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カナダ留学日記21 コミックアートフェス

トロントに来て三週目の金曜日が終わった。ライティングテストはまあまあの手応えだった。さて、この日の翌日はトロントの図書館で「コミックアートフェスティバル」が開催されるとのことだった。学校のお知らせの紙にタイトルが書いてあっただけなので、自分でインターネットで調べてみた。いわゆる日本のコミケみたいな感じで、トロントの漫画家やアーテイストたちがこぞって出店する催しだ。これはもう参加するしかない!!!ということで、単身で乗り込むことにした。基本的にイベントはソロ参加が都合が良い。張り切って会場時間と同時に図書館に行くことにした。

会場に入ると…
会場はBloor young駅の近くにある私立図書館だ。

見た目は日本の図書館と似ている
中に入ると〜〜〜!すごい!広い!!まるでコミケだ
パンフレットをもらった
吹き抜けの3階建ての建物になっている


現金しか使えないだろうな〜と思いつつ、ぐるっと一周してみた。2階と3階にも販売スペースがあって、見どころ満載である。まだ開場してわずかなのでお客さんは少なかったが、午後は大賑わいになっていた。
私の財布にある現金は35ドルのみである。とりあえず気になったものを買ってみた。同人誌と言っていいかはわからないが、アーティストさんたちが出品しているものは日本に比べると高めであったと思う。こちらは印刷代が高いのだろうか?もしくは、ほぼ全てがオールカラーで印刷してあるので、コストがかかるのかもしれない。以前語学学校の先生が私の同人誌を「20ドルで買うわ!」と言ってくださって心底驚いたのだが、確かにトロントだとそれくらいの相場になるのかもしれない。(私は日本で印刷して、原価は500円ほどだったので、先生からは10ドルだけ受け取った。)

そして、このイベントの醍醐味は、なんと言っても作家さんたちとお話ができることだと思う。(コミケでもそうだが)
早い時間なら他のお客さんが少ないので、作家さんたちも結構話しかけてくれる。みんな親切で、私の拙い英語でも頑張って聞き取ろうとしてくれた。また、私の趣味は同人誌作りである。もうこんな会場にいたらたまらなくなってしまう。恥を忘れて自分からガンガン話しかけに行った。「すごいですね!綺麗ですね!どうやって作ったんですか?デジタルですか?アナログですか?何時間くらいかかりました?どうやって絵の練習したんですか?」お互いに創作が大好きなので、話が尽きない。トロントに来て初めてオタクモード全開になってしまった。あの時のバイタリティは今思うとすごいなと思うが、夢中になりすぎていてどんな会話をしたか詳細には思い出せない。ただ、私が日本人だと名乗ると、「日本ってあれでしょ!コミケ!!!!」とみんな言ってくれた。「コミケ」の部分は英語ではなくて日本語の発音だ。「ドージンシ」という単語を知っている人もいた。日本語を話せる作家さんもいた。(以前日本に住んでいたらしい)

可愛い漫画と歴史漫画、ステッカー
これで25ドルくらいだったと思う。
こちらの作家さんは、その場でサインをしてくれた!

とてもじゃないけど、35ドルじゃ手持ちが少なすぎるよ!!!!!ということで、すぐに近くの銀行で100ドルおろしてきた。普段は節約に努めているが、同人関連のことになると金銭感覚が狂ってしまう。

好きな作家さんのところにもう一回行って、別の本を購入


描きたい!!!
創作者さんたちの楽しそうな様子に影響されて、私も漫画が描きたくなった。そういえば私はメキシコ人のクラスメイトKちゃんに漫画を依頼されていた。以前「特技を披露しよう」の記事にも書いたが、Kちゃんのボーイフレンドが私の漫画を気に入ってくれて、部屋に飾るように、鬼滅の刃の二次創作を描いてほしいという件だ。
幸いここは図書館。席に座って下描きを始めた。実は鬼滅の刃の二次創作をするのは初めてだったので、キャラクターのビジュアルを把握するのにすごく時間がかかってしまった。鬼滅の刃は大好きな作品なのだが、私が炭治郎くんが好きすぎて、恐れ多くて二次創作ができなかったのだ(?)
気分がノッて来たので、そのままペン入れもした。

友達からの依頼だったので、いつもより丁寧に描いた。


しばらく熱中していると、「excuse me?」と、後ろから声をかけられた。
振り返るとカナダ人らしきお父さんと小学生くらいの男の子がいた。

お父さん
「突然すみません!あなたが描いているものが気になって…それはもしかしてデーモンスレイヤー(鬼滅の刃)ですか?うちの息子が近くで見たいっていうので…」


「あ!はい!そうです!デーモンスレイヤーご存知なんですか?」

お父さん
「もちろん!とても有名だし、大好きですよ!」
息子くん
「すごく上手!すごい!」


「うわああああありがとうございます!私は留学生で、最近英語を初めてばかりなので、こうやってあなたたちと会話できたことがすごく嬉しいです!話しかけてくださってありがとうございます!」

お父さん
「英語とても上手ですよ!」
息子くん
「上手だよ!」

お世辞も入っていると思うが、すごく自信につながった。ホストファミリーやお店の人、学校の先生以外のネイティブの人とこうやって話せたのは初めてだったかもしれない。やはり私は日本のサブカルチャーを足がかりにして、人と交流していくのが向いているかもしれない。

サインをもらい忘れた!!!
家に帰って戦利品を見ながらニヤニヤしていると、自分の重大なミスに気がついた。そう、サインをもらい忘れたのだ。ある作家さんから本を買った際に、作家さんがその場でサインを書いてくれたことを思い出した。「なんてサービス〜〜〜!!!」と喜んでいたが、もしかしたら、他の作家さんたちもお願いすればサインを書いてくれたかもしれないのだ!!!これは重大なミスである。せっかくご縁があって楽しく会話をしたのに…という悔いが残った


・・・・・が、私は悔いが残ったままでは終われない。
仲良くなってインスタを交換した作家さんにメッセージを送った。今日の感謝と、素敵な本の感想。そして、サインをもらい忘れたこと。もしこの次どこかのイベントで出会えたらお願いしてもいいですか?と聞いたら相手は「もちろん!今日サインをし忘れてごめんね!」と返してくれた。また、「明日も同じスペースで出店してるから、もし来てくれたらサインするよ!」とも書いてくださった。

明日……この日の翌日は、日曜日である。そして、私はハウスメイトのCちゃんとナイアガラの滝観光に行く約束をしていた。
バスは12時半出発なので、(午前中のバスが売り切れてしまったため午後からになった)図書館が開場する10時に行って、そのままバスセンターまで行けば、ミッション達成である。流石にそれはキツいよなぁ…とも思ったが、可能性があるなら何もせずに後で後悔するような展開になるのは嫌だ。私は早起きして支度をし、Cちゃんに事情を説明して図書館に向かった。
開場の40分ほど前に着いてしまったので(いつも私はこうである)
近くの公園に座って時間を潰した。
開場5分前に再び図書館入り口に着くと、そこは開場待ちの人でいっぱいになっていた。私も立ち止まってもう少し待つことにした。
すると、隣にいたおじさんが話しかけてきた。おじさんはアニメキャラクターの缶バッチがたくさんついた鞄(日本でいうところの“痛バ”みたいな鞄)と、キャリーケースを持っていた。

おじさん
「後5分だよ」

「そうですね!楽しみです!」

おじさん
「本当に。たくさん本を買うから、空っぽのキャリーケースを持ってきたんだ。毎年このイベントが楽しみでね。君は留学生なの?どこから来たの?」


「日本です。それで私はアニメや漫画が大好…」
おじさん
「日本!!!日本って言ったら!!!!君!!!“コミケ“があるじゃないか!いいなあ!行ったことある!?“コミケ“は世界最大の漫画のお祭りだよ!え?君漫画描くの?知ってるよ、“ドージンシ”だろ?」

ここでも“コミケ”と“ドージンシ”が出た。日本のサブカルチャーってすごいなあと思ったのはこれで何回目だろうか。間もなく開場し、私とおじさんは互いの健闘を祈って各々の道を行った。


昨日本を買った創作者さんたちはみんな私のことを覚えてくれていて、サインをお願いすると快く引き受けてくれた。一緒に写真を撮ってくれた作家さんもいた。本当に良い思い出になった。やはり、行動することは大切である。
時間がないので30分ほどで図書館を出た。

その後は予定通りナイアガラの滝を楽しんだのだが、ここでも色々あったので、詳細は次回の記事に書かせていただくことにする。


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