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憲政史上最悪の宰相・安保晋五③終わりのはじまり
「…毛利さん」
都内の自宅マンションに入ろうとした毛利正義は呼び止められた。毛利が振り向くとレクサスからひとりの男が降り立った。週刊文藝の新屋編集長だった。
「こんな遅くに、何の御用でしょうか」
毛利は、右手首にはめたグランドセイコーを確認した…午後11時半。
「今週、黒沢検事長のネタを打ちます」
「ネタは?」
「検察庁詰め記者との常習的な賭け麻雀です」
「!!!」
煙草を1本振りだして口に咥えた
憲政史上最悪の宰相・安保晋五②司法府支配
毛利正義は、愕然とした…ついに、この男はここまで堕ちたか。
安保晋五は、2012年末、民自党党首として衆議院議員選挙に臨み、政権を奪還し二度目の総理の座についていた。
それから約7年。
世界中を恐怖が支配していた。コロンウィルスの蔓延である。それは、日本においても例外ではなかった。
アメリカ、ヨーロッパ諸国、中国等には及ばないまでも、感染者数1万5000名、死者800名を数えていた。
そんな折も