母のために選ぶ、児童書。16(ひとくぎり)
90歳を超えて、さすがに母も小さい文字が読みづらい、眼鏡をかけても本が読めないというのです。電子書籍は母には使いこなせません。ルーペ眼鏡も、母には使いにくいようです。ならばと、視点を変えて、児童書にアプローチしてみました。これは、いけるかも!
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18セット目の3冊、通算54冊めのご紹介です。母の感想はどうだったでしょうか、ご報告します。
・『かみさまのベビーシッター』 廣嶋玲子作/木村いこ絵 理論社刊
・『本屋さんのルビねこ』野中 柊作/松本 圭以子絵 理論社刊☆
・『なりたいわたし』村上 しいこ作/北澤 平祐絵 フレーベル館刊☆
母によれば、三冊とも面白く読んだそうです。ちなみに、☆マークの本は母から借りて私も読みました。
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『本屋さんのルビねこ』は、以前から気になっていた本で、シリーズもののうちの一作目です。表紙は落ち着いた雰囲気で、レトロな感じすらします。重なった本の上にちょこんと座ったネコが、本を開いて両手(前足)で持っています。視線は、上目遣いで何かを考えている風にも見えますが……。
本屋さんで生まれた子猫、小さくて最初はネズミに間違われます。店の本を読んで大きな動物にあこがれたり、先輩ねこから誘われて冒険したり、飼い主さんとのふれあいのなかで体も心も成長していきます。
以前、怖い思いをした人に、ある日再会して今度こそ危ない!無事に逃げられるでしょうか。
『なりたいわたし』には、考えさせられました。表紙は、ランドセルを背負った四人の女の子が、大きな額絵の前に立って絵をみている風です。絵の中でポーズをとっているのは服装こそ違いますが、観ている女の子たち自身で、しかも右から二人目の女の子は、まるで今、絵から抜け出して地面におり立ったばかりという……この少女が主人公で、四人は友達同士。
前回の、『すみれちゃん』では、幼児の心理のあやが印象に残りましたが、本作では小学三年生の少女のそれが描かれています。口べたで思ったことを言えない性格の主人公。友達との仲もぎくしゃくしがちな今日このごろ。
あるとき、自分をしばっているものから自由になることを決意します。はたして勇気を出して道を切り拓くことができるでしょうか。
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ここから母のために選んだ19セット目の3冊、通算57冊めのご紹介です。と今までなら次の3冊のご紹介をするところですが……
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読んだ本の内容って意外に覚えてないもの。同じ本をまた買ったという経験が私にもあります。ましてや、高齢の母ですから児童書を読み始めた最初の5月ごろに読んだ本の内容といっても、あまり記憶にのこっていないのではないか。
あと、いい本は読むたびに新鮮、二度目に読んだらちがう発見があった、そんな経験もあります。といいながら、あまり再読の習慣がない私ですが、また読みたいと思うケースもあります。母に聞いてみました。
「読んだ本が面白かったことは覚えてても、内容まで全部は覚えてへんと思うしね。新しい本はいったん止めて、最初に戻って読み直してみるのもええかもしれんね」と母が言いました。
「そうやね。実際にそうしてみて、もし新しい本を読みたいと思うたら、その時はまたそうしたらええやん」と僕が提案しました。
ずらりと並んだ既存の本を母と二人で見ながら相談の結果、方向が決まりました。
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というわけで、18セット、54冊までで新しい本を買うのはいったん中止して、母は既読の本の再読に切り替えることにします。私もそれにならって再読を楽しみたいと思います。
ついては、このシリーズもここまでで一旦、ひとくぎりさせていただこうと思います。もし、新しい本の購読が再開した際には、またご紹介したいと思います。
母も私も何十年ぶりかで、児童文学という豊かな世界との再会に目を開かされました。幸せな出会いを彩っていただいた、作者、画家、編集者、出版社の方々に感謝します。これからも親しく読み続けていきたいと思います。
これまでシリーズを読んでいただき、どうもありがとうございました。
皆様どうぞよいお年をお迎えください。
※春田みつき さんの画像をお借りしました。
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