LIVE・AT・GRAND・OLYMPIC・AUDITRIUM
アーティストのライブの模様を収録した、俗に言う「ライブ盤」。
普段聴きなれた感じとライブ・バージョンだと同じ曲でも違った感じに聴こえる。
アレンジが違ったり、演奏のテンションが凄かったり、テンポが違ったりなど…。
なので、オリジナルアルバムとは違った魅力を見せてくれる。
きっと音楽をお聴きになられる方で好きなアーティストのライブ・バージョンとかもお持ちの方もいらっしゃるのでは。
良いですよね、ライブ・アルバム。
何より観衆の息巻く歓声や、エネルギーも一緒に収録されているので、そこも含めて一つの作品とも言えるのかな。
そのライブならではのエネルギーを詰め込んだ、大好きなライブ・アルバムがある。
アメリカはロサンゼルスにグランド・オリンピック・オーディトリウムという施設がある。
1924年に竣工され、1932年のロス五輪でボクシングとレスリングの会場として使用されていたそうだ。
なので施設の名前にオリンピックという名前があるんでしょうね。
ロス五輪後、ボクシングやプロレスの興行をメインに稼働していた時期があり、2005年までボクシング興行はしていたそう。
プロレスでは、1958年に力道山とルー・テーズが試合をしたり、ジャイアント馬場がザ・デストロイヤーと戦ったりしているそうで、アントニオ猪木や坂口征二(世界の荒鷲、元新日本プロレス社長、俳優の坂口憲二の父)も試合をしていたりと、オールド・ファンにはたまらない試合がそこでは繰り広げられていたのであろう。
オーディトリウムは音楽のライブ会場としても使用されている。
ちなみに調べてみると施設は現在礼拝布教施設として使用されているそうだ。
施設がライブ会場として使用されていた頃…。
2000年9月12日と13日にとあるバンドのライブがオーディトリウムで行われた。
2000年はアメリカ大統領選挙が行われた年。
確かジョージ・W・ブッシュとアル・ゴアの戦いだったっけ。
選挙も間近で行われた時か。
ライブは最初から両日のレコーディングするつもりで行われた。
そのテンションと熱気は凄まじく、声の迫力も楽器から繰り出される重低音も異様なテンションを感じる。
観衆のテンションも強烈にほとばしるものがあり、いまだにライブ盤の音源も映像(DVD)を見返しても胸が熱くなりそうだ。
作品は「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」というバンドがリリースした。
発売されたのは2003年12月10日。
「ライブ・アット・グランド・オリンピック・オーディトリウム」
ちなみに発売された頃には既にレイジは解散している。
ライブが行われたすぐ後にヴォーカルのザック・デ・ラ・ロッチャがバンドを脱退したため、そのまま解散してしまった。
オーディトリウムで行われたライブはレイジの最後のライブとなったわけである。
といっても2007年に再集結して活動を再開するわけではあるが。
ただ、2003年はザック以外のメンバーは、元サウンド・ガーデンのクリス・コーネルをヴォーカルに迎えて「オーディオ・スレイブ」というバンドで活動をしている。
個人的にオーディオ・スレイブも好きなバンドでしたね~。
いやはや懐かしい…。
話をアルバムの事に戻すと…
収録内容の素晴らしさもさることながら、アルバムジャケットも印象的で「レイジ」というバンドをシンボライズしたかのようなジャケットだ。
レイジは1991年に上記のメンバー四人によりレイジは結成される。
レイジのバンド名を直訳すると「機械に対する怒り」だそうで、チェ・ゲバラやマルコムXなどから影響を受けた思想の影響で、ヴォーカルのザックが放つ熱を帯びたラップは政治的メッセージ性を込めた歌詞が目立つ。
ヒップ・ホップに影響を受けていた事や、言いたいことを全部放出させようと思うとラップってのが最適だったのかもですね。
そして、重みと熱さの塊のようなグルーブを放つリズム隊と、ハーバード大卒のインテリでもあるトム・モレロが弾くギターが重なりレイジのバンド・サウンドは他とは一線を画すバンドとなっている。
特にトムの弾く「変態奏法」とも呼ばれるギター・テクニック。
極めて特徴的な音を立てて、レイジのサウンドをザックのラップと一緒に唯一無二の「レイジ・サウンド」にしている。
聴いているとこれは本当にギターから流れている音なのかと率直に感じてしまう。
エフェクター(楽器とアンプの間に繋いで、音色に変化を与える機材)を用いて、音を装飾するのもそうだが、ギターシールド(ギターとアンプなどを繋ぐケーブル)を抜いてエフェクターを駆使して、シールドで演奏してみたり(機材には良くないそうです。)、スイッチング奏法や6角レンチを使ったり、レコードを擦ったようなスクラッチ音をギターで奏でてみたりと、まあ凄い。
トムの弾くおよそ機械のノイズのようなギター音が、バンド・サウンドに乗りとてつもないエネルギーを放っているわけである。
バンド名が「機械に対する怒り」というのもあるんだろうし、ザックのラップや、ティムの鞭のようにしなる重低音のベース音などの相性を考えて色々と創意を重ねられた結果なんでしょうね。
何かスミマセン💦
本当に凄いです。
バンドは三枚のオリジナル・アルバムと一枚のカヴァー・アルバムを残し解散をする。
ライナーノーツに記されているが、どうやらこのアルバムはライブ直後の11月に発表するつもりでいたそうだが、ザックの脱退、そして解散という事もあり発売が2003年になったわけだ。
ライブ盤を聴いていると分かるが、迫力感と同時に一種の緊張感さえも感じてしまう。
政治的メッセージを顕著にし、時のアメリカ大統領選の直前でそれを批判するかのようなPV「テスティファイ」を発表するなどしている。
そういった姿勢から生まれる一種の緊張感をバンド・サウンドに落とし込み、ザックは気迫と怒りを持って渾身の力でラップを繰り出す。
とてつもないエネルギーを放つバンドだと思う。
キリキリとした切迫感が常に横たわり、それはこのライブ盤でもヒシヒシと伝わってくるのが分かる。
三枚のオリジナル・アルバムと、カヴァー・アルバムの曲もライブでは披露しており、音源はボーナストラックを含め18曲あり、映像では16曲と別ライブの収録もされている。
ティムのベースとブラッドの腹の底まで響くような重低音のリズム隊と、トムの鋭利な刃物で空間を切り裂くような、研ぎ澄まされたギター音にザックの放つライムと、フロウは言葉の塊となって観衆に突き刺さっているかのようだ。
2000年は大統領選があった年。
そしてライブはレコーディングするつもりでいた。
ヴォーカルのザックはその後脱退をしている。
色々なエネルギーがこのライブ盤に働いているかのように思う。
今聴いても自分の中では唯一無二のエネルギーを放つ凄いライブ・アルバムだと感じる。
大好きなアルバムだ。
ってなわけで少しだけ曲紹介を…。
7曲目に収録されている「ボム・トラック」。
1992年に発売された「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」に収録されている。
ゴツゴツとしたベースとギターの重なり合った音に、怒りをぶちまけ滔々とラップを繰り出すザックの迫力。
サビの「ボム!!」のティムのコーラスとザックの声が相まって凄い破壊力を生んでいる気がする。
特にティムのコーラスが凄い力強く感じてしまう。
12曲目に収録された「ゲリラ・ラジオ」。
1999年に発売された「バトル・オブ・ロサンゼルス」に収録。
日本では昔放送されていた某総合格闘技番組のテーマ曲として有名ですよね。
以前記事にこの曲が好きだなんて書かせて頂いたが、このオーディトリウムで収録されたゲリラ・ラジオは凄いエネルギーを放っている。
圧倒的なリフに、追い立てるかのようにアタック感をつけるドラミングで始まる序盤。
ザックのラップも鋭く、トムが弾くスイッチング奏法を駆使したギターソロが耳に残る。
やっぱりいっちょやったるか!!
って気になりますよねww
11曲目に収録された「ピープル・オブ・ザ・サン」
1996年に発売された「イーヴィル・エンパイア」に収録。
金切り音のようなギター音に、鞭のようにしなりヴォリューム感あるベース音が特徴的。
ザックのラップもあり、ファンキーな印象を受ける。
「この歌を太陽の民に捧げる」
意味の深そうな歌詞ですね。
「テスティファイ」。
「バトル・オブ・ロサンゼルス」に収録。
紹介がかぶっちゃってますが💦
ライブ盤のテンポの良さが凄いクセになるんですよ。
トムのトレモロとエフェクターによるストーミーな感じのギターリフに、ゴリゴリのベース音、それに負けじとブラッドのシンバルを駆使したドラミングがサウンドをより強固にしてますよね。
機械的な音のするギターソロはトムがシールドを抜き、エレキのピックアップ付近をつついて音を立てているそう。(機材には良くなく、故障の原因にも。)
いや、凄い音しますね(笑)
映画「Godzilla」収録曲。
15曲目に入っており、ザックのラップとトムの特徴的なギター音のリズムが中毒性を生む。
不穏な立ち上がりで爆発するラスト。
ワーミーかな?
トムの金切り音のギターがクセになります。
っといった感じで自分の気に入ってるナンバーを取り上げてみました。
ご興味ございましたら、よろしければ動画ご視聴下さいませ。
このエネルギーに満ちたサウンドは本気で凄いと思います。
レイジの後に続くミクスチャー・バンドの礎を作ったような足跡を残した「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」。
解散前の貴重なライブの音源を残した素晴らしいアルバム。
他にも魅力的な曲はたくさんあり、カヴァー・アルバム「レネゲイズ」に収録されたナンバーも演奏している。
本当に聴き応えのある作品だ。
記事を最後まで読んで頂き誠にありがとうございます!
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