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人材紹介業はシュリンクマーケット!?

ご無沙汰しております、株式会社 Ability Partners Consultingの和泉です。

仕事でバタバタとしてしまい、久しぶりのNoteになります。

前回の投稿から、
4月に創業1周年を迎え、
そして今週、ついに…

第一号社員


を迎えました!!

これからジワジワと拡大、成長していこうと思っていますので、引き続き応援よろしくお願い致します。


さて、拡大!なんて言っておきながら、
昨今、人材紹介業の中では、

「人材紹介ってシュリンクマーケットだよね」

などという話も出ていたりします。

今回は、人材紹介業界の将来や価値について、筆を取らせていただきます。


人材紹介の営業はお断り!


先日、某企業のHR責任者の方に対し、ネットのインタビュー記事を読んだことをきっかけに連絡をし、情報交換を依頼したところ、30分だけお時間をいただくことができました。

業界でも大変厳しいHRの方という前評判がありましたので、しっかり準備をして臨もうとしていましたが、

まずミーティングの冒頭では、

「今日はどんな目的?営業?営業なら今はお断りですから」

と厳しいお言葉からスタート。

その問いかけに対しては、

「はい、私は営業なので、もちろん営業です」

とすんなり正直に回答して。

とはいえ営業といっても、短期の営業ということだけでなく、中長期の営業と両方あると思っていて、そういった意味での営業と捉えていただければ、とお伝えしました。


TA職の発展

TAという職種は、まだまだ業界外では一般的に聞かないタイトルかと思いますが、外資系、殊に外資系IT領域では、すでに一般化された職種になります。

Talent Acquisition (TA)、言ってみれば採用担当なのですが、
従来の採用窓口と比較すると、
各エージェントのマネジメント中心の業務に加え、
より積極的に「獲得(Acquisition)」という要素が加えられた、
いわば、インハウス(社内)ヘッドハンター的存在なのです。

それが故に、TA職に就いている方の多くは、当社のようなエージェント出身者がほとんどです。
TA職はたいがい固定型給与の会社が多く、所属企業や前職年収にもよりますが、外資系だと800~1300万円程度が相場かと思います。

人材会社に支払うコスト(1名のご成約につき200~500万円)を考えれば、採用数が多い会社にとっては、コストパフォーマンスが高く、自社にコミットしてくれる分、TAを採用する大手企業が増えているのが、昨今のトレンドになります。

また、これを正社員として抱える企業様もありますが、採用需要がなくなったときのリスクを踏まえ、完全に外注化して、RPO(Recruitment Process Outsourcing)サービスの会社に依頼している会社様も増えてきています。

今回お会いしたお客様においても、このTA職を強化しており、逆にエージェントの割合を減らしているので、さらにエージェントを広げることはできないというお話でした。


エージェントへの期待1:
マーケットインテリジェンスの提供

さらには、エージェントに対してのお小言も。

自社に特化するがゆえにTAが不得意とすることは、
自社以外の近しい業界の各社、採用競合について等のマーケットインテリジェンスを提供すること。

それを広く様々なクライアントをカバーするエージェントに期待しているにも関わらず、提供してくれるエージェントは少ないとのことでした。
そうなってくると、もはやエージェントを使用する価値がなくなる、ということだそうです。

私はこれにはいくつかの理由があると思っています。

1.コンサルタントのキャリアが短いため

人材紹介の仕事がきつくて辞めてしまう、
うまくいっても、飽きたと言って辞めてしまう(個人的に人材業界の方は活発性が高い分、飽き性の人が多いと思っている)、
同じような理由で、ひとつのマーケットに飽きてしまい異動をしてしまう、
というような理由で、1年未満~3年と短い期間で一つの領域を卒業してしまう方も多いため、
参入障壁は低い一方で、定着率が低い業界と言えるかと思います。
それがゆえにマーケットを熟知したコンサルタントが少ないということは昔も今も変わらず言えることかと思います。

2.担当クライアントの細分化により業界全体の動向を把握するのが難しい

人材マーケットは、リーマンショック後、コロナ時期を除き年々拡大。
近年は、売り手市場に拍車がかかり、各人材紹介会社は人数を増やせば増やすほど売上が上がるという構造になっています。
特に大手の人材紹介会社は、人数を増やした分、各クライアント配分を細分化。
10年前は、1名のコンサルタントが、各領域で10~20社程度抱えて活動していたところ、今ではクライアントの部門ごとに担当者を分けるなどし、1社に対し2~10名と複数のコンサルタントを配置したりと細分化が進んでいます。
そのためTA職の方と同じで、担当クライアントに関しては詳しいのですが、それ以外の各社の動向、マーケット全体の動きについては案外疎く、よほど努力してマーケット情報を集めないと、なかなか難しいと言えるのではないかと思います。


エージェントへの期待2:

Exclusive性の高い候補者様のご紹介

さらにそのHR責任者の方は、質問を投げかけられました。

「スカウトのリソースは何を使っているの?」

「今は100%リファーラル(紹介)とLinkedInですね」

LinkedInだと情報量も少なく、
一人一人お会いしていかないと実際の経験も志向もわからないので、
少ない情報の方でもコンタクトしてお会いするようにしているのと、
今現在アクティブでない候補者様もお会いしていて、
数年にわたり情報交換をし、長いお付き合いを経て、初めて転職するケースもあるので、
リソースはTAの方と概ね同じかもしれませんが、できることが少々違って、
それがゆえにExclusive性の高い候補者様のご紹介が可能になる、
という説明をしたところ、
それについては共感を得られたかと思います。

昨今は、人材紹介業界の中でも、
「ジョブボードに頼りすぎだよ、日本のエージェント!」
という話題のブログなどを目にします。

ジョブボードとあえてひとくくりにしましたが、
日本ではビズリーチが代表的ですね。
一昔前は転職といえば、リクルートでしたが、
今ではビズリーチを思い浮かべる人の方が多いのではないでしょうか。

こういったジョブボードは、

・ユーザーインターフェースも良く
・情報量も多く
・転職に興味を持ち自ら登録した登録者属性

を考えると、
短期の売り上げを狙うエージェントにとって使いがっての良いシステムになっています。

昔はネームコレクターやリサーチャーが、
会社名や候補者の名前を地道に集めて、コールドコールしてスカウトしていた時代を思えば、
ずいぶん変わりましたね。
(コールドコールはコロナになってからはオワコン化していてしまったと思いますが)


エージェントへの期待3:

キャリア相談

これは、前段の内容をクライアント目線から候補者様目線にした形ですが、広い視野でキャリア相談ができるということは、エージェントの一つの存在意義になっていると思います。

TAやRPOリクルーターにとっては、自社の案件がフィットしなければ、それ以外の選択肢を提案することもできず、全体的なアドバイスをすることも、構造上基本的には難しいからです。

では、エージェントならどこでもできるかと言えば、これもNoです。

目標に追われて担当案件をごり押しするコンサルタントや、経験値が少なくキャリアのモデルケースを多く知らないコンサルタントには、成し得ない技になりますので、これも限られたエージェントにしかできない差別化になると思います。

実は、手前味噌ながら、当社にご相談いただく方は、このキャリア相談を目的とされる方、他社で紹介された案件の妥当性を見極めるために相談に来られる方が多いのです。

他社の案件でも

「それは聞いている限りは良さそうですね!決めるべし!」

「その案件は条件的に良さそうに見えるけど、正直言えばキャリアにあまりプラスにならないです」

などとずばっと平気で言ってしまう性格から、ご相談いただけるのだと思いますが、
私はただの良い人ではありません(笑)
(いや、ちょっとお人好しで、お節介なところもあるかも!?←自分で言う)

その時当社を利用されて転職しなくても、
先々利用されるかもしれないですし、
ご友人やご同僚を紹介いただけることもあるでしょうし、
さらにはその方がお客様として当社に発注いただける可能性まで考えると、
正直人材紹介(正直不◯産的な)でサービスを行った方が、周り回ってお得だからです。


人材紹介マーケットはシュリンクするのか?

という質問に対し、私はずばり
「Yes」
という見解を持っています。

シュリンクというとなんだか絶望的な感じがしますが、どちらかというと飽和するという意味合いが強いと思います。

日本企業で定年まで勤め上げるモデルが当たり前だった時代から、
市場変化を経て、転職や中途採用が当たり前になり流動性が高まると、
需要が大きくなり採用マーケットは未だかつてない活況なご時世となっています。

その市場の伸びとともに、

・AIなどの新しいテクノロジー(マッチングや自動提案機能)
・SNSなどマーケティングの多様化
・スカウトサイトの一般化
・TAやRPOの発展

など人材紹介に限らず様々なリソースが生まれ、それらを活用することで、ユーザーリテラシーが上がり、ユーザー自身でリソースを見極めリーズナブルなリソースを選べるようになってくる時代になると、他サービスに比べ高価格な人材紹介ビジネスは淘汰されていくと思うのです。

これは未成熟だった人材ビジネスが成熟し、適正になるということではないかと思います。

これまでドキュメント屋のようにCVやJDだけをひたすら送り続けてきたエージェントは、マーケットから消えることになると思います。


人材紹介マーケットにおける勝機は?

これには具体的に戦略があるのですが、社外秘につき言えません(笑)

ただ、今後、紹介会社に求められていくことは、

・マーケット、各クライアントの深い知見
・様々なモデルケースから想定される採用戦略やキャリアプランの提案
・ありふれていないニッチな案件やExclusive性の高い候補者様の紹介
・恣意的にならず客観的視点を持ったアドバイス

だと思い、以前よりもよりコンサル要素が求められていくと思います。


どうするAPC

当社では様々な観点から、現在は人材紹介に集中して活動していますが、将来的にはそれに過度に固執することはなく、時代の流れに合わせて、変化できるよう、今は他ビジネスの実証実験もしつつ、新しいサービス開発もできるリクルーティングサービス会社になることも目指したいとは思っています。

人材紹介の仕事が好きで、価値もあり、これからもビジネスを広げられるという想いで起業しましたが、
やはり「今」だけではなく、
10年先の業界がどうなっていくのか、
想像しながら事業を行っていける会社を目指したいですね。

当社にては随時採用活動も行っておりますので、ご興味のある同業の方もいましたら、ぜひカジュアルに説明いたしますので、お声がけくださいますと幸いです。
もちろん転職のご相談、採用のご相談も常にお待ちしております。

それでは今週も一週間、頑張りましょう!!



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