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母のために選ぶ、児童書。15

90歳を超えて、さすがに母も小さい文字が読みづらい、眼鏡をかけても本が読めないというのです。電子書籍は母には使いこなせません。ルーペ眼鏡も、母には使いにくいようです。ならばと、視点を変えて、児童書にアプローチしてみました。これは、いけるかも!

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 17セット目の3冊についてご紹介します。通算51冊目になります。母の感想はどうだったでしょうか、ご報告します。

・『すみれちゃん』 石井睦美作/黒井 健絵 偕成社刊☆
・『オバケたんてい』 藤江じゅん作/吉田尚令絵 あかね書房刊
・『カステラアパートのざらめさん』島村木綿子作/コマツシンヤ絵 Gakken刊☆

 母によれば、三冊とも面白く読んだそうです。ちなみに、☆マークの本は母から借りて私も読みました。

 週1回ペースで様子を見がてら、母に会っています。そのとき、新しい3冊セットの児童書を渡すことが多いです。
 たいてい、母はまえの3冊を読み終わっています。持参した3冊を母にわたすと、そのうちの1冊をサッと手に取るが早いか、さっそく読み出すこともままあります。
 読書意欲は年齢と関係がないと思う瞬間です。

 さて、今回の1冊目は、書店で選ぶとき『すみれちゃん』という書名と、かわいい表紙の絵が私の気に入りました。
 この本を読んで思ったのが、主人公のすみれちゃんの、内心の声のかき方が面白かったことです。
「よい子、かわいい子」という、よくある典型の書き方ではなく、幼児にもそれなりの屈託があるし、意地悪な気持ちを抱くときもある、周りの人間の言動にいらつくこともある、つまり大人の心理や行動に通ずるものがある、という書き方です。
「天使性」を否定はしませんが、幼児だって人間なのですから、周りのおとなの無理解などへの、マイナス感情があっても当たり前かもしれません。作者の観察力とケレン味のない表現に感心しました。

『カステラアパートのざらめさん』
は、たまたまですが、前回(14)の3冊目『あやめさんのひみつの野原』とおなじ作者の本です。 両作品の内容は、共通点が色々ありました。ストーリー自体は全然違うので、二つの絵にたとえられますが、額縁〈フレーム〉が似ているというか。
 書名が「あやめ」と「ざらめ」で似ていますね。読んでわかったのが、どちらも「主人公は少女で、猫と仲良し」です。どちらも動物が活躍します。あやめさんのほうは、野生の小動物や鳥やカエル。ざらめさんのほうは、イヌやネコ、それにカメやらアメンボやらカエル。しかも、人間としゃべる!
 よく観察されたものだと感心したのが、イヌやネコの鳴き声の表現です。単純な「ニャー」とか「ワン」だけではなく、まるでしゃべっているように微妙なニュアンスで鳴くんですね。擬音の巧みさに驚きました。私も動物好きですがそこまでは聞き分けていませんでした。

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 ここから母のために選んだ18セット目の3冊、通算54冊めのご紹介です。今回も、大型書店で選びました。今回もハードカバーのものを3冊選びました。

・『かみさまのベビーシッター』 廣嶋玲子作/木村いこ絵 理論社刊
・『本屋さんのルビねこ』野中 柊作/松本 圭以子絵 理論社刊
・『なりたいわたし』村上 しいこ作/北澤 平祐絵 フレーベル館刊

 1冊目は、書店で選ぶとき、表紙絵の奇抜な感じが印象的でした。女性と男の子はわかるのですが……真ん中の動物なのか、鳥なのか、正体不明のまるい絵が「かみ(神)さま」ですか?気になりました。
 女性と男の子は親子のようですが、女性はレストランのホール担当さんのように料理がのったお皿を何枚も持っています。男の子はパジャマ姿でみずたま模様のタオルを両手に。どういう脈略で三者がつながるのか。この本は手ごわいかも。一筋縄ではいかない感じがしますョ。

 
2冊目は、以前から気にはなっていた本ですが、今回購入と相成りました。シリーズもので数冊出ていまして、そのうちの一作目です。こんどの表紙は打って変わって落ち着いた雰囲気で、レトロな感じすらします。重なった本の上にちょこんと座ったネコが、本を開いて両手(前足)で持っています。視線は、上目遣いで何かを考えている風にも見えますが……。
「ルビねこ」とはどんなねこで、また、どんな物語が展開するのでしょうか。母の後で読むのが私も楽しみです。

 
3冊目は、またまた違うテイストの表紙絵です。児童書ごとに様々な個性で描かれていて楽しいですね。
 この本の表紙、ランドセルを背負った4人の女の子が、大きな額絵の前に立って絵をみている風です。しかし、絵の中でポーズをとっているのは、観ている女の子たち自身で、しかも右から二人目の女の子は、まるで今、絵から抜け出して地面におり立ったばかりという……絵なのか実体なのか微妙な構図です。書名の「なりたい」に、どうも秘密のカギがありそうな。

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 今回選んだ3冊も、個性的なたのしい表紙で、書名も興味をひかれるものです。母の気に入るでしょうか。

 結果は、次の記事でご紹介します。では、またお会いしましょう。



※春田みつき さんの画像をお借りしました。

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