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言葉を刻み生命を吹き込む- 彫刻家 大森暁生展-血路-@蔦屋書店 銀座

   彫刻家 大森暁生展-血路-@蔦屋書店 銀座(-12/24)



動き出しそうな動物たちの像

 展示会場でまず目をひくのは、2体の立体作品。生きているかのような、ほぼ原寸大とおぼしき動物たちだ。

 なめらかな質感、どこか達観したかのような表情。森を支配する大型動物たちが、身を潜めている姿が再現されている。ゴリラ?のほうは「森神」という言葉が作品タイトルにあり、手負いではなく現実を超越した動物として創造されたのかもしれない、と思う。

 そして今にも、次の動作が生まれそうだ。


 対になる形で設置された、それら大型作品の周囲の壁に、小型の立体作品や鏡を使った作品が展示されている。


彫刻家・大森暁生(おおもりあきお)は主に木と金属を素材として、実在するものから架空のものまで、命あるものをモチーフに作品を生み出しています。その彫刻は、霊気を帯びているかのような神秘さ、現実と非現実を行き来するような幻想的な雰囲気に包まれています。

また大森の活動は、アート界だけにとどまらず、アパレルブランドやミュージシャンとのコラボレーション、飲食店のディレクション、テレビドラマや映画への作品提供など多岐にわたっています。

本展では、2023年の新作木彫「森神-Silver back-」「血路」を展示するほか、彫刻と家具との融合により、作家の世界観を日常に溶け込ませた作品を多数展開。ブロンズ作品も加え、その魅力を多面的に表現します。

【展覧会】彫刻家 大森暁生展-血路- より抜粋


鏡によって完成する作品

 壁の展示作品で興味深いのは、鏡を使った作品だ。

 鏡の表面に、鳥や昆虫の半身だけが貼り付けられ、鏡に映ることで作品が完成する。

 さらに興味深いのは、鏡は当然周囲を映すので、鏡の映り込みによって、作品の世界観がまったく変わるということだ。

「変わらず、変わり続ける」

 作家は、鑑賞者に対して明確なメッセージを送り続けている。

 展示作品のメイキング映像も上映されており、木の塊に、いかにして魂が入っていくかのプロセスが追体験できる。


"言葉"と作品が重なる

 作家のステイトメントと同様に、言葉そのものが展示されているのも、本展の特徴だ。



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