【詩】 侘び寂び
一杯の香りに
不思議と全てを思い出す
春の芽吹きの瞬き
夏の隆盛の時代
秋の枯草の香り
冬の銀白の出で立ち
茶葉の香りとうま味のアロマ達
その味が五味を退け
忘れていた爽やかさを醸す
身体に溶け込んでゆく
慇懃な苦みに眼を瞑り
天高く透き通る彼方に
思いを馳せる
春夏秋冬
太陽も
雲も
木々も
畑も
人々も
憩いの全てを
焼き付いた情景を
くまなく全てを闊歩させ
脳裏に在りし日の歩みをつま弾かす
侘びと寂びの調合に奥ゆかしく
だらだらと暮れる時間に身を寄せながら
急須の湯気が目に映る
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