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イギリスのスーパーで店員とけんかした話

近所の大型スーパーには、
私が「つるさん」と密かに命名している、
おじいさん店員がいる。


なぜ「つるさん」かというと、

「つるさんはまるまるむし」
に似てるからで、その風貌からして、
一見して気が弱そうだが、実は、接客態度が最悪と悪評が高いひとである。



「つるさんはまるまるむし」


レジの客が長蛇の列になっていようとも、
仲の良い常連とはいつまでもしゃべる。

逆に、気に食わない客には商品を投げてよこす。

いつぞやはレジ列で、私がまぁまぁの量の商品を、全部ベルトに並べ終え、


↑こんな感じに並べます


はい、お次は私という所で、つるさんにバタンとゲートを閉められ、「もう俺は終わりや」とシッシと手で払われた。


並べる前に言えや!
とか、言いたいところであるが、

ここは、定年は軽くこえているであろう彼が、やっと掴み取った職場かもしれない。おもちゃを孫に買い与える彼を想像したりして、なんとかぐっとこらえた。

でも、怒っておりますという意思表示はしておきたいので、
「Yes, your majesty」(はい陛下)
と、うやうやしく、カーツィーをして、
他のレジに並び直した。

カーテシー/カーツィー:西洋文化的挨拶法
ウィキペディアより

これは、後ろに並んでいたイギリス人夫婦には大ウケしたが、この日以降、レジでは私の商品も投げつけられるようになった。



そして先日、ビールを箱買いしたくて、またそのスーパーへ行ったのだが、運び係として、息子がついてきてくれた。


セルフレジで、ビールを通した時、
「アシスタントコール」のランプがついて、レジが止まった。

年齢確認に、店員がくることになっている。

きたのは、つるさんだった。


車の免許証を渡すと、わたしの顔を確認して、無言で返してきて、息子に「はい、アンタも」と手を出した。


「あ、彼は13歳なので、身分証なんて…」
と言いかけたら、

「なら売れん」と言う。

「いやいや、親の買い物についてくるのに、今までパスポートなんて持ち歩かせたことないですよ」

「売れん。だって、この酒はあんたが息子に買ってやっているのかもしれんしな」


今までこんなこと言ったことなかったのに。

先週は普通に売ったのに。


嫌がらせか。

そんなら私も、よしいくぞう。


「これは友人宅へもっていくために買っているんです。関係ないかもしれませんが、事実ですから一応。

で、確認ですが。
イギリスの法律では、18歳からアルコールはOKですよね?
16、17歳は親と同伴なら、レストランでの飲酒もOK。
そして驚くべきことに、
親の管理下なら、5歳から自宅での飲酒は合法とされている。
さすがにそんな親はいないでしょうが、
法律では認められているわけです。
しかしそれならば、
飲ませて良い、でも買わせない。
って矛盾していませんか?
自宅で密造しろとでも?」


未成年の飲酒を止めるためや、
大人の義務や、
と言う、つるさん。


「25歳以下のIDの提示は賛成です。
店側が、責任を問われるのもわかります。
だから、あのお母さんの横にいる小学生にも提示させてください。
あのベビーを抱いたお父さんにも。
あなたの主観的な判断ではなく、全員に提示を求めたらいいんじゃないですか?」


すると、つるさんが叫んだ。


「だいたいアジア人が何歳かなんて、
わかるかっ!」


言うたな。


言うたね、あんた。
口に出したらダメなことを。


もう、しょうがない。

大事にしたくないけれどもしょうがない。

「話にならない。店長を呼んでください」


「店長はわしや!」


おまえかい!
あんたが店長かっ!


ということで、
行きのつけスーパーをひとつ失った、
2021年年末。

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