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あの人にはOKしたけど 君はNGで

本日はこちらです。

ネトフリか 非ネトフリか それが問題だ・・・それが問題か?

最初に現在の僕の状況をお伝えしたいと思います。

僕の職場は、いわゆるフレックス制のメンバーシップ型です。なので、時間はある程度ずらすことが可能ですが、一定時間は仕事をしていないといけない仕組みです。

それからコロナ禍で僕はすっかり在宅勤務となりました。且つ妻は育休が明けて復職を果たしました。子供が二人いて保育園に入れています(7:30〜17:30)です。妻は営業系なので、割と出社があります。

なので、基本的には、保育園に送るのは妻、保育園のお迎えは僕がやっています。なぜなら、僕はほぼ100%在宅勤務になったので、これまで標準とされてきた9:00〜17:30の勤務時間を、出勤にかかっていた1時間を丸々前倒しして8:00〜16:30へとシフトしたので、多少残業することになっても、子供たちを僕が迎えにいけるようになったからです。

保育園までは10分なので、17:20までは働くことが可能です。ここで例えば16:00開始の会議が長引いて17:15を過ぎてもまだ終わりそうにない時、僕は会議を引き上げて子供を迎えに行けるでしょうか?

答えとしては、迎えに行けます。

上司に「子供のお迎えの時間なので私は切りますね」と言えば「あぁ、もうそんな時間か。それじゃまた明日」と返ってきます。同僚も「またね〜、ちょっと話し合っておくので議事録送っとくわ〜」と理解を示してくれます。

要するに僕の職場は当たり前に僕が保育園のお迎えがあることを受け入れてくれています。

というよりも、最も重要なことは、私がその理由に全く罪悪感を感じていないことです。「職場の仲間も、僕にとって保育園のお迎えはとても大事なことと認識してくれており、会議を抜けるのは至極当然だと受け入れてくれている」・・・と少なくとも私自身が思えているため、何の抵抗もなく「子供のお迎えがあるので」と言い出せるのです。

長い前置きでしたが、それでは全く同じことをネトフリで言えるでしょうか?

「ちょっと今からネトフリで映画見るって決めてたんで、会議抜けますね」と言えるのかどうか?ということです。

相当な鋼の精神力の持ち主か、あるいは圧倒的な権力者か、はたまた超絶天才的スキルの持ち主か、いずれにしても自分に対してかなり自信満々でないと、ネトフリを見たいから会議を抜けるとは宣言できないと思います。

何よりも本人もネトフリを優先してまで会議を抜けたいと思うかと言えばそうはならないかと思います。

これは仮にジョブ型であってもそうだと思います。自分の仕事が終わっている、例えば会議で自分の業務報告は終わっている、周りのメンバーの報告を聞くには少し予定よりも時間がオーバーするという場合に、「自分の報告は終わっている。つまりジョブ型観点で言えば仕事は完了している。そして何よりネトフリ見たいので抜けます。」とは、ならないでしょう。

少なくともメンバーシップ型で長く働いてきた人間は、ジョブ型に移行したからといってそこまでドライな精神に、一朝一夕で変わることはないと思われます。

罪悪感との戦い

コロナ禍になる前、僕の上司は、僕が出勤するオフィスではないところで働いていました。私は東京、彼は関西です。なので、かなり長い時間を電話でやりとりしてきました。これは結果的にラッキーな環境だったかもしれません。返って日々のことを遠隔で伝え合う土壌ができていました。

そして電話口でもプライベートなこともガツガツと公表してきましたし、論点を際立たせるためには多少盛り気味で伝えることも厭いませんでした。なので、保育園のお迎えが今後ありうることはコロナ禍以前から伝えており、認識を上司もしていました。

そしていざコロナ禍になってからも何度となく状況を説明してきました。なんならメールの署名に「在宅のため8:00〜16:30勤務です」と宣言したり、ビデオ会議でも何度となくそういう家庭の事情も話をしてきました。

何よりも最も伝えてきた趣旨は以下のことでした。

『「在宅勤務してもいいよ」という制度では全くダメなんです、少なくとも僕にとっては。会社は、組織のリーダーは、実際のところ、まるで多様な働き方を理解していないと思います。「在宅勤務してくださいね!」とか「みんなが在宅勤務に変えましょう!」という姿勢じゃなきゃ、僕はこの会社で働いていける自信がない。子育てに、保育園のお迎えになぜ僕は罪悪感を感じないといけないのですか?」

こうした啓蒙活動から、今、我々のチームは子育てや親の介護などの事情で休んだりシフトを変えたりが当たり前になっており、お互いにその事情を伝えあっており、理解しあっています。

最近は無線イヤホンを使い、洗濯物を取り込みながら、折りたたみながら、或いはアマゾンや生協の荷物を受け取り冷蔵庫に入れながら、会議に出ています。

ただし、ほとんど多くのことで上司に理解を取り付ける自信がありますが、「平日の朝からネトフリ見て余暇を過ごすんで」と言えるかとなると、正直言ってすごく難しいと考えています。

納得感との戦い

白いワイシャツに黒のスラックス。クーラーのない自宅の洋間の奥底で、営業担当者がエクセルで数字と格闘し、自社製品の強みをPRするためのパワポを作成し、メールで上司に実績報告を送っている姿を想像してみてください。その人が、洋間で実はネトフリを朝から見ていたら、どんな印象でしょうか?

完全にサボって見えますね。例え制度がジョブ型であったとしても、「お前はそれで本当に良いわけ?」と言いたくなる上司の気持ちもわからなくはないですし、本人もサボっている感覚に苛まれて楽しみ切れないかもしれません。

それでは、Mac片手に映画の編集を専門とするディレクターが、朝のスタバでネトフリを見て余暇を過ごしていたらどうでしょうか?格好良いですね。何かむしろ勉強熱心なんじゃないかという気すらします。

これを単純なステレオタイプやバイアスの問題と片付けることは簡単です。しかし、世の中とはそんなものです。その人の言っていることが受け入れられやすいかどうか?が非常に重要です。

ゴルゴは時間通りにやってくる

話は変わりますが、そういえばゴルゴは完全なジョブ型ですね。彼は暗殺の依頼を受け、その人を殺したらミッションコンプリートで報酬を得られます。究極のジョブ型人間です。

しかし、僕が注目したいのは彼の依頼の受け方です。まずは新聞広告やラジオニュースで暗号化した連絡を依頼主はゴルゴに送り、面会を設定します。そして、彼は必ず面会時間ぴったりにやってくるわけです。なんて礼儀正しいことか。

ゴルゴは「ネトフリ見てからにするので今日はちょっと遅れます。なお、確実に人を殺すという技量については自信があるのでご安心ください」とLINEしてくることはないでしょう。

ゴルゴがネトフリで面会に遅れることは、暗殺の技量とは別問題のはずですし、彼ほどの技量の持ち主ならどんな理由で遅れようと依頼主は辛抱強く待ってくれるはずです。

それでもゴルゴは時間通りにやってくるわけです。おそらく彼にとっては完璧な仕事をすることが、自分のブランドを守ることになるのだと思います。なので面会一つとっても手を抜くことはないわけです。

会社員で言えば、上司に対してきちんと自分の魅せ方、どのように見られたいか?を考えていく必要があると思います。無骨に働く人はどんどん不利になっていくように思います(なお、ゴルゴは無骨を売りにしてるけど、それは限られた人しかできないやり方だと思います)。

東京に住む子育て世代・共働き当たり前の30代の社員が、今時の子育てと仕事の両立方法を論点に在宅勤務を語るという魅せ方。あざといですが理解を得られやすいとわかってやっています。現役で現在進行形で子育てをしているわけでして、且つ東京という大都市の最先端の感覚を代表してるかのように伝えれば、洗練されスタイリッシュに魅えるのです。

ゴルゴの職務規定書

そして面会で彼は「用件を聞こうか?」と切り出すわけですが、内容次第では依頼を断るし、暗殺するターゲットの業界や素性はある程度知っていたり調べていたりしている上に、依頼の内容についてかなり細かく把握しようと努めています。要は「それ俺がやんないといけない仕事なわけ?」と値踏みするわけです。

最後に「・・・わかった・・・引き受けよう・・・」ってなるわけです。

この時に結構「その代わり・・・●●を・・・用意しておいてくれ・・・」とか条件をつけるわけですね。

ここで「何でそんなことをゴルゴは希望するのか?」と依頼主は困惑するのですが、でも結局は受け入れるのです。そう、受け入れるのです。「ゴルゴが言ってんだから何か考えがあるのだろう」と受け入れます。

言わずもがなゴルゴの職務規定書は、転用不可です。そしてミッションの達成以外にも「これはしない」「あれはNG」とか細かくネガティブな面も規定があるわけです。

我々も「平日の朝にネトフリ見るんで」と依頼主(=上司)に宣言し、依頼主に納得してもらえるなら何の問題もないと思います。

要するに職務規定書は紋切り型にはならないし、ならなくていいのだと思います。在宅勤務になった今、自ずから「自分はこの仕事をします」、「ここまでなら結果出せます」、「でもこんな条件がついて回ります」と宣言し、上司と話し合えばいいのです。

「ここまで仕事をします」と達成ポイントだけ規定するから、お互いにしこりが出るのです。ネトフリの様な絶妙に微妙な問題が発生します。

まとめ

「ここまではできません(=ここまではしなくていいいです)」、「こんな条件つけてください(=こういう条件でも別にいいです)」ということまで、規定するか、話し合って合意する。そういう一人ずつのカスタマイズな働き方について、上司と部下で議論をすればいいと思います。

そして、その土壌として、納得感と自分の魅せ方が重要なのだと思います。

ということでまた。


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