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「ぼんぼん」は好きになれない

連休初日なのに朝寝坊してしまい、これからいつものカフェに出かけようかどうしようか悩んでゴロゴロしている間に、この前他の人に話した超絶短い出会いの話をしたためることにします。

***

去年の11月にこっぴどくフラれた勢いで、Match.comの登録を復活させた。そのとき1人だけ、毎日メッセージのやりとりが続く人ができた。短いメッセージではなく、メールのやり取りのような感じで、フラれたことを少しずつ忘れていけそうな気がしたので、一度会ってみることにした。

誕生日近くに初めて実物を拝見。
写真は見ていたけれど、おっしゃってたようにご自身でコンサルティング会社を経営されてるだけあって身なりもキチンとしていた。
お話も面白くて飲みながらも盛り上がった。ただし、色恋の話をする前の段階のことだ。

11月の失恋話ついでに誕生日が近いことがバレてしまい「いつなの?」と食いつかれてしまったので、日付を白状した。
「来週じゃない。その行くつもりだったお店教えて。」
あれよあれよと、誕生日の夜に行きたかったフレンチのジビエ料理をその人と食べることになった。

わたしの中ではまだ付き合ったことにはなっていない。とはいえ、そんな約束もあるので、朝晩LINEで「おはよう」や「お疲れさま」的なメッセージは送る。しかし返事がこないのだ。

そして、誕生日当日。
美味しいジビエ料理とワインをいただきながら、恋愛話にいたった。そのついでに、LINEの返事がこないことを聞いてみた。

「え、おはようとか返事しなくちゃいけないの?」とMatch.comでの毎日のメッセージやりとりからは想像つかない回答が来た。どうやら、LINEのような短いメッセージのやり取りは苦手なようだった。でも、その次からが衝撃だったのだ。

「過去に付き合った彼女は、ボクがメッセージ送っても既読になってから3週間くらい返事来ないことなんてふつうだったから。」
「その送ったメッセージはどういう内容で?」
「『今度ごはん食べに行こうよ』みたいなの。」
「え?」
「前の彼女もそうだったし、その前に付き合ってた子もそうだったなー。向こうからおはようなんて来ることなかったから。」

これは明らかに所謂「メッシーくん」扱いにしかなってなくて、彼氏ではない…女の立場からすればそんなことくらいすぐわかる内容である。
ちなみにその昔のバブル時代に、迎えに来てくれるだけの人をアッシーと呼び、食事を奢ってくれるだけの人をメッシーと呼んでいた。今もそう呼ぶのかはわからないが、要するに都合のいい男という扱いだ。

「ちなみにどうしてそのお二人とはお別れになったのですか?」
「なんかねー、急にもう会えないって言われて音信不通。いつもフラれるんだよねー。」

本人は彼氏のつもりだが、彼女たちは本命が定まったから会えないと断っているだけにすぎない。これはマズイ。わたしは誕生日まで祝っているので、彼の中では彼女になってしまっている可能性がとても高いのだ。

その後、別の話題になった。
「ボク、カラオケって好きじゃないんだけど、取引先の人がどうしても先生と一緒にカラオケ行きたいっていうんだよね。何歌ったらいいのかな。」
「最近流行りのJ-POPの男性ボーカルの曲いくつか練習したらいいんじゃないですかね。」
「ボク、そういうの知らなくって。」
「わたしも好みはジャズだから、あまり知らないですけど、コブクロとかミスチルとかいいんじゃないですか。」
「誰それ?ボクさー、CDって買ったことないんだよ。生まれてこのかた。だから本当に知らないんだよね。」
「!?」

わたしとほぼ同じ世代。大卒である。
学生時代なんて、同じゼミの子とかバイト仲間と散々カラオケに行ってる世代だ。彼の学生時代は何をしていたのか…

まぁそれ以前に、そもそもそんな状態でカラオケのお誘いを受けてしまっていて歌おうとしていること自体も甚だ疑問である。
歌わない前提で行くなり、仕事のお付き合いとはいえカラオケは苦手であることを理由に断ればよいのだ。それで離れるクライアントなら離れたらよいと思う。

その後も話を聞いていくうちに、とてもお育ちの良いご家庭であることがわかった。
生粋の「ぼんぼん」なのだ。
世の中にいろいろと塗れて育って理解していくはずのものが、なにかと欠損していることを知った。だから、先のような誤解が生まれるのだ。

おそらく、仕事は問題なくこなせる。ただ、ふつうの友人関係や恋愛や結婚となると相当に道のりが長そうである。事実、彼の周りは仕事の予定や会食ばかりで、友人と何かみたいなものがない。さらに彼もバツイチで嫁は突如出て行ったらしい。

嗚呼、話を合わせるのが無理すぎる…そして誤解されたままになるのも嫌だ。
わたしはすべての女子の代弁者となったつもりなぐらいに、彼にそれは付き合ったことにはなっていないこと、勘違いであることを含め、ふつうの男性が聞いたらショックで立ち直れないのではと思うくらいの相当なまでにキツい言葉で、彼に説明してあげた。

が、彼の鈍感力の方が強すぎて何も響かない。
わたしのほうが根を上げてしまい「そっ閉じ」した相手だった。

***

ぼんぼん育ちの鈍感力に惚れ込めるひとはいるかもしれない。でも、わたしには無理だと知った超絶短い出会いのお話、ここまで。
たまにこういうネタを暴露していこうと思います。

さ、ランチを食べに出かけよう。

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