ストレス対策にリフレーミングの手法を取り入れる③:PSWの福祉コラム

こんにちは、PSWライターのりくとんです。突然ですが今日、仕事終わり直前。駐車場内で看板との衝突事故が発生してしまい、ガラスの片付けなどでバタバタな仕事上がりとなってしまいました。幸い、事故した本人も怪我はなく、巻き込まれた方もおらず、看板も傷ひとつありませんでした。不幸中の幸いですね。

さてさて、前回、前々回と、リフレーミングの基礎、リフレーミングの練習問題などについて二回にわたって取り上げてきました。

さて、3回目で最終回となる今回のコラムのテーマは、リフレーミングで『幸せの種を見つける』こと。また、『リフレーミング思考を常態化させる』ポイントと方法について取り上げていきます。

リフレーミングは『日常の幸せに気づく力』

前回のリフレーミング練習では、不眠症の女性患者を例に事例練習を行ってみました。病気を題材にするからこそ、見えやすいフレームがあったことと思います。

ただ、本来リフレーミングの目的は「自分の日常の捉え方」を変えること。病気であろうがなかろうが、誰もが過ごしている「何気ない日常」の捉え方を変えることこそが、リフレーミングの第一歩であり最終着地点なのです。

今日の良かったことを思い出そう

リフレーミングは日常から始まり、日常に終わります。試しに、今日あった「良かったこと」を思い返してください。(この記事を朝読んでいる方は、昨日1日でもいいですよ!)できれば5つ。たくさんいいことがあった人は、思い出せるだけ思い返してみてくださいね。



思い出せましたか?



ちなみに今日の私の「良かったこと」は、寝起きの悪い娘がコーンスープに釣られて機嫌よく朝起きたこと。次に、探していたDIY金具にぴったりな代用品をホームセンターで見つけたこと。次に、5杯飲んだら1杯もらえるコーヒークーポンが今日届いたこと(ちなみにもう使いました。タダ飲みコーヒー美味しかった)。新商品のアイスに好みの味が多かったこと。冒頭話したように、駐車場事故で怪我人が出なかったことなどなど。

こう見てみると、「あぁよかったなー」と思った日常の出来事って結構あるものです。確かに自分のコア部分のフレーミングを変えるのは難しく、一朝一夕ではできません。でも、日常的に「良かったことを見つける」だけなら生活習慣として比較的容易に取り入れることができます。

ニュートラルな事象を「よかった」と捉える

良かったことを探す目的は、ニュートラルな事象をポジティブに捉える習慣をつけることにあります。

現に、先ほど例として挙げた「私にとってよかったこと」。冷静に捉えればその多くは「いいこと」でも「悪いこと」でもないとわかると思います。むしろ事故に関しては「駐車場事故の片付けをさせられた」とマイナスに捉えることだってできるんですね。

このように、大体の出来事に善悪はありません。中立的な事象は、捉え方1つで「良い出来事だった」とリフレーミングしやすく、物事をよりよく捉える習慣付けに一役買ってくれます。多くの「よかった」が積み上がれば、それに比例して心穏やかな時間が増えるわけです。

思考の習慣化の目安は6ヶ月

習慣化コンサルタントの古川武士氏によれば、日記などの行動習慣を定着させる為には1ヶ月、運動やダイエットなどの身体習慣を定着させるためには3ヶ月、思考習慣を定着させるためには6ヶ月が必要なのだそう。

確かにそれは、ワーカーとしてリフレーミングをしていても感じたところです。例え一時的に相手がリフレーミングできたとしても、継続して意識しなければすぐに従来のフレーム思考に戻ってしまいます。つまり、リフレーミング思考を通常運行にするためには、思考が習慣化する目安とされる6ヶ月間、日々リフレーミング思考を維持する必要があるということなのです。

リフレーミング思考習慣化の仕組み作り

6ヶ月間リフレーミング思考を意識的に継続する、と考えると少し気が遠くなりますよね。本来リフレーミングは、カウンセラーなどの下で行われます。この場合は「カウンセリングに通うこと」が行動習慣となり、思考の習慣化を容易にする基礎習慣になるわけですね。

ですが、「セルフコーピング」としてリフレーミングを行う場合、カウンセリングに代わる何かしらの行動習慣を設定しないと習慣化ハードルは上がってしまいます。

個人的にここでオススメなのは、日記の利用。日記は「行動習慣」ですので、一ヶ月もあれば生活習慣にすることができます。また日記は毎日の振り返りですから、カウンセリング単体で行うよりよほど思考の習慣化に適していると言えます。

日記をリフレーミングに使うときのポイント

日記をリフレーミング習慣化の補助に使う場合のポイントは、「ハードルを上げないこと」と「出来事の事実部分を抽出すること」です。

日記のハードルとは何か?

日記のハードル、それは「1日1ページ」とか「素敵なことで埋め尽くそう!」みたいな目標のこと。最初からそんなに沢山の感動は見つかりませんし、始めはまず書くことを習慣化しなければいけません。ですから、初めの1ヶ月は一行、二行くらいの日記で十分。まずは日記帳を開き、10分でも今日あったことを思い出す。そして書き留める。そこから始めましょう。

出来事の事実部分を抽出するとは

まず1ヶ月、日記を書く習慣が出来たなら次は一度日記を読み返しましょう。「その日なにがあったのか」わかる日記になっているでしょうか?

もしその日記が感情に着目した文章ばかりなら、次は「その日なにが起きたのか」と「それに対してどう思ったのか」を分離して書いてみましょう。事実に対する自分のフレーミングを一度外在化し、他人のように距離を取ることでリフレーミングしやすくする目的があります。

慣れてくれば、「今日こんなことがあった」「そのときこう感じたけど、こう捉えることもできると思った」とオンタイムで日記に書けるようになるでしょう。リフレーミング思考がさらに定着してくれば、「何か物事が起きた」まさにそのときに「自分にストレスがかからない都合の良い思考パターン」を選ぶことができるようになります。

リフレーミングのまとめ

さて、長々と書いてきたリフレーミングについてのコラムもこれで終わりです。最後に、リフレーミングについてのポイントをまとめて終わりたいと思います。

リフレーミングとは、自分の既存の捉え方(フレーミング)を組み直すことです。この試みは日常に始まり日常に終わります。

日常の出来事ひとつひとつを心に嘘のない範囲でプラスに捉え直す、これがリフレーミングのスタート。そして、リフレーミングの最終目標はこのリフレーミング思考の定着化、第一選択化です。

リフレーミングでは、最終的に『対話できるもう1人の自分』が出来上がります。貴方がストレスに当たった時、彼、彼女は「それはこう捉えたらいいんじゃない?」「今はそれは置いといていいんじゃない?」といった提案をしてくれます。

大切なのは、彼、彼女に『だからお前はダメなんだ!』と発言させないこと。ここまでのポイントを押さえて、ぜひストレスコーピングにリフレーミングを取り入れてみてくださいね。




駆け出しライター「りくとん」です。諸事情で居住エリアでのPSW活動ができなくなってしまいましたが、オンラインPSWとして頑張りたいと思います。皆様のサポート、どうぞよろしくお願いします!