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秋刀魚(サンマ)に酢をいれる。そして待つ~秋刀魚寿司を作る風守美女軍団~
「次はお酢ですね」
「サンマをお酢につけるのでござるね」
「お酢のご飯にたくさん使いました」
「あっ、お酢が少し足りないかもしれない」
「えぇっ、まだあるでござるよ」
「ええ、ですが……足りないかもしれませんね」
「十分な数は用意したつもりでしたが……、思った以上に多く酢のご飯を作りましたから」
「それに、お酢を多めに入れましたからね」
酢は疲労回復にいい。
そして今の日本人は疲れた人が多い、その人達に配るサンマ寿司なのだからお酢を多めに入れましょうという流れだ。
結果、十分に用意していたお酢が足りなくなる可能性が出てきたのだ。
「少々お待ちください。私めがとってきますので」
「そんなにお酢大事なのでござるか?」
「ええ、大事です」
微笑み、くノ一はお酢をとりにった。
「健康成分には気をつけているのですよ」
「このサンマ寿司が日本の誰か口に入るんだな」
葉月がサンマ寿司を眺める。
「疲れている日本の方々に届くといいですね」
お姉さんくノ一が微笑む。
「サンマ寿司は日本の伝統料理。日本の心を伝えるという意味でもこれは大事な事だとアゲハめは思うのです」
自分達が食べるだけではない。
自分が作った料理を誰かがおいしく食べてくれる喜び。
そういう喜びを、風守の女は感じやすい傾向にある。
「お酢、お待たせしました」
くノ一がお酢をもってた。
「早かったでござるね」
くノ一のお姉さんの一人が持ってきた酢を受け取り配分していく。
巫女の娘が先ほど綺麗にしたサンマを並べた。
「サンマの用意ができましたね」
「では、サンマに酢をつけましょう」
くノ一はサンマを酢につける。
切ったサンマに酢をひたしていく。
「酢がしみこむでござるね~」
「お酢と魚はあいますよね。古来から日本人に親しまれてきた食の組み合わせです」
「古来から日本人が食してきたものですからね。日本人の遺伝子にあっているのでしょう」
そんな話をしながら時間が過ぎていく。
「お酢につけるのは、そろそろいいでござるか?」
「いえ、まだまだ足りないかと」
「アゲハめもそう思います。お酢は美味しいし健康に良い大事なものです。半日つけましょう」
「けっ、結構待つでござるね!
ちょっとつけすぎな気がするでござるよ」
「紀伊の本格は半日つける所があります」
「私め達もそれに習うのが最良かと」
「えーーさすがに長いでござる。もっと早いのがいいでござる」
「ですが……」
」
「ん~~まぁ別によいじゃろう」
穏やかで少し気の抜けた声がした。
「サンマ寿司で酢をつける時間は様々じゃ。数分で良しとするものもあれば、半日つけるものもある」
「そうですね、サンマの開き方も腹開きと背開きがありますし……」
「各々良いと思ったようにやるがよい。それで十分うまい。日本の郷土料理じゃしな。ほっほっほ」
天代と呼ばれる巫女服を着た少女があらわれた神秘的な雰囲気の芯に荘厳さを秘めた少女である……のだが。
「この風守に倣えば、「それもまた良し」の精神じゃな。ほっほっほ」
外見に反してゆるい雰囲気を醸し出している。彼女自身そのゆるさは祭神にならっているといっている。
「ありがとうございます、天代様」
くノ一が丁寧に頭を下げる。
巫女の娘もうやうやしく頭を下げた。
「申し訳ありません、天代様」
「よいよい。わしらの神は細かい事は気にせんのでな。お主らの丁寧な女仕事は好ましい事じゃがな。じゃが、ここは子供のいう事をきいておくがよいじゃろう、それに」
いっぱくおく。
「わしらの神は本格なのも、手軽なのも良しとするものじゃ」
「承りました、天代様」
了解する風守の女達。
全面的に風守の方針に従うのが彼女達である。上意下達を自主的に徹底させているのだ。
好きにすればよい、といったが彼女達は集団の統制を重んじる。
少女の意を酌み自分達が譲る事にした。
「酢漬けの時間を半日から、短くしましょう」
「でも、さすがに今すぐというわけにはまいりません。少しでも日本の方々の疲労を癒すためにも、酢を染み込ませたいですから」
巫女の女がいう。
「ではその間、お役目にでましょうか」
「あっ、手伝うでござるよ~~」
「うむうむ、よきかなよきかな」
半日というほどではないが、染み入るようにはつける。
いい塩梅に落ち着いた様で、天代は満足そうに頷いた。
「では少し待つがよい。きっといいサンマ寿司ができるぞよ」
しばらく待つ事にした。
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