ショートストーリー「間違いロボット」5

漫才ロボットがちがうことを始めた

将棋を指しだしたのだ

きのうまで、漫才や漫談や漫画を描いたりしていたのに

それが、けさ起きたら

解説の声が、あれっ

書斎から聞こえるので行ってみると

ロボットが将棋盤に向かっている

「センテ　ニー　サン　フ」

「ゴテ　ニー　ロク　フ」棋譜読み上げが告げる

「10ビョー……20ビョー……25ビョー……

　センテ　9カイメ　ノ　コウリョジカン　デス。ノコリ　1　プン　デス」

「……ノコリ　５ビョー　４ビョー　３ビョー」記録係が告げる

〈どうした、先手、時間がないぞ！〉

「オーテ　ヒシャトリ！」先手が叫ぶ

〈あれ、先手が裏をかいたか！縁台将棋みたいな手だが〉

ひとり5役

某テレビ局の番組よろしく

〈先手〉と〈後手〉と〈記録係〉と〈棋譜読み上げ〉と〈解説〉をやっている

笑い声やら口笛やらのない、静寂の中

「マケ　マシタ」と後手が言う

「カチ　マシタ」と先手が言う

「エッ、ソンナ　コト　フツウ　イワン　デショ　ヘンダ。　エ～、トーリョー　デス！」解説がつっこむ

終わってすわっているロボットは、無表情でちょっとこわい

自分が勝って、自分が負けて五分五分のあいこだから？

アッ！ひょっとして・・・

スランプで漫談ができなくなったロボットをきのう修理にだして

つなぎに代わりのロボットを頼んだっけ

きたのが今のやつ

ろくに確かめもせず玄関先にたたせておいたが……

彼女の前髪をちょっと上げて

小さな印をよく見ると

字が小さくてわかりにくいが・・・

いやー、まるの中に「将」じゃん

前のやつは

まるの中に「漫」だったな

（識別方法のなんとアナログなことか！〉
しかも、
〈将で「将棋」？。マツケンの暴れん坊「将軍」とか、海援隊のあんたが「大将」とかとどう区別する???〉
えっ、ひょっとして
〈全部できるってことかあ⁈〉
すげー!!!

でも一応、業者にクレームをカマ●●さなくちゃ「間違えんなー」

これで5回目だ。いいかげん腹が立つが、待てよ、おためしって意味か

じゃ、ほかの〈将〉も観てみたい、うっしっし😁

午後は「暴れん坊将軍」のビデオをリクエストしようかな

120インチ4Kの大スクリーンと、5.1ｃhのサラウンドシステム大迫力でお願いしやす

漫は……まっいーか、というのも漫才や漫談や漫画なくても生きていけるし

（将棋や将軍や大将見なくても生きていけるけどぉ……）

オレだって　自分で漫画描くのは朝飯前だしぃ

とりあえずペコペコの腹を満たそう

「スーパー……なんちゃら」

長い名前なんで、思い出す気もウセ●●たが、これが現物💊だ

満腹感も得られる最先端の「食事カプセル」

オレはそれを2、3粒のんだ

業者には強気でクレームっぽく切り出して

今度のことは許すとおためごかしで

「貸し」を作ってやろう

いや、こっちの「かし」のほうがいいか⁈

「ロボットちゃーん「あんたが大将」の主題歌の『歌詞』教えてくださ~い」

「ワカッタ　チョット　マッテロヨ。」

やっぱ、ちょっと怖いわ

＜つづく、かも。＞

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※すわけいこ さんの画像をお借りしました。