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子どもの頃好きだった本を再読してみた〜『大きな森の小さな家』【読書ノート2冊目の行動③レポ】

こんにちは、ブックランドフレンズさんのオリジナル読書ノート「生産的読書ノート」 の普及隊長、accoです。

▼生産的読書ノートとは?

読書の記録だけではなく、自分から湧き出てくるものを書き出し、行動に移すための読書ノート。あなたの読書が劇的に変わります!詳しくはこちら↓

この読書ノートの大きな特長の一つは、「読書を《行動》に繋げる」という点。
というわけで、今回は、読書ノート2冊目の
『惹かれる本は私をうつし 出会う本が私をつくる』
を読んで自分から湧き出てきた「行動の種」の実行記録をレポートしたいと思います。

今回は、「8マス」のうちの3番目に書き出した、
「③子どもの頃好きだった本を思い出してみよう」
を実行してみましたよ。

今回は8マスのうち③を実行してみた

その結果私に起きた変化、そして再会した「衝撃のフレーズ」とは…?!


1.子どもの頃ものすごく好きだった本は…

私が子どもの頃からものすごく好きだった本、それは、ローラ・インガルス・ワイルダー著『大草原の小さな家』シリーズです。

その中でも一番好きだったのは、シリーズ最初の『大きな森の小さな家』。
この本だけは、私の人生で何度も何度も繰り返されてきた「本の断捨離」の試練をくぐり抜け、私の本棚に残り続けました。

箱入りの本ってもうあまり見かけなくなりましたね、残念

舞台は1870年代、北アメリカ。5歳のローラが、『大きな森』の中の小さな丸太づくりの家で、家族と身を寄せ合いながら、温かく力強く暮らす物語です。
さまざまなものを手作りし、自然の恵みを余すところなく生かし、慈しみ、分かち合いながら、厳しい大自然と共生する一家の姿は、時代を超えて私たちの胸を打ちます。

2. どこが好きだったか?言語化してみる

子供の頃の私が、何が好きだったかを思い出すと、まず思い浮かぶのは、庭に置かれた丸太の燻製機!
そこに豚や鹿などのお肉をつるして燻製を作るのですが、その美味しそうで楽しそうなことといったら…!
どんな味や香りがするんだろう??と子ども心にとても憧れていました。

ヒッコリィの木っぱでつくる燻製……食べてみたい!

あと、一家はたまに、遠路はるばる町まで出てお買い物をするのですが、何を買うかというと、お菓子や食材などのほかに、「布」を買うんですね。
その布の名前が「フランネル」「キャラコ」「モスリン」など、当時の幼い私には聞き慣れないものばかりで、とっても素敵なものという感じであふれていて……、これも「どんな色や模様、手触りなのかなぁ」と憧れました!

すてきなものだらけの町のお店

そしてとにかく、インガルス一家はなんでも手作りしてしまう!
野菜や穀物はもちろんのこと、メープルシロップやチーズにバター、森の獣を仕留めて燻製やなめし皮を作ったり、服や道具やおもちゃも手作り、もちろん丸太づくりの家そのものも手作りです。

動物を捌いて頂く時は、内臓やしっぽに至るまで全て余すところなく使い尽くし、当時とても印象的だったのが、豚のしっぽを子供がおやつにもらって炙って食べるところ!とても美味しそうだったなぁ……。
豚の膀胱で作ったボールで遊ぶところも子供心に衝撃でした。

全てを大切に使い切る、その生き方そのものに、幼心にも何か、豊かで満ち足りたものを感じていたのだと思います。

豚の膀胱をふくらませて風船あそび

今思えば私も、自分の手で何かを作り出すのが大好き
毛糸のマフラーに始まり、ビーズアクセサリーを手作りしたり、布でお人形や洋服を作ったり、お地蔵さまを木彫りで作ったり……、これまでいろんなものを作ってきました。

大人になってからはもっぱらパソコンを使ってWebサイトや印刷物なんかを作っているわけですが、幼き頃にむしょうに心惹かれた「手作り」への憧憬が、その原点なのかなと、改めて気づきました。

3. 再読してみたら…

今回、再読してみるにあたり、せっかくなので、うちの子ども3人に読み聞かせをしてみました。
昔の本だし、今の子にはどうなのかなと思いながら読みましたが、好奇心旺盛な長男(小3)は食いついてくれて、嬉しい!
自分が子どもの頃好きだった本を、自分の子どもも好きになってくれるとは……。
時代を超えて残り続ける「本」というメディアの価値を、再確認しました。

その後、止まらなくなり、読み聞かせはそっちのけで、一人で最後まで読了。
ところどころ忘れているところもありましたが、読めば読むほどに、その世界の美しさと、その表現の美しさに、虜になっていきました…。

とにかく、出てくるもの全てが、美しい。
この本では、冬支度から始まり、冬、春、夏、秋、そしてまた冬が訪れ…と、一年の季節が巡りますが、
その移りゆく季節の、美しいこと!
その中でおこなう数々の手仕事の、丁寧で美しいこと!

丁寧な手仕事による食材がつまった、居心地の良さそうな屋根裏部屋。

森の中で生き生きと暮らすたくさんの動物たち、
みずみずしく描かれる大自然の風景、
すべて手作りの美味しそうなご馳走に、
愛を込めて丁寧に手入れされる道具たち、
子どもたちを包み込みながら奏でられる父さんのバイオリンの音色…、

この物語は、64歳を過ぎたローラが5歳の頃からを振り返って書いたものですが、どうしてこんなに細やかに描けるのだろう?と不思議になるほど、丁寧で鮮やかな描写には感嘆させられます。

たとえばこんなふう。

はだかの黒っぽい枝は、はしからはしまで雪がつもって、お日さまがあたると、ピカッ、ピカッと光るのでした。家のひさしからは、つららがさがり、雪の土手にとどいています。根元のあたりでは、ローラの腕ほどもある、とてもふといつららです。まるでガラスのようで、まばゆくきらめいていました。

『大きな森の小さな家』p.70

おいしそうなにおいがプンプンします。台所からは、おいしそうな香ばしいにおいがしてくるし、暖炉で、きれいなあかあかとした炎をあげて燃えているヒッコリイの薪のにおい、それに、ばあちゃんのつくろいもののかごのそばにある、クローヴをさしたリンゴのにおいが入りまじって、家のなかは、すごくいいにおいがしています。ピカピカにみがきあげた窓ガラスからは、お日さまがいっぱいにさしこんできて、何もかもが大きくて、ひろびろしていて、すがすがしくて、きれいでした。

『大きな森の小さな家』p.150

もう、幸せが匂い立ってくるような表現ですよね!
このほか、雪溶けできらきらとかがやく梢、熊と対峙した時の熊の毛並み、暖かな暖炉に照らされたお父さんの髭に光る雫や、よく磨かれて光る銃身など……、美しい挿絵のおかげもありますが、全てが目に浮かび手に取れるようです。

馬車の蹄の音や、そりの鈴の音、狼の遠吠えや、薪のぱちぱちはぜる音も、すぐそばで聴こえるようです。

とにかくすべてが愛おしい。
小さな世界の中に、すべてが「ある」。
すべての幸せがそこに「ある」。

そんな愛しい世界が、そこにはありました。

子供の時にむしょうに心惹かれたものは、大人になっても同じように強く心を掴むのだ…、ということに、改めて気付かされました。

4. どうなりたいと願っていたか?

もう、はるか昔のことすぎて、この本の、何がどう好きだったのかは思い出せないのです。

それでも、「とにかくこの本が大好きだった」という事実だけは、明らかで、その理由をこの本の中から探すならば、それはきっと、

「自分たちの手で丁寧にものを作り、命を無駄なく使い切ること」
「命や資源を次の世代に残すこと、循環させる知恵を持つこと」
「きちんと自分たちを律して、美しく暮らすこと」
そして「身の回りのものや人に愛を注ぐこと」

などになるのかなと思います。

再読して改めて感銘を受けた点は、インガルス一家の豊かな芸術性と高い美意識です。
彼らは、厳しい自然の中で暮らすには、一見不要と思われるような、細かな細工を、手間を惜しむことなく施します。
冬に作るバターは色が白くて綺麗でないからと、わざわざ人参の汁で黄色い色をつけたり、
さらにはそれを、苺の模様の入った型で抜いたり、
手作りの木の棚には星や苺や蔦の模様を何日もかけて彫り入れたり…。

そして、身内だけのダンスパーティーでも気合を入れて一番上等なドレスを着て、つややかに髪をセットするご婦人たち。

自分たちが楽しむためだけに全力を出して、飾る、施す。
これこそが人間の持つ豊かさであり、根源的な美意識そのものなのではないか、と、改めて思わされました。

時にはお洒落に着飾ってダンスパーティー。

小さな私はどうなりたいと願っていたのか。
きっとそんなふうに、丁寧に豊かに、美しく暮らしたい、と、願っていたのではないかな……、と想像します。

いろんな無駄をそぎ落とし、本質的なものだけで、循環するような、美しく小さな暮らしを実現したい。
それが私の、小さな頃からきっと持っていて、今も変わらない願いなのではないかなと、改めて思います。

5. 行動して再会したもの、それは…

……と、まつむらさんの本『惹かれる本は私をうつし 出会う本が私をつくる』をきっかけに、ずっと何十年も埃をかぶっていた本を再読するという「行動」をしたわけですが、
再読して本当に良かったです。

いや、良かったどころではなく……、鳥肌が立ったのでした、最後の一節を読んで。

ローラは思うのでした。「これが『いま』なのね」
ローラは、この住みごこちのいい家も、とうさんも、かあさんも、暖炉のあかりも、音楽も、みんな「いま」でよかったな、と思うのでした。何もかもわすれっこない、だって、「いま」は「いま」なんだものーーローラは思います。それは、「ずっとむかし」になんか、なりはしないのだから、と。

『大きな森の小さな家』p.249

これはまさに、ここ1、2年くらい、私の中で重要テーマとなっている、
『いま、ここ』に生きること」
そのものです……!!!

今を生きるしかなかった悩み多き少女の頃から、
大人になって、ワーカホリックともいえるほどの激務の日々に常に段取りばかり考えて「今」を見失い
さらには働く母として、かつ三児の母としてあまりの忙しさにマルチタスクにならざるを得ず「ここ」も見失い
いよいよキャパオーバーとなり、今ようやく辿り着きつつある
「『いま、ここ』を大事に生きよう」という境地、
そのフレーズに、まさか、数十年前、子供の頃の私が出会っていたなんて…!!

元々、知っていたんですね、この言葉を、私は。

それなのにそんなことはすっかり忘れて、回り道をして、遠い遠い回り道を経て、今、またここに戻ってきた。

あまりのことに息を呑み、このフレーズに再会したとき、何度も何度も読み返しました。(ちなみに、まったく覚えていませんでした)

そして本を閉じて……、
この言葉にまた出会うために、この本に導かれたのだと、思いました。

もしまつむらさんの本に出会ってなかったら、ブックランドフレンズさんと出会ってなかったら、もしかしたらこの本は、二度と私に再読されることもなく、ずっと本棚の下の隅で埃をかぶっていたのかもしれない。
そして私はそのまま一生を終えたのかもしれない。
(……….ぞっとする!)

導かれるようにして、再び手に取り、今このタイミングで読み返したことで、この本はやっぱり私にとって特別なものだったと再認識できました。
今だからこそ、本物の宝物になった。

私は今回得た宝物を、これから一生心の中に大切に持って生きていくだろうし、そうすれば、もう私の人生は大きくぶれたり迷うことはないのではないだろうか。
大袈裟かもしれませんが、そんな気がします。
心の原風景を取り戻したような気分です。

私の心の原風景はここにあった、ずっと本棚の片隅に。

こんなことは、人生にそう何度も起こらないことではないかな……。
そんな、衝撃の読書体験となりました。

6. 「子どもの頃好きだった本を語る会」開催!

……ということで、「子供の頃好きだった本を読んでみる」という「行動の種」は、私にとっては、人生を変えるほどの体験を呼び寄せてくれるものとなりました。

あなたにとってはどうでしょう?
どんな本が好きでしたか?
子どもの頃、むしょうに心惹かれていた本は、ありませんか?
その本の、どんなところが好きでしたか?

思い返してみたら、また読み返してみたら、思いがけない発見や出会いがあるかも……!

そんなことを「語る会」が、新年明け早々、ブックランドフレンズさんで行われます。

『惹かれる本は私をうつし 出会う本が私をつくる』の著者、まつむらゆうこさんも参加されます。(もちろん私も!)

ちなみに、別にこの会に参加するために、その本を読み返さなくてもいいのです。今手元になければ図書館で借りてきたっていいんです。
とにかくそれぞれが思い思いに、思い出の本を持ち寄って、「こんなところが好きだった気がする…」とかぼんやり話すだけでもいいよね、という趣旨の、気楽な会です。
言わば、読書をしなくても参加できる、読書会。
もともとあなたの中にあるものだけで、参加できます。
もともとあなたの中にあるものを、改めて見つめてみよう、という会です。
(でも、できれば読み返した方が、得られるものは大きいかも…?今回の私のようにね)

ご新規さんも大歓迎!お申し込みはこちらのお申し込みフォームから。ぜひお気軽にお越しくださいね。

(2024.1.17追記)イベントは終了しました、イベントレポートはこちら


7. ご注文はこちら

こんな体験をもたらしてくれた「生産的読書ノート」や、まつむらさんの著書のご購入は、「ブックランドフレンズ Online Store」から。
★「accoのnoteを見た」と備考欄に書いてもらったら、ちょっといいことあるかも?

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送料かかります(220円~)、
クレジットカード使えません(銀行振込のみ)、
翌日にはまず届きません、
でも、こんぶ店長からの「愛」が一緒に届きます。
損得ではなく無駄を楽しめる方は、ぜひ一度お試しを。損はさせません。

▼「生産的読書ノート」ご紹介ページ

▼伊丹の書店「ブックランドフレンズ」さん

全国からお客さんが来る書店。喜多川泰さんの小説「福に憑かれた男」のモデルとしても有名


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