納期問題-2

営業の納期調整法(6)執念深く顧客と製造の限界点を探れ

前回の記事はこちら。

本日は納期問題の第六弾です。

今日は、4M変更のうちの、「材料」の部分から再開します。

・部材納期遅延、協力会社の工程遅延

材料が変わることは納期遅延をしばしば発生させます。材料が変わるというのは、仕入れている部材の材料が変わることを意味します。

仕入れている業者の材料が変わるのは、仕入れ先の工場でもまた4M変更が起きているのです、そうなると同じように部材の納期遅延が起こりえます。

当たり前ですが、部材の納期遅延が発生すれば、自分たちの製品の製造工程も遅れが発生します。

それと協力会社もそうです。製造を委託している協力会社でも4M変更があれば、それは歩留低下のリスクとなりえます。

さて、ようやくここまでたどり着きましたが、工場で発生する納期問題はどのように対処すれば良いでしょうか?

■工場側起因による納期遅延問題の対処方法

散々いろいろ書きましたが、工場側に起因する以上、ある日突然納期遅延はやってくる場合があります。営業が予測できるとすれば、災害(地震、病気)や何らかの特需などによる影響を気にするといったことでしょう。

それから製造側のリテラシーを上げていくことです。これは結局コミュニケーションをとり続け営業と製造の関係を深めていくことに尽きますが、何か問題があった時は素直に話せる関係、協力し会える仲間意識が必要です。

風通しが悪いと製造は勝手に動きます、勝手に4M変更を行って納期遅延が生まれ、ある日突然、遅延をカバーしきれなくなりギブアップするみたいなことが起こりえます。

関係ができていれば、きちんと4Mの事前変更通知を営業に流してくれるでしょうし、皆でリスクの意見交換も可能です。お客様との調整も事前にできる余地が生まれるわけです。

そして、もしそれでも納期遅延が発生した場合は、調整していくかありません。

具体的に取るべき点は2つです。

・弾と歩留と生産キャパ把握から最大数を割り出す
・顧客の限界点とピポット

順にみていきます。

・弾と歩留と生産キャパの把握
先ほどの歩留理論を覚えていますでしょか?

弾(投入できる部材)に歩留をかけると、完成品の数がわかります。

ここに1日に投入できる生産キャパを掛け合わせると、1日に生産できる最大数が割り出せます。原因究明はもちろん大事ですが、営業的に見れば、まずは当面食いつなぐことが可能なのかが最重要課題です。

理論上、いつまでに何台を顧客に持っていけるのかを把握します。

・顧客の限界点とピポット

顧客はいつまに何台必要でしょうか?それがわかっていれば、上記の最大数と照らし合わせて過不足が把握できます。不幸にも不足がでるようなら顧客と話し合わないといけません、損害が出ない範囲で送らせてもらう必要があります。

もちろん、損害額を払うというウルトラCで問題を解決する手法もありますが、それはよほどの事例です。基本は損害がでないようにしましょう。

また、製造に対しても損害が出るラインを示してあげると、どこまでにどれくらい頑張る必要があるのかわかりやすくなるため、さらなる納期調整をしてもらえる可能性もあがります。

なぜ損害が発生するのか?は把握していますか?もちろん厳密に言えば契約違反によるペナルティという主張はあると思いますが、日本のお客様でこれをいきなり主張するところは少ないと思います。もっと具体的な実害があるはずです。

たとえば、あなたが部品メーカーの営業なら、顧客は完成品メーカーですね。

完成品メーカーもまた製造工程を持っています。いつまでに何個作るか計画を立てているわけで、それに必要な作業員を割り当てているわけです。そうなると、実害はどこにあるかというと、従業員のその日のお給料というわけです。

あるいは、完成品メーカーの先のエンドユーザーからの損害賠償請求や、エンドユーザーのイベントによる期限というものもあり得ます。

イベントの期限とは、典型例はオリンピックですね。オリンピックまでに間に合わせないと意味がない建物を作ろうとした場合、例えば新しい国立競技場を作ろうとした場合、製品の納期は決まっています。そこからずれたら国家事業が狂うわけですから、これは絶対に遅らせられません。

ここでピポットという発想が出てきます。例えば国立競技場が12月までに完成の場合に逆算して、製品納期は11月にしてくれ、と言われるわけです。

しかし、どうしても間に合わないとなった時に、顧客とどう話し合うか?ということですが、ここで完成は12月なのだから、12月まで待って欲しいと言えるかどうかです。これが実害を把握する意味です。

クソ営業、盲目的営業はこれができません。

ここで12月という回答を引き出すのがピポットです。

逆に12月からの遅れは死んでも許されないですよね。

こうした後ろ倒しを勝ち取りつつも、背景や影響の度合いを製造に伝えることで、言い方は悪いですが、恩を売って、尚且つ危機感を煽って、全力で対応してもらう、一切の甘えを許さない体制で臨みましょう。

これらをうまく工夫していけば納期問題は最小化できると思います。

こららのさらに細かい部分、例えば納期をエクセルなどを使って管理表や工程表にして視覚的に理解する、関係者と共有する方法なんかも、どこかでは書きたいと思います。

しかし、長くなりすぎるので、今回はこれにて終了としたいと思います。

長きにわたり、ありがとうございました。

とうことで、また明日。

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