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叱ってしまいました


生徒に怒ってしまった。
ついこの間、「叱らない言い回し」と、
投稿したばかりなのに。

怒った相手は、Kくん。
甘えん坊で拗ね屋な、末っ子の男の子。
先日が、年長卒業前の最後のレッスンだった。

私のクラスにやってきた年少の頃は
その日の気分でレッスンというものに
頑として参加しようとせず、
ドアの前に最初から最後まで
座り続けて終わりという日もあった。

駄々をこね続けた年中を経て
年長になった今も、
その日の機嫌に左右されて
「やらない」とはいうものの、
「挨拶しまーす」と言うと
自分から椅子に座るようになっている。

やりたくないのなら、やらないでいい。
と、見守ることもできるのだが、
知育を与えたい、この子にしっかりと考えられる力が育ってほしいという
ご両親の思いも伝わる分、
ただ、ただ、年長になっても
「僕はやらない。嫌いだから」となにが嫌なのかも考えようとせずに、
ひたすらに拗ねて貫き通そうとするKくんに腹が立った。

「お父さんとお母さんは、Kくんのことを思ってお金を払ってここに通わせているんだよ。」
それでも知育は、
嫌々教材に向き合ったところで
得られる成果は、知れている。

どう声掛けをしたものやらと考えつつ、
他4名のやる気を優先して気を取り直し、レッスンを進めていると
「これはこうだもんね~。あの子違うよ」と、ちゃちゃいれで、集中している周りの友達の気を引こうとしてきた。

甘えさせるのと、
甘やかしは違うと思うから
「参加するなら、教材を出す!
やりもしないでちゃちゃをいれるのは恥ずかしいことです。
やらないなら、ちゃちゃをいれない!」
と叱った。

すぐに柔和な声と
笑顔でレッスンに戻るけれど、
先生が本気でKくんに怒っているということを他4名は敏感に感じ取っていて
いつもとは少々違う固い雰囲気。

年長最後のレッスンなのになぁ。
笑顔で終えたいと思うのに、
私の願いだけではレッスンは成り立たない。

最終的には、
紙と鉛筆を使用するあたりから、
Kくんも自ら、
「こうでしょ~!?できたよ~!」
と、朗らかに参戦してくれていて
最後は、みんな笑顔で挨拶ができたからよかったけれど。



腹が立って叱るとき、
自分が何に腹を立てているのか冷静に見極める必要がある。

自分のレッスンがうまくいかないことに
苛ついて叱るならば、
それはただの八つ当たりだ。

レッスンに興味がないわけではないのに、
ご両親の思いを無下にして捻くれて、
茶々をいれることで周りの気をひき、
その場に参加しようとした甘えた根性に
腹が立って叱った。


感情に任せて
言葉を発してもなににもならない。


受け手によって意図した通りに
伝わるとは限らないことは
知っているけれど、
どんな言葉が一番、
今の彼のために響くのか、
自分なりに考えて
言葉を紡ぎ出そうとした。

最も伝えたい言葉はなんだろう、
そう考えられるくらいに冷静だったのに、

肝心な言葉を見つけられなかった。



いつか、
楽しいことはなにもない
と言っていたKくん。

そんなことはないから。

最後まで天邪鬼な君だったけれど、
私の応援する気持ちが伝わるようにと
渡した折り紙の花束は、
嬉しそうに受け取ってくれた。

少しでも、楽しかった場所として記憶に残ってくれますように。




記事を見つけて下さり、最後まで読んでいただきありがとうございます。 少しでもなにか心に残るものを届けられていましたら、こんなにも嬉しいことはありません。