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『寝る前5分のパスカル「パンセ入門」』について(3)

アントワーヌ・コンパニョン著『寝る前5分のパスカル「パンセ入門」』を通読して、特に私の印象に残った回について振り返りましょう。

今回はその3回目です。


25「心には心の言い分がある」

以下「 」内は著者による『パンセ』からの引用です。

「心には心の言い分があるが、理性はそれらをまったく知らない」。かくも美しく釣り合いのとれた格言を耳にしたことのないものがあろうか?
「神を感じるのは心であって理性ではない。信仰とはそのようなものである……」
……しかし、神にかかわる真理の場合、それらは神の恩寵によって魂に入るのだ、とパスカルは付け加えていた。「心から精神のなかに入るのであり、精神から心のなかに入るのではない」

本書に頻出するのですが、ここでも「神」「恩寵」など私たち日本人の日常にはなじみの薄い言葉や概念が出てきます。

しかし、「真理」「心」や「精神」など、より普遍的な概念をよりどころに理解していこうと思います。

「我々は真理を理性によってのみならず、心によってもまたそれを知るのである。」
心、すなわち直観によって、私たちは、例えば空間、時間、運動、数といった、第一原理の存在を確信している。
……心が自然にかかわる真理の直接的な認識を与えるのであり、「そうした心と本能による認識にこそ、理性は支えられているはずである」

ようやく、少しずつわかってきた気がします。

ここで一つ気になるのが、著者が「第一原理」に言及した部分については、それが自明のこととしたうえでそうしたのでしょうが、そのままパスカルにあてはめていいのか?という疑問です。

第1回で触れたように、パスカルは慎重な科学者の立場から当時の科学の潮流に迎合しませんでした。

西洋の自然科学が出発点としていた「第一原理」というような存在。パスカル自身はどのように考えていたのか。それを知りたいと思いますが……ここは、慎重に取り扱っていただきたいです。


これも第1回で触れたように、岡潔の言葉によれば空間や時間の存在は自明なものではありません。

現代科学の認識もそのほうへ向いていると思われます。「超ひも理論」(超弦理論)によれば、この世界は9次元であり、空間は幻想であり、時間も……だそうです!?


――(4)へ続く――




※ia19200102 さんの画像をお借りしました。

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