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サラサラと流れる美しき毒川に寄り添う深緑の苔。強烈な生命力を感じる場所

旅先や生活の中で訪れた場所や時によって受けたインスピレーションや光、香り、普段耳にする音、音楽から受けた気持ちなど、すべての感覚を織物を織り綴るように作品を作るアベアサコです。
作品を作り続けることは、大切な人々の生活が平安に続くための「祈り」でもあり、祈りの結晶としての作品毎に想いを込めています。
noteでは、自分の作品制作のインスピレーションになっている場所を切り取り紹介します。

place to go
チャツボミゴケ公園 群馬県〒377-1701 群馬県吾妻郡中之条町大字入山13-3
key color
深緑 赤土の色
key music 
モーツアルト Ave Verum Corpus 

目的地に近づくにつれ、緑が深くなる。
あまりにも何もないエリアで、こちらでいいのか?と思ってしまうほどの場所。あっけあらかんとした看板に導かれ、駐車場に到着する。
そこから少し歩く。

空気が明らかに濃い。

そして、まるでクロアチアのプリトヴィッツェ湖群国立公園のようなセッティングで、目の前に深い緑の空間が広がり始める。
緑のビロードは、チャツボミゴケ。苔だ。

ここはかつて豊富な鉄鉱石の鉱床が存在し、戦前戦後と国内生産量第2位を誇る露天掘り鉱山として栄えた場所。
その一角に、露天掘りで生じた窪地からPH2.8の強酸性の鉱泉が湧き出し、それが、滝のように下流に流れていく。その酸性の川を養分として苔が寄り添って生きている。

西へ3kmほどに位置する草津白根山の噴火によって生まれた、すり鉢状の巨大な硫酸酸性泉の鉱泉が湧く“くぼみ”があり、そこに動物が落ちると抜け出せずに死に至るため、穴地獄と言われている。

動物やそのほかの植物が命を奪われかねない毒であるにも関わらず、このチャツボミゴケが国内最大級の一大群生地を築いている。
ほのかな硫黄臭が漂う、優しい流れの小川沿いに、びっしりと圧倒的な緑のビロード光を放つ。

生と死が静かに同居している、その場所はまるでゴシック建築の教会に足を踏み入れた時のような厳かな気持ちになる。
モーツアルトの Ave Verum Corpus が 頭の中で流れる。

そして、東京に帰って、少し疲れてくるとまた苔の持つ強力な生命力を浴びにいきたくなる。

(参考までに)こちらはクロアチアのプリトヴィッツェ湖群国立公園

所在地: 〒377-1701 群馬県吾妻郡中之条町大字入山
電話: 0279-95-5111 
入場料、営業時間については上記随時お問い合わせください





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