台風シーズンと火災保険
台風や豪雨による住まいを守る備えは十分でしょうか?
もうすぐ夏本番ですね。
そして暑い夏ととも到来するのが台風。
ここ数年、台風や豪雨などの自然災害が激甚化しており、住まいを守る〈 火災保険 〉の必要性・重要性が大きくクローズアップされています。
少しでも自然災害から財産を守る〈 火災保険 〉について、保険の位置付けや必要性、そして補償内容の詳細等、あらためてご紹介いたします。
1.自然災害とリスク
ここ数年の自然災害よる家屋等の被害が大きく、災害関連のニュースが後をたちません。
夏場から到来する多くの台風も、時として大きな被害をもたらしています。
このような中、保険会社における火災保険の引き受けも年々厳しさが増してきており、商品改定や保険料アップが毎年のように行われています。
以前は自動車に比べ火災保険の補償にかかわるリスクは低く、火災保険の引き受け水準も安定していましたが、それも過去の話です。
アメリカでは山火事が頻発しており、州により火災保険の引き受け禁止という事態も起こっています。
日本人は古来より自然と真摯に向き合ってきましたが、自然の力は時として大きな災害をもたらします。
その自然とどのように向きあっていくのか、永遠の課題です。
その自然がもたらす災害に、私たちはどのように対応していけばよいのでしょうか?
《 保険 》という視点から、考えてみてみましょう。
2.財産をお守りする火災保険や自動車保険について
火災保険にご加入のお客様から、このような質問をいただきました。
「火災保険で補償の対象になるかどうか」
Q1.台風が通過した影響で、建物の壁がはがれてしまった
⇒【風災】による損壊として補償。
長期の保険契約で昔の火災保険の場合は、20万円以上の損害が生じた時に補償される(全額)ので注意が必要。
Q2.大雨で床上浸水し、建物・家財が損壊してしまった
⇒【水災】による損壊として補償。
ただし床上浸水や地面より45cmを超える浸水等の損害が要件。
Q3.窓ガラスを閉め忘れたことで豪雨で窓から雨水が入り込み、家具や敷物が損壊してしまった
⇒ 補償の対象外。
窓ガラスからの雨水等の吹込みによる損壊は補償対象外。
台風で窓枠が壊れ、その結果、雨水が建物内に吹き込んだ場合の損壊は対象。
Q4.掃除をしていてオーディオ機器を落として壊れてしまった
⇒【破損等】の損害として補償。あくあでも偶然性が要件。
Q5.雷雨によりテレビが壊れてしまった
⇒【落雷】による損壊として補償。
Q6.隣家で火災が発生し類焼し建物の一部が損壊してしまった
⇒ 補償の対象外。
火災による失火は故意、重過失の場合を除き、賠償責任義務はないという法律(失火責任法)により補償の対象外。
Q7.地震で建物の壁や基礎が損壊し、瓦も落ちてきた
⇒ 一定額以上の損害の程度で補償対象。
地震保険の支払いは、損害をてん補するという損害保険の基本的な支払われ方と異なる。
建物の場合は、建物の主要構造部(柱・壁・基礎・屋根等)の損害の程度(3%、20%、40%、50%)に応じて地震保険金額の一定の割合(5%、30%、60%、100%)が支払われる。
Q8.地震で自宅横のカーポートが壊れた
⇒補償の対象外。
地震保険の支払い要件は、主契約の建物の主要構造部の損害の程度により決定されるため、カーポートの損害の程度は支払い要件はない。
家財も同様に、テレビが損壊・たんすが破損・食器が割れた等、個別の損壊では対象外で、家財一式の損害の程度により一定の割合が支払われる。
【火災保険についてもう少し細かく説明】
火災保険は、お住まいの家屋(建物)や家財を守ります。
昔は「住宅火災」「住宅総合保険」という商品名でしたが、現在は保険会社毎に住まいの保険等、様々な商品名で呼ばれています。
また失火による火災について知識として知っておいていただきたいのが、失火責任法という法律。
重大な過失を除き、失火による火災に対しては損害賠償責任を問わないと定められている法律があります。
つまり、失火原因に重大な過失がなければ、ご自身が失火に関わっても近隣に対して損害賠償の責任はなく、逆にもらい火であっても失火元への賠償請求ができないということになります。
類焼でお住まいや家財に損害が生じた場合は賠償請求ができませんので、自分の財産であるお住まいや家財は自分で守るしかありせん。
ただしこれは失火による場合だけ。ガス爆発等で隣家に被害を与えてしまった場合は、隣家に対しての賠償責任義務は発生しますので〈 個人賠償責任保険 ※〉の付帯が欠かせません。
※火災保険等に特約として付帯可能
【地震保険とは】
火災保険とは別に欠かせない保険、〈 地震保険※ 〉です。
地震や津波や噴火による被害は、主契約の火災保険では補償されません。
保険料が高いからと敬遠されがちですが、地震等の場合、補償されるか補償されないか、の差は非常に大きいです。
また、地震保険は地震の際に《 生活を再建するための資金を得る 》という位置付けも強い保険です。
※地震保険は住まいの火災保険には原則付帯
【自動車保険も財産を守る保険】
自動車も大切な財産ですね。
しかし、火災保険の補償対象の家財からはマイカーは除かれます。
その大切な自動車を守るのが、自動車保険の〈 車両保険 〉です。
「自動車をローンで購入したが車両保険が未加入だった」場合、全損の事故で車両は廃車・ローンは残ることになります。
車両保険は欠かせません。
また地震の場合は補償の対象外です(一部の補償をする特約はあります)。
3.火災保険の契約方式と基本的な補償内容について
【契約方式】
火災保険は「建物」と「家財」は分けて契約します。
同一契約もできますが、「建物で〇〇万円」、「家財一式で〇〇万円」という契約になります。
【補償内容】
以下の事故が起こったときに補償されます。
どの事故まで補償されるのかは契約内容や保険会社によって異なります。
火災・落雷・破裂・爆発
火災以外にも落雷で建物や家財に損害が生じた場合。
落雷でテレビが破損した等、家財の火災保険で補償される。風災・ひょう災・雪災
台風で家屋が破損した、ひょうにより建物が損害を被った場合等。水災
床上浸水や地面より45㎝超える浸水等で建物や家財が損害を被った場合等。
豪雨による土砂崩れ等もこの水災に当てはまる。盗難
盗難により玄関のドアが壊された等の損害や家財の盗難など。水濡れ
給排水管などからの水漏れ。破損
上記以外の偶然な破損事故等。
【賃貸物件にお住まいの方にとって大切なこと】
賃貸物件に入居する際、不動産会社で火災保険の加入を勧められた経験があると思います。
建物は大家さんが火災保険に加入していますので「家財」を対象とした火災保険となりますが、ここで大切なのが下記の特約です。
〈個人賠償責任保険特約〉
爆発などで隣接の住民等の建物等に損壊を与えてしまった場合の補償。
〈借家人賠償責任保険特約〉
賃貸借契約には、現状の借家をもとのまま貸主に返却する義務があります(債務不履行を補償)。
すなわち、火災等におけるお住まいの大家さんへの賠償責任義務を補償するには、この保険が欠かせません。
賃貸契約の際、家財の火災保険を勧められるのは賃貸主(大家さん)や近隣の住民の方を守るためです。知り合いの保険代理店で同種以上の火災保険に加入すればよく強制ではありませんので、より補償の充実した保険への加入がお勧めです。
【地震保険について】
地震保険の保険金額は、主契約(建物・家財)の30%~50%の範囲内で契約します。
地震や噴火また津波を要因とする建物の火災や倒壊・流失は、主契約の火災保険では補償されず、地震保険の契約が必須です。
補償額は、実損害を補償する主契約の火災保険と異なり、「全損」「大半損」「小半損」「一部損」という主要構造部の損害等の状況により、地震保険の保険金額に対して100%~5%の定額払となります。
建物が残っていたら補償られないという神話が残っていますが、あくまでも神話で、実態は損害の状況により適切に補償されます。
広域災害となる地震等の発生時において生活の再建は欠かせませんが、その生活再建資金として、という位置づけが強いのも地震の特徴です。
4.火災保険の位置付け
保険はあくまでも災害による財産の経済損失を補填する機能ですが、その役割は非常に大きいです。
災害に強い建物にする・災害が多い地域には建物を構築しない・木造ではなくマンションのような鉄筋コンクリート造りの住まいを考える、などのリスク対策はありますが、それでも災害は起こります。
そのなかで保険の果たす役割は、上記のようなリスク対策における対応手段のひとつであり、災害による財産の経済的な損失というリスクを保険という機能に転嫁(リスクの移転)するという、社会生活には欠かせない大切な役割を担っています。
保険に入っているから壊れた個所を直せる、といった修理のための商品であること以上に〈 住まいにかかわるリスクを保険 〉いう機能を通じて、財産を保全するのが《 保険 》です。
だからこそ保険商品を選択するにあたって〈どのような商品が良いのか〉〈どの補償を必要としてるのか〉〈保険が支払われない場合はどのような場合か〉など、しっかりと保険契約時には確認する必要があります。
5.家庭におけるリスク対策と保険
この機会に、火災保険の契約内容の再チェックと見直しをしてみましょう。
☐ 補償の対象(建物なのか家財なのか、建物・家財の両方なのか)
☐ 補償内容
☐ 地震保険の有無
☐ 家財の地震保険(未加入の方にはお勧めします)
☐ 事故の際の保険会社や保険代理店の連絡先
☐ 加入している保険契約の一覧(マイページ)
保険アドバイザー(保険代理店やFP)は近くにいらっしゃいますか?
明日の安全は今からが重要です。
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