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3匹の金魚 [三話]3匹の出逢い

[三話]3匹の出逢い

それから数ヶ月後ある日、
父親の小太郎は娘がん子と2人で近似のホームセンターに出向く事となる。
それが「3匹の金魚」との出逢いだ…

以前から、がん子は何処に行っても、水槽の魚を観てニコニコとステップを弾み「お魚!おさかな!」と喜ぶ。
近所のお寺でも「金魚さん!おさかな!」と、小太郎はその時だけが唯一の癒しとなり、がん子に対する歯痒なさや、申し訳なさを忘れさせてくれてくれていた。

日曜日や休日ともなれば、あちらこちらで家族連れで沢山の笑顔で溢れかえる。
その都度、小太郎は娘がん子の視線が気になり胸を突き刺す一週間を刻み、最後は必ず家族連れと共に夕食を終え家路に着く。

そんなある日、
小太郎は仕事を終え実家の実母と娘、がん子が待つ家路に着く前にふと頭によぎった。
「また嫌な休日前の週末を迎えるなぁ…そうだ!明日はがん子と金魚を買いに行こう!」
家路に着くなり、小太郎は娘がん子に「明日、お魚、金魚さん買いに行こうか⁈」と言うとがん子は「やったぁーやったー!」と満面の笑みで喜びで、その日はすやすやと眠りについた。


翌日、笑顔で目覚めたがん子は
目を覚ますなり、
「チチ=父親、今日金魚さん買いに行くん⁈」と小太郎に確認をする。
小太郎は「そやで!」と。
満面の笑みでがん子は「やったぁー!やったぁー!」と祖父母に伝える。
朝からアットホームな休日を迎え、
それが「孤独」のスタートとは知らない小太郎もニコニコとしている。

外は小雨がチラつき、
慌てて車に乗り込む二人は近くのホームセンターに出向きお目当てのペットコーナーに早々と足を進めた。
父親よりも急足で娘がん子は魚類コーナーから一目散に眺めていた魚がまさかの黒い魚。
小太郎の目は魚を見るなり驚いた。
出目金だ!しかも、黒の出目金…。
3歳の娘が沢山いる魚の中から一目散に眺めていた「お魚、おさかな」が、まさかの黒の出目金。
綺麗でもなく、可愛くも見えない、
3歳の娘が選びそうにない魚種に驚かされた…笑
ただ、間違いなく娘がん子の脳裏にはずっとずっと決めていたかの様に一目散にその水槽に座り込みジッと見つめている。
そして、がん子が自分で選んだのが、
「3匹」。
1匹でもなく、2匹でもなく4匹以上でもなく「コレと、コレと、コレ!」。
事前に決めていたかの様に定員さんを呼ぶと水槽を指刺して何度も、
その3匹を指差して伝える。
数匹いる出目金の水槽からずっと同じ3匹の出目金を定員さんに伝える。
定員さんも慌てて網ですくいレジで、会計を済ませる。
気になった太郎は娘がん子に「本間にこのオサカナでいいの?後1匹買う?この赤いのは?」と父親の小太郎は、何故かあと1匹の追加を確認した…

その理由は、
小太郎の脳裏にはがん子が自分の、
きょうだいを想い出しの名前を付けるのでは?と勝手に勘違いしていた。
がん子は頑なに3匹の黒の出目金を、訴えてくる。

足早に自宅に着く時には降っていた、雨も上がり綺麗な青空とニコニコしたがん子の笑顔の休日になっていた。

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