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叱らない言い回し

私は、叱るのが苦手だ。

3歳から6歳を相手とする知育教室にて
新人講師の頃は、
「子どもになめられたら、終わりよ」
ある教室長によく言われた。

・・・はて。
なめられるとは・・・。

その表現がいまいち
ピンと来ていなかったが、
今なら何を伝えようとしてくれていたのか分かる。

その教室長は、
とても熱心な愛ある方で、
3歳相手でも叱るときは全力で叱り、
愛情を伝えるときも底なしの愛情だった。

たくさんのことを学ばせていただいた。


そして私は今、やはり叱るのが苦手だ。


以前は、その教室長に倣って怖い顔で叱ってみたこともあったけれど、
大抵の帰り道は苦い気持ちになって、
自己嫌悪に陥る。

エネルギーの消耗が、半端ではない。

大きい声も、気持ちを奮い立たせるのも
エネルギーがいるのだ。


極力叱りたくない。
「〇〇しなさい」といった命令形なんぞはめっそうもない。


そうして、私はいつの間にか
色々な言い回しを取得していた。


基本的には、
「〇〇します」
「〇〇しましょう」
または、「〇〇して下さい」。


着席を促すときも同様だ。
「椅子には座ります」


座らない子には、
「自分で座る?それとも、先生が座らせる?」
すると、不思議。
自分の意志で座ることは、子どもたちも好きみたいだ。


手はお膝のお約束は、
「手はお膝~」
とイントネーションにリズムを加えると、
笑顔でビシッとよい姿勢になってくれる。

以降は、
「手は…」で、とめると
「お膝〜!!」と、動作付きで元気よく返ってくる。

「お尻はぺた~」も同じ。


好奇心が抑えられずに、
机にクレヨンで書いてしまったときには、「そこは書くところ?」
質問すると、首を横に振ったり、
「違う」と一言。
「そうだよね。綺麗にしておいて下さい」
ウェットティッシュを渡して自分で責任をとってもらう。
すると、たいてい書く前以上にピカピカにしてくれるので、
「ありがとう。綺麗になったね」
伝えると、それ以降書かなくなる。


教材を乱暴に扱ったり、遊び初めてしまうときには、
「ごめんね。お約束を守れないと渡せなくなるんだ」
2,3回目からは「約束守る!」と頑張ってくれる。


まだ帰りたくないとき、教室にもっといたいとき、
「お待たせしました。お靴どうぞ~」
「お帰りの準備どうぞ~」
未就園児クラスには、
「靴はあるかな~?」


いつの間にやら叱らなくて済む、
自分に楽な言い回しを身に着けていたようだ。

まぁ、叱らないようにとはいえ、
心の中で腹が立つときはあるのだけれど。



よく聞く言葉。

生きることは、学ぶこと。


私もまだまだ成長中だ。



ちなみにタイトルの写真は、
教室から教室への移動中に、
ふと目にとまった木の表面。
木のように太く大きくあたたかくそこにいたいという思いから、選んでみました。





追伸。投稿したそばから


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