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何かを失うことは何かを始めること

夕方から
  ぽつぽつぽつと
降り始めた雨
雨粒と一緒に
落ち葉が
  くるくるくると
舞っている

日陰の風が涼やかさを連れてくる

耳を澄ます

いつの間にか
蝉たちは主役の座を失い
秋の虫たちに
譲り始めている

ノースリーブと
短パンと
麦わら帽子と

そろそろ
その役割を
終えようとするものたち

夏の間活躍したビーサンも
プールバックも
パラソルも
ちょっと居心地が悪そうに
秋の風に吹かれている

今年の食べ納めか
かき氷を
味わうように
ゆっくり口に運んだら

風鈴が寂しげにチリンと鳴いた

夏に出会ったものたち
夏を過ごした時間
経験した宝物のような出来事

風鈴が寂しげにチリンと鳴いた

雨が寂寥を連れてくる

またね

私は夏に別れを告げる
寂寥の感が漂う

新しい季節を始めるために
別れを告げる風景やもの
そして
心の奥のほうに
仕舞い込む
夏の日の想い出

失うものの代わりに
始まるものがある
始めようとすることがある
だから

何を
どれだけ
いつ
終わりにするのか

頭を巡らす

ウシナウコトヲ
オソレテハイケナイ

秋の涼風
そぼふる雨

薄い上着を一枚羽織って
ビーサンを
スニーカーに履き替えて
鈴虫の鳴き声を聞きながら

ハジマリに想いを馳せる

雨そぼろ寂寥の傘閉じる人
ウシナウことはハジマル予感



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