【伝わる表現】ミスチル桜井さんもつかう「だまし絵作文」術
この投稿では、伝わる表現の引き出しを増やすことを目的に、あたらしい観点で整理を試みる文章です。
これはお褒めのコトバをいただいた記念です(ふふふ)
伝わる表現のひとつの共通点に、「ん?」って違和感をかんじて、程よく「ああ!そゆことか」ってなるというのがあります。(語彙力)
たとえばこういう表現です。消しゴムの広告です。
人は、書くことと、消すことで、書いている。(トンボ鉛筆/岩崎俊一・岡本欣也)
一見すると論理構造的に間違っていそう。そんな「ん?」があって「あ!」がやってきます。
この「ん?」には伝えるチカラがあります。その再現性を高めるために、この記事では、違う表現フォーマットを参考にしていきます。それはだまし絵です。だまし絵は二次元ならではの幅広い「ん?」を成立させています。これを文章表現の整理の補助線にしてみたいと思います。これが本文の試みです。
「ペンローズの階段」構文
だまし絵といえば、これ。時空、歪めちゃいました系です。
2階から降りてきたのに、あれ、また2階の踊り場に。・・・あれ、あれれ、私たちもしかしてグルグルまわってる!?
これを文で実現しているのが、先ほどの消しゴムの広告です。
人は、書くことと、消すことで、書いている。(トンボ鉛筆/岩崎俊一・岡本欣也)
ぐるぐるしちゃってますね。
書くという抽象的行為(2階)を2つに分解し具体化してます。しかし、その具体レイヤー(1階)に、先ほどまで2階にいたはずの書くが存在している。
(あれ、あれれ、書くフロアから階段降りたのに、また書くフロア?)
その違和感を通じて消すことも創作することだと価値提示している。下に図示してみました。Aとaがおなじであることを通じて、bを訴求していると。
であるならば、Aとaがおなじであることを通じて、aを訴求することも可能なのではと気づけます。
たとえば、ある商品名(a)がその知名度ゆえにカテゴリ名(A)を代替している状態で、改めてaのオーセンティック性を訴えるときに使えそうです。あれ実は、商品名なんです系です。
バンドエイドには、バンドエイドとバンドエイド以外がある。
宅急便には、宅急便と宅急便以外がある。
類似品にはご注意ください的な。
ちなみに小泉進次郎構文も次元を歪めています。とても面白いのですが、「なにを言うのか(What to say) 」が無いのが残念です。
今のままではいけないと思います。だからこそ、日本は今のままではいけないと思っている(小泉進次郎)
「ルビンの壺」構文
壺に見えるが、ふたりの横顔にも見える。黒と白のどちらを背景と認識するか、で見えるものが変わってくるだまし絵です。
認知心理学では、そのふたつを図と地と言います。事象と余事象の関係に似ていますね。数学の問題でいう、クラスに同じ誕生日のペアがいる確率を求めるには、クラスメイトの誕生日が全員バラバラである確率(余事象)を求めて1から引いた方が早いやつです。その構造的な面白みを活用しているのがこちらの歌詞です。
あなたを足さないとね私は空っぽだってこと(『青空』/桜井和寿)
これ、事象をシンプルに言えば頭ん中がキミのことでいっぱいということなんじゃないかと思います。そんな使い古された表現です。
会いたくて会いたくて震えてる人、その頭の中から好きな人を取り除くとからっぽやんけ!というDISCOVERY。本来ありふれたメッセージが、余事象の彼方から効果的に届いています。事象を除くと余事象ものたりない系です。
ほかにも事象と余事象を足すと、全体としての新規性があるって表現もできます。
ココロとカラダ、にんげんのぜんぶ(オリンパス/山本高史)
内在している事象を足し上げたときに見えてくる全体に価値発見があります。医療顕微鏡などカラダに関わる事業とデジカメなどココロを動かす事業、ふたつ合わせると人間そのものやないけ!MECE!MECE!というココロ震える発見です。
寄せ絵構文
寄せ絵とは、野菜や本をあつめて全体として人に見せたりするあれです。それをテキストで視覚的に表現しているのがこちら。
日本中のポストを線で繋ぐと、日本地図になる。(郵便事業/富田安則)
これは平たく言うとポストいっぱいあるよです。でもそれをストレートに言っても伝わらない。
表現の前提となるポストが日本にいっぱいという構造は、さきほどの頭ん中がキミでいっぱいと非常に似ている(下図参照)んですが、それを事象と余事象という関係からではなく、部分と全体の行き来に発見を置いているところが非常に寄せ絵的です。
なにより視点の行き来を「線で繋ぐと」と表現したのがとてもスマートだと思うのです。先生ならテストに出したいです。
(参考)最小単位の「だまし絵作文」
小鳥遊
苗字なので作文ではないですが。小鳥が遊んでいるならば鷹がいないということで、たかなしさん。キレイすぐる。
まとめ
だまし絵作文術とは、構造的な面白さを言葉に落とし込むことでメッセージを伝える作文術です。
今回はその一例として「ペンローズの階段」構文と「ルビンの壺」構文、「寄せ絵」構文をご紹介しました
もし宜しければフォローしてってください!やる気出して続編かきます。
追記)4/16、4/20、7/5、微修正を加えました。