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第15回「虐待者と距離をとる方法」を終えて

1月26日に「虐待者と距離をとる方法」というテーマでAbuse Dialogueが開催されました。今回は参加者も多く、テーマもとても盛り上がり時間が足りないくらいでした。

内容が濃すぎてとてもこのnoteだけではあの温度感も内容の深さも参加者の想いも書ききれません。それを前提に読み進めていただければ嬉しいです。

それでは内容について書いていきますね。交流で出てきた話題は以下のような感じでした。

・DV等支援措置でシェルターを利用して家族から離れることができた。
・家を出ることはできたがこれからどうしていこうかと考えている
・家族から離れなければ自分が加害者になってしまうと思い離れた
・「親のために何もしていない人」「親不孝者」として扱われてしまう
・自分自身のために離れたが、自分の配偶者や子どもに「普通」の親ではない、「親として」という部分が担えないという申し訳ない気持ち
・離れるべきだろうけど離れる精神的な決意ができない
・自分が離れることで虐待者である親も自立させなければいけない
・物理的には離れたけれど「逃げ切れた」とは思えず苦しみがある
・自分が離れることで自分が被害者になると同時に家族を加害者にしてしまうという罪悪感

DV支援措置は配偶者からの暴力だけでなく兄弟など家族からの被害から逃げるためにも利用できることもあるため、調べてみたり匿名でいいので電話してみるなどしてみても良いかもしれませんね。

ものすごく内容が多岐にわたり、どれも重要なことばかりでしたので、私の独断で、「離れるという精神的な決意の困難さ」「物理的に離れてからの苦しみ」「社会のまなざしとの葛藤」の3点にしぼって書いていきますね。

1、離れるという精神的な決意の困難さ

虐待者と離れるための制度やサービスは十分ではないかもしれないが存在する。利用できないというよりも精神的な決意が持てず、利用しないことも多くあるのかなと思います。もちろん、知らないことで踏み出せないこともあるので情報は確実に届かせるシステムは必要です。
交流の中では、親からも拒否される経験を経て離れる決意ができた方もいらっしゃいました。また、年齢を重ねるとともに体も成長し力関係が変化することで、このままだと手を出しかねない、暴力をふるってしまう、加害者になってしまうというところで離れなければと決意出来た方もいました。
支援を利用して離れることをすると被支援者となる被支援者=被害者ということになり、それは同時に家族を加害者にしてしまうという点で苦しさを感じ決意出来ないこともあるかもしれませんね。

2、物理的に離れてからの苦しみ

決心をして物理的に離れたとしても苦しみがなくなるわけではないようです。ただ、交流している中では離れた方が離れる以前よりは良いとの意見が多いと感じます。
離れてもなお、「いつか探してこられるのではないか」「電話やSNSなどがくる」「誰かを経由して連絡を取ろうとしてくる」「心の中の存在は消せずどこかで虐待者の存在を感じてしまう」…
場合によっては虐待者が亡くなっても、なお考え方が虐待者の影響を受けていると認識したり、生活習慣や価値観にも虐待者の影響を感じ、ずっと呪縛から逃れられないような感覚があることもあるようです。
「この決断が正しかったんだろうか」というものも抱え続けることは苦しいのかもしれませんね。

3、社会のまなざしとの葛藤

2の離れてからの苦しみにも共通してくるところですが、親と決別するといった事実はなかなか世間には受け入れられないことが多いようです。
「虐待被害は過去のものにして、何十年も引きづっているのは親不孝だ」「子どもなら親の葬式をするのは当たり前だ」「親があって今があるのだから何があったとしても感謝すべきだ」「家族なんだからいつかは許さなきゃ」などなど…
時には、非難の対象にもなってしまうようです。親戚からも言われるといったこともあるようです。
親と離れることがそんなに罪深いものだとは思えないのが私の正直な考えです。たまたま血縁関係があるだけだと思うのです。もし友達と喧嘩したとき、喧嘩してもその他でたくさんの大事な思い出があったりしたら修復するように努めたりするでしょう。喧嘩しても修復するほどの何かがなければそのまま離れるでしょう。きっと友達という関係性であれば世間でも「そんなに嫌なら離れたり関わらなければ良いじゃないか」と自然に言うのではないでしょうか。
なぜ「家族」「親」という枠組みになるだけで離れることがこのように否定されるのでしょうか。それは「家族」「親」というものに執着してきた社会があるだけな気がするのです。でもこの社会が作り出したものは手ごわいですね。
友達だって攻撃的な人はそこまで多くないし、家族だって虐待的なひとはそこまで多くは無いのでしょう。でも友達だって攻撃的な人はいるし、家族でも虐待をする人はいるのです。


なんだかうまく伝えれないですがとにかく今回のテーマはとっても深い交流でした。ありがとうございました。

次回は2月12日19:00~20:15の予定です。テーマは「兄弟について」です。以前にも兄弟を扱ったことがありましたが、最近の交流の中でもよく話題になるので再度扱ってみようと思います。よろしくおねがいします。

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