生き方
モッズ…。
その言葉を聞いてパッと思い浮かぶモノって何だろう。
モッズ・ヘア?
モッズ・コート?
まだあるのかもしれないが、自分に思い浮かぶものはその程度💦
いずれにせよオシャレなイメージを想像させてくれる。
ちなみにこの「モッズ」って言葉。
調べてみるとイギリスの労働者階級の若者の間で1950年代~1960年代にかけて流行した音楽やファッション、それらをベースとしたライフスタイル、その支持者の文化の事を指すらしい。
そしてそのモッズの影響を大きく受け、自らの道を追い求め追求する一貫した姿勢を継続するアーティストがいる。
そんなブレない姿勢を人は敬意を含めて彼のことをこう呼んでいる。
「モッド・ファーザー」
1958年生まれのイングランド出身のアーティストの事を指す。
彼の名はポール・ウェラー。
パンクムーブメント真っ只中の重要バンド、ザ・ジャムのフロントマンで、解散した後に結成したスタイル・カウンシルのリーダーであった。
1990年にスタイル・カウンシルを解散してからは、一時期そのショックから音楽業界から引退をしようかと思い悩んでいたそうだが、自分には音楽しかないと立ち上がり、ソロとしてのキャリアを歩み始める。
Oasisのメンバーとも仲が良く、そして尊敬されウェラーのソロの作品でノエル・ギャラガーが客演していたりとアーティストとしての立ち位置は何となく伺い知れる。
自分は2000年代になってからのポール・ウェラーの作品から聴くようになった。
なので往年のザ・ジャムやスタカンの作品の事はほとんど詳しくない。
ただ、ウェラーの音楽に対する情熱は凄まじく、よく聴くようになった2005年の「アズ・イズ・ナウ」から現在までの作品数を数えてもオリジナルアルバムだけを数えても9作品を数え、ライブ盤などを含めると、とうに12作品位までになる。
妥協なき音楽に対する情熱や姿勢はそのサウンドにも表れている。
ソウルやR&Bなどのブラック・ミュージックのフィーリングを漂わす作品もあれば、ジャム時代の疾走感を漂わすパンキッシュな作品もあり、かと言えばストリングスをフィーチャーした芸術性の高い作品もあれば、内省的なフォークの文脈を綴ってみたり、ジャジーなサウンドやロックン・ロール、更には現代的にエレクトロを中心に据え、EDM的にロックするエレクトロニカ・ロックを追求したりと、サウンドの幅がまさしく音の匠と言える振れ幅を持っている。
それを齢50の頃から(2008年位から)オリジナル・アルバムだけでも8作品を発表するなど、その精力的な姿勢はまさしく「モッド・ファーザー」なのだろう。
尊敬の念を集めるわけだ。
そして来年早々にポール・ウェラーは来日公演を行う。
2018年ぶりだから6年ぶりか。
直近の作品は2021年発表の「ファット・ポップ」で、この作品も多彩なサウンドであり、デジタルな要素も巧みに加えドライブ感のあるアルバムになっている。
いや、来年の来日公演も楽しみである。
そしてポール・ウェラーのアルバムでソロ・アコースティック・ライブを収録した2001年の作品がある。
「デイズ・オブ・スピード」
アルバムはそれまでの全キャリアを包括したような内容になっており、気負いも消え、自分の全ての音楽活動と向き合っていく事ができたとも言える音の記録的な作品とも言えるのかな。
そんな作品の一曲目がブラン・ニュー・スタートというソロになってからの最初のベスト盤「モダン・クラシックス」に収録されたナンバーだ。
「デイズ・オブ・スピード」を聴いた時に、凄くこのナンバーが心に残ったのを記憶している。
その歌は生き方、そして姿勢を表しているように感じてしまう。
まるでポール・ウェラーが作品を精力的にこなす姿は、あたかもこの歌に込められた意味とダブる部分もある気がしてならない。
様々なキャリアを経て自らのサウンドを追求する姿勢、そして一度は挫けそうになりながらも多種多様にサウンドを更新する姿は歌詞の通りに、実直に、新しいスタートを切り続けているという事なのかもしれない。
そして歌詞の一節には…
ちなみに二つの上文の和訳と動画と一部和訳が違うかもです…💦
自らに言い聞かせているようにも聴こえ、そして聴く者を鼓舞するようにも思える緩やかなファイト・ソング、「ブラン・ニュー・スタート」
ポール・ウェラーのような生き方は到底マネはできないが、歌のように常に今を生き続けているウェラーのエッセンスを感じ、この曲を聴いてみるのも良いかもしれない。
遅すぎることなんてのはない。
新しいスタートを切るために。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?