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Microsoft MVP受賞までにしたこと

こんにちは!あーちゃん@昭和企業でRPAです。
2022年4月にMicrosoft MVPをBusiness applicationsカテゴリーで受賞しました。

私は3年ほど前からRPA(Robotic Process Automation)というパソコン上で行われる入力、転記、アプリケーション操作を自動化する技術を学び、会社での導入を始めました。数あるRPAツールのうち、最終的に選定したのがMicrosoftの「Power Automate for desktop」でした。Microsoft製品を使っていた、というのが今回受賞の前提にあります。

RPAを学び始めたときから、ツールの公式から表彰されてみたいとずっと思ってきました。(〇〇アンバサダーとか〇〇MVPとか)
受賞したい理由の一つは、会社に自分がいかに技術を習得に励み、他社からも注目される取り組みを行っていることを知って欲しい、と思っていたからです。残念ながら、昭和企業在籍中の受賞は叶いませんでしたが、今回ようやく念願が1つ叶ったという気持ちです。

3年前まで昭和な会社の事務職で、プログラミング経験もなく、飛びぬけた技術力を身に付けた訳でもない私がなぜMicrosoft MVPを受賞することができたのか。これを伝えることで、受賞により自社内の取り組みの追い風にしたい人のお役に立てるかもしれないと思いnoteを書くことにしました。

Microsoft MVPのことを初めて知った、興味を持ったという方もいると思いますので制度の概要、応募要件、受賞までの流れ、受賞後の気持ちなどもお伝えできればと思います。

記事を書くにあたって、Microsoft MVPお二人の受賞報告記事を参考にさせていただきました。
Masaki Hiroseさん
岩﨑謙汰さん

Microsoft MVPとは

正式名称はMicrosoft Most Valuable Professional。略してMicrosoft MVPです。一言でいうとMicrosoft製品の普及や活用を促進する技術コミュニティで積極的な活動を行った個人に対して、Microsoftが感謝の気持ちを込めて授与するアワードです。受賞は1年単位で、毎年世界で3,500人、日本では190人ほどが受賞しています。

受賞要件

Microsoft MVPの公式ページに以下説明があります。

MVP アワードは、ユニークで革新的、そして一貫したナレッジ共有を通じて技術コミュニティを積極的にサポートしている技術専門家やコミュニティ リーダーを表彰するグローバル プログラムです。

Microsoft Most Valuable Professional 「MVP を受賞するには」

表彰されるために何が求められるか
 ・コミュニティのリーダーシップと影響力を示す
 ・技術専門家となる
 ・コミュニティの優れた支持者になる
 ・Microsoft 製品の成功に貢献する

Microsoft Most Valuable Professional 「MVP を受賞するには

Microsoft MVPは「技術専門家」というイメージが強かったので「コミュニティーリーダーやコミュニティを積極的にサポートしている人」でもいいんだ、ということに驚きました。

Microsoft Corporation Community Program Manager 日本担当の森口理絵さんもインタビューで以下のように回答されています。

「評価で大切にしているポイントは3つです。まずはコミュニティ運営やイベント登壇、書籍やブログの執筆といった『ユーザー目線での実践的な技術情報の発信』。製品やサービスの利用経験に基づく『改善のヒントとなるフィードバックの提供』。そして、多種多様な方がより多くのことをできるようなより良いコミュニティづくりを目指し、こうした技術コミュニティへの貢献を『継続的かつオープンな活動』として行っていることです」

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IT専門家ではなく「業務改善にITを活用してきた」という立場の私でも受賞ができたのは、受賞要件が技術力だけではない、ということがあります。

受賞特典

受賞すると以下のような特典を受けることができます。

・トロフィーと表彰状の贈呈
・Microsoft 製品への早期アクセス
・製品チームと直接やり取りできるチャネル
・グローバル本社が主催する限定イベント Global MVP Summit への招待
・Office 365 サブスクリプションなど

https://mvp.microsoft.com/ja-jp/Overview

目指すきっかけ

技術コミュニティで仲良くなった方から「Microsoft MVPに興味はない?」と声をかけられたのがきっかけです。しかし、Microsoft MVPに自分がなるイメージが全くなく「考えてみます」という期間が数か月ありました。

そのため、声をかけていただいた方経由で2人のMicrosoft MVPにオンラインでお話を聞かせてもらうことになりました。
お二人とも登壇や執筆活動を精力的にされている、かつ優れた技術力を持つ「雲の上のような人」でかなり恐縮した状態でミーティングに参加しました。そこで言われたのが「審査対象となるのは、過去1年間の活動。頑張ったご褒美もらえたら嬉しいな、と肩の力を抜いて申請してみて」という言葉でした。
技術に自信が持てない、という話も思い切ってしてみたところ「技術コミュニティへの貢献が重要なので、気にする必要はない。自分のペースで技術習得を続けていけばいいんですよ」と声をかけていただき、申請する決意が固まりました。

もしも受賞できたら、Power Automate for desktopを学ぶ人たちに一つの目標を示せるかもしれない、とも思いました。

申請内容

推薦者の方がMicrosoft MVP公式ページの「MVP に推薦する」から申請手続きをしてくれると、自分のメールに応募フォームが届きます。
応募フォームの主な登録内容はこちらでした。

・なぜMVPになりたいか
・今後どのような貢献をしたいか
・過去一年間の活動履歴
・SNSアカウント

なぜMVPになりたいのか

実際に提出した文章の一部を紹介します。

1、「学びをともに楽しむ」というコミュニティの基本理念を伝えたい
ITテクノロジーを学ぼうとしたとき、周囲で仲間を見つけられず孤独に苦しみ諦めかけました。しかし、勇気を出してSNSやコミュニティに参加したところ、同じ目的を持ち、学び、互いに助け合いたいという人たちに出会えました。人生の友人に出会うこともできました。
コミュニティで最も大切なことは「学びをともに楽しむこと」であり、技術レベルに自信がないことを理由に参加や登壇を躊躇する必要は一切ありません。
技術的な貢献ではなく、コミュニティを楽しみ、仲間作りの場として盛り上げることを主たる活動してきた私がMVPを受賞することで、コミュニティの基本理念を伝えたいです。

2、ITテクノロジーは「楽に楽しく働くことを実現する頼もしい存在」である
Power Automate for desktopに出会うまで、AIやITテクノロジーは事務職の仕事を奪う「恐怖の存在」でした。しかし、習得を始め、業務で活用できるようになると、年間200時間もの時間的余裕を生み出すことができ、同僚から「ストレスの感じる作業から解放された」と感謝されました。ITテクノロジーは学び、活用できるようになれば「楽に楽しく働くことを実現する頼もしい存在」に変えることができることを知りました。

ITテクノロジーの進化を楽しみ、未来にわくわく感を感じられるようになることを伝えたいです。

3、デジタルリスキリングの重要性と完了のコツを体験者として伝えたい
多くの企業が取り組んでいるDX実現のためには、あらゆる部門の業務をデジタル中心に置き換える必要があります。IT部門の人材だけではなく、私たち事務職を含めすべての職種の人材がデジタルツールを活用し、課題を解決するという能力を身につける「デジタルリスキリング」が必要です。

私はPower Automate for desktopを学び、業務で実践することでデジタルリスキリングを完了させることができました。この経験をデジタルリスキリング中の人やDX分野の組織教育推進者に届け、日本のデジタル化の役に立ちたいです。そのためにMVPという称号を得たいと思っています。

活動実績

Microsoft MVPへの申請は匿名ではなく実名で行う必要がありました。
事務局の方にも相談にのっていただき、Twitterの「あーちゃん@昭和企業」として行っている活動と実名で行っている活動両方を記載しました。

主な活動実績(直近1年間)
・登壇
   13回(ほぼオンライン)
   昭和企業からIT会社へ Power Automate Desktop で人生が変わった話 など

・コミュニティ運営
 Power Automate Desktop勉強会(3回)
 IT初心者喫茶(5回)
 地元で行っている子供向けプログラミング会(12回)など

・書籍(共著)
  できるPower Automate Desktop ノーコードで実現するはじめてのRPA

コミュニティ運営は一人ではなく、メンバーと共同で運営しているものがほとんどです。
登壇活動、書籍執筆についても関係者の方に助けていただきながら、なんとかやってこれた、という気持ちがありました。実績登録をしながら、あたらめて自分はコミュニティメンバーのサポートがあったから成長してこれたんだ、という気持ちになりました。

審査結果

1回目の審査は落選となりました。推薦してくださった方、話を聞かせてくれた方、応援してくれていた方に申し訳ない・・・という気持ちでいっぱいになりました。
「落ちました・・・」という連絡をとあるMicrosoft MVPを連続受賞している方にしたところ
「僕も1回落ちてるよ。再チャレンジすればいいだけだって!」
と。びっくりしました。
しかもネット検索してみると、何度も申請してようやく受賞したという人がでてくるではありませんか!
ここであきらめてはいけない。再応募を決意しました。

申請期間と登録内容を修正し、2回目の審査で受賞となりました。

受賞の連絡メール

MVPを受賞して

メールで受賞連絡がきた時点ではあまり実感がわきませんでした。
2週間ほどしてアメリカからトロフィーが送られてきてようやく「わたしはMVPになったんだ」と実感が沸いてきました。

表彰状、トロフィー、バッジ、IDカード

トロフィーは鮮やかな青色でとてもキレイです。苦労しながら学んだことや仕事や子育ての合間をぬって登壇を繰り返したことを思い出し「ご褒美もらえたんだな。私は出会いに恵まれたな」しみじみとした気分になりました。

また、常々さみしい、と感じていた履歴書の資格・免許欄にMicrosoft MVP for Business Applicationsと書けるの嬉しい、とも思いました。

Microsoft MVP限定のコミュニティにも参加しました。イベント中に飛び交う情報や意見は興味深いものがたくさんありましたし、好奇心旺盛な方々が持つ熱気にあふれていました。せっかく得た機会、Microsoft MVPの特典を楽しんでみよう、と思っています。

伝えたいこと

読んでくださった方に伝えたいことが2つあります。

Microsoft MVPは自分の意志で目指すことができる

賞には「選んでもらわないと受賞できないタイプ」と「自分の意志で応募し受賞を狙うことができるタイプ」の2つがあると思っています。
Microsoft MVPは現MVPかMicrosoft社員に推薦してもらう必要はありますが、基本的に自分の意志でなりたい思い手を上げることで受賞のチャンスを掴むことができるアワードだと思います。受賞要件も公開されているので、受賞を意識して活動をされる方もいます。

ずば抜けた技術力はマストではない

IT分野の経験年数が少ない(私の場合は3年)、本業は人事や経理で業務改善の手法としてIT活用に取り組んでいる、といういわゆる「市民開発者」でも目指せるアワードです。
ITを使ってよりよく働きたい、生きたいと強く願い、自分が試行錯誤して得た知見を技術コミュニティで他者と共有する気持ちや行動が取れる人であれば受賞の可能性があります。

Power Automate for desktopとの出会いで事務職としての自分に自信を持つことができましたし、子供に簡単なプログラミングを教えることもできるようになりました。すでに十分嬉しいのですが、今回さらに対外的にも伝わるアワードを受賞できたことは一つの自信になりました。

「過去の自分のように事務職だけでは自分のキャリアに自信が持てない、先が見えない、と悩んでいる方にRPAなどのローコードツールを使ってITスキルを身に付けるという選択肢があることを伝えたい」

この気持ちを胸に技術コミュニティへの参加、貢献を続けていきます。
最後までお読みいただきありがとうございました(^^)/


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