憲政史上最悪の宰相・安保晋五③終わりのはじまり
「…毛利さん」
都内の自宅マンションに入ろうとした毛利正義は呼び止められた。毛利が振り向くとレクサスからひとりの男が降り立った。週刊文藝の新屋編集長だった。
「こんな遅くに、何の御用でしょうか」
毛利は、右手首にはめたグランドセイコーを確認した…午後11時半。
「今週、黒沢検事長のネタを打ちます」
「ネタは?」
「検察庁詰め記者との常習的な賭け麻雀です」
「!!!」
煙草を1本振りだして口に咥えたが、路上喫煙禁止エリアであることを思い出し、毛利は手にしたデュポンで点火するのは