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あなたの好きな美術館をおしえてください!

メンバーズ・コミュニティ「ヨーロッパ旅行研究会」(略して「ヨロ研」)の定例会が3月11日に開催されました。
「あなたの好きな美術館をおしえてください」をテーマに情報をシェアしました。話題になった美術館や博物館をご紹介します。

1, アーティストに注目


パブロ・ピカソ

ピカソの「ゲルニカ」は、1992 年までプラド美術館(マドリード)に展示されていましたが、ソフィア王妃芸術センター(マドリード)の開設と同時に移されました。
(ちなみにプラド美術館とソフィア王妃芸術センターは徒歩で行き来できる距離だそうです)
ところで、この「ゲルニカ」は1937年に制作され20世紀を代表する作品と称されますが、1939年に米国に渡り、戦後1953年にヨーロッパ国内に移動して、1981年にスペインへようやく戻り、プラド美術館に展示されたそうです。戦争をテーマにしたこの作品は世界情勢の影響を受けて、保管・展示する国が変わっていったという歴史があります。それだけ社会へインパクトを与えた作品と言えます。
プラド美術館に「ゲルニカ」はありませんが、8,000点を超える油彩画、約1,000点の彫刻など膨大な点数の作品を所蔵している世界三大美術館の1つです。
世界三大美術館には諸説あり、「ルーヴル美術館」「メトロポリタン美術館」「エルミタージュ美術館」「プラド美術館」から適宜3つが選ばれているようです。

クロード・モネ
印象派の代表的存在のクロード・モネの作品が多く展示している美術館の一つに、マルモッタン・モネ美術館があります。
パリ16区の高級住宅地に位置するこの美術館には、モネの初期の作品で発表当時は酷評だった「印象・日の出」が展示されています。この作品名から「印象派」と名付けられたようです。

サルバドール・ダリ
シュールレアリズムを代表するダリの作品を思う存分堪能できるのが、バルセロナ近郊にあるダリ劇場美術館です。
この美術館を紹介してくれたメンバーはダリの作品が大好きでダリ劇場美術館へ行ったそうですが、ダリの世界観に浸りすぎてしまい、「お腹が一杯になった。一生分のダリを鑑賞した感じ!」と感想を述べていました。

エドヴァルド・ムンク
オスロにあるムンク美術館には、「叫び」の作品が多く展示されているそうです。一度に様々な「叫び」を鑑賞することで、各々の作品に込めたムンクの想いを巡らせるのも良いかもしれません。

レオナルド・ダ・ヴィンチ
世界で最も有名な絵画の1つが「モナ・リザ」です。ルーヴル美術館の展示室は常に長蛇の列ができています。
しかしその「モナ・リザ」の展示室へ繋がる廊下には、別のダ・ヴィンチの作品が展示されているのをご存じですか。その1つが「岩窟の聖母」です。
こちらを紹介してくれたメンバーは、「岩窟の聖母」の前に立つと1時間ぐらい平気で過ぎてしまう!」というぐらい好きな作品だそうです。そう思える作品に出会えるのは幸せだなと思います。

また、ダ・ヴィンチは本当に天才だと賞賛するそのメンバーは、ダ・ヴィンチの墓があるロワール地方のアンボワーズ城や、最期を迎えたクロ・リュセ城についても紹介してくれました。


2, 魅力的な展示物

次に、展示物に着目して美術館を紹介します。

宝飾品
世界で一番大きなダイヤモンドの原石は、1905年に発掘された3,106 カラットの「カリナン」だそうです。その原石からカットされた素晴らしいジュエリーはイギリス王室が所有しているそうですが、それを展示しているのがロンドン塔の中にある「クラウン・ジュエル」です。
ロンドン塔と言えば、監獄でもあり処刑場のイメージが強かったので意外な情報でした。

また、400万点以上の美術、デザイン、工芸など多義にわたる展示物を所有するロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館でも、宝石・貴金属が豊富に展示されているそうです。

彫刻の公園
ノルウェーの首都オスロにあるヴィ―ゲラン彫刻公園は、ノルウェーの彫刻家グスタフ・ヴィーゲランの作品212点が展示されています。
人生の様々なシーンをテーマにしている212点の作品を構成する人々の合計は600体以上になるそうです。
そして、公園の広さは東京ドームの6倍以上で32万㎡です。天気の良い日にゆっくりと散策したいですね。

音楽の家
次は「音楽」をテーマにした博物館。その名も「Haus der Musik (音楽の家)」です。
音楽をインタラクティブに楽しめる仕組みが多々あるそうです。この博物館を紹介してくれたメンバーは、「インタラクティブとはこういう事か!」と感動したそうです。
ウィーンへ旅されるときは是非立ち寄ってみてください。


3, 素敵な建築の美術館

次は、魅力的な建物の美術館を紹介します。

フリック・コレクション
ニューヨークのアッパー・イースト・サイドにある私邸美術館です。鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの右腕として活躍したヘンリー・クレイ・フリックの豪邸を使って彼のコレクションを展示しています。ヨハネス・フェルメールの作品を3つ所蔵するなど充実した展示です。
また、建物の豪邸さが並大抵ではないそうです。ゴーシャスな室内装飾や、噴水のあるガーデンコートには燦燦と日光が降り注いでいるそうです。絵画だけではなくお屋敷も楽しめますね。

ヘルシンキ現代美術館(キアズマ)
1998年に開館したこちらの美術館には、約8,000点の現代美術のコレクションが、フィンランドと周辺国の作家の作品を中心に集められているそうです。
そして、建築は「光の魔術師」と言われる米国のスティーブン・ホール氏がコンペにより選ばれて設計しています。
展示空間全てに自然光が入るように計画されており、「非対称性と曲線」からなる奇跡的な空間で、ホール氏の代表作だそうです。
また、通称の「キアズマ」は交差地点 "chiasm" から由来しており、作品の展示だけではなく、市民の憩いの場、待ち合わせ場所、美術体験の場としての機能も期待されているとのことです。

貴族の邸宅や宮殿が美術館に
ヨーロッパでは貴族の邸宅や宮殿がそのまま美術館や博物館として利用されているケースが多々あります。
有名なところでは、ルーヴル美術館も12世紀に要塞として建立されたルーヴル宮殿の中にあります。
また、既に紹介したマルモッタン・モネ美術館は、美術史家・収集家のポール・マルモッタンの邸宅が、彼の死後に美術館になりました。そのため邸宅時代の調度品が印象派の絵画とともに展示されており、生活空間の中で展示を楽しめます。

そして、1857年にルーマニア中部にあるシナイア渓谷に建てられたのが、ドイツ・ルネッサンス様式のペレシュ城です。現在は博物館として公開されていますが、お城自体にもグスタフ・クリムトの装飾画や木彫り装飾などが美しく施されており、ルーマニアで最も壮麗な城だそうです。また周囲の大自然と見事に調和した姿も圧倒的な美しさと表現されていました。


4. 街全体がアート

次に、1つの施設としての美術館ではなく、街全体でアートを表現しているエリアを紹介します。

モンマルトル
モンマルトルは、パリで一番高い丘(標高130m)です。
日本では、サクラ・クール寺院や、画家たちが観光客の似顔絵を描くテアトル広場の印象が強いのではないでしょうか。
また、2001年に公開された映画『アメリ』の舞台になったことでも有名です。
その丘で最も古いベレール邸とドゥマルヌ邸を使って、1960年にモンマルトル美術館が開館しました。そこでは19~20世紀にかけてモンマルトルを活動の拠点とした芸術家や作家たちを中心に、モンマルトルの文化・芸術活動を紹介しています。
このエリアは12世紀ごろにはブドウが栽培されていた関係で、酒場やキャバレーのある繁華街として発展したため家賃が安く多くの芸術家が住むようになったそうです。その芸術家の作品の題材になった施設がモンマルトルには沢山あります。
例えばルノワールの代表作の1つ「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」の題材になった「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」や、ロートレックのポスターで有名な「ムーラン・ルージュ」です。
また、ピカソやモディリアーニ、モーリス・ドニたちが集いキュビズムが誕生した集合アトリエ兼住宅の「洗濯船」もあります。
そして、モーリス・ユトリロはモンマルトルを描いた画家として有名です。
このように、モンマルトルは19~20世紀にかけて多くの画家たちの活動の場でした。


ナンシー
ナンシーはアール・ヌーヴォーで有名な街ですが、フランス北東部、ストラスブルグとパリの間に位置します。
アール・ヌーヴォーは、イギリスで始まりその後フランス・ベルギーを中心にヨーロッパ各国に広がりましたが、普仏戦争のあとドイツ領になったアルザスやモゼル州から実業家、知識人、芸術家がナンシーに多く移住しこの地で花を開かせました。
街中のいたるところにはアール・ヌーヴォーの装飾が施されており、アール・ヌーヴォー、特に工芸品好きにはたまらない街です。

ナンシー派美術館
ガラス工芸で有名なエミール・ガレのパトロンだったウジェーヌ・コルバンの私邸を改装したのがナンシー派美術館です。こちらには、工芸品、陶器、ガラス工芸、織物などの作品が、日常の生活空間の中に展示されているのが特徴です。
マジョレルの家
ナンシー派の家具職人ルイ・マジョレルの邸宅で、内装はさまざまなナンシー派の芸術家が手掛けていて、アーティストがアーティストのために建てた完全なアール・ヌーヴォーの家として知られています。
ナンシー美術館
ルーベンスやモネ、ピカソなど14〜21世紀のヨーロッパ絵画を幅広く所蔵していますが、地下階にドーム兄弟と、現在もナンシーに工房のあるドーム社のコレクションがずらりと並びます。絵画・ガラス製品ともに圧巻の展示量です。


ストーク=オン=トレント

ストーク=オン=トレントは、イギリスの陶器産業の里で、ポッタリーズ という通称で呼ばれてます。
ウェッジウッド、ミントン、ロイヤルドルトンなどの有名な陶器ブランドがこの土地からスタートしています。
そのため、ウェッジウッド・ミュージアムや工場、カフェやアウトレットまで一同に介しているワールド・オブ・ウェッジウッドは、ウェッジウッドの世界を堪能することもできるそうです。


5, 特別編「カフェ」

今回、複数のメンバーが絶賛したのが、「ウィーン美術史美術館」のカフェです。この美術館のルネサンスとバロックを中心とする絵画コレクションは、ヨーロッパ屈指の質と量を誇るそうですが、なんといっても美術館の併設されているカフェは「世界で最も美しいカフェ」と表現されるくらい素敵だそうです。


今回の定例会は1時間という限られた時間でしたが、本当に様々な美術館や博物館が話題にあがりました。
「そろそろ、海外旅行したいな!」と思われている方は多いと思います。
是非参考にしてください。

最後に、ヨロ研の常連メンバーの三林さんのブログ「海外旅行で美術館めぐり」では、海外の美術館を楽しむノウハウが紹介されています。
チェックしてみてください!

アカデミーヒルズ 熊田ふみ子

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