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腹食う虫の、腹の虫

ハサミムシの母親は自分の子どもが卵から孵化すると、柔らかい下腹部を子どもらに差し出して食わせてしまう。まだ自力で捕食できない子どもが、人生で初めて口にする糧が母親の血肉というわけだ。

そうしてハサミムシの母親は生きながら子どもらに食われ、絶命する。喜ぶべき親子の出会いが、すなわち今生の別れを意味した。鬼子母神もかくやあらん。

ハサミムシの親子関係に思いを馳せながら、今日、久しぶりに母と食事を囲む私である。

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