ。ルールはヴィーガン対応。日本代表はお好み焼き。お好みソースはかつお出汁を使っていた。すまん、許せ。納豆でうまく誤魔化せた。あんな臭くて糸引いた豆おいしそうに見えないわな。

次回予告

『雪隠と留学 [第3部 スペイン編] ep.XXII「マドリードへようこそ」』