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「難しい」を「楽しみ」に変えられる力を

3歳からの知育教室は必要ないという人がいる。

この日記を書いた講師3年目のときは、
子供たちの役に立っていると思うと日記に
綴っているし、4年目の今もそう思う。

講師になり立ての頃は、
親が求めるものがなにか、
子どもが楽しく取り組めるのはどんな時間か、
「集中して取り組む時間」と
「楽しい時間」は、
相反するとどこかで思っていた。

今の私が考えることは、
親が求めようと求めなかろうと
私が志すサービスは変わらないし、
子どもたちは、私が思っていたよりも
遥かにずっと、目の前の時間を楽しむことができる。

一昨年の秋頃か、
年中後半になったT君は、
コロナウィルス感染拡大による外出自粛で
遊び足りないストレスが溜まったのか、
「お母さんじゃなきゃ嫌~!!」
ある日からレッスンに来るのを拒むようになった。


母親は、子どもの行動パターンを繰り返し近くで見ている分、
「こうなったら説得は難しい」と
周りへの迷惑も考えて泣き叫ぶ子どもの主張に添いやすい。

あまりにも泣きじゃくる相手に、
感受性豊かな人ほど「大丈夫?」と心配になりがちだが、
コミュニケーション手段としての言葉がまだ発達中の子どもにとっては
「泣き叫べば思い通りになる」と、
誤ったコミュニケーションツールを覚えさせてしまいかねない。

だからこそ、本当に嫌なのか、
そもそも何が嫌なのか、
観察し、ともに考えると同時に
言葉にする手助けが絶えず大切なので、
保護者は大変だろう。

ただ、Tくんは、
どんなに泣いて拒否した日も
母子分離して10分、15分後には、自分で切り替えてレッスンに取り組んでいる。

わざわざご機嫌取りのようなことをしなくても、
笑わせようとしなくても、
「自分でできる」が増えるのが嬉しいのである。

ふと気がつくと「できたよ!」とにっこり。

お母さんが戻ってくる頃にはるんるんで、頑張れたこの時間が自信につながったのか、数回後のレッスンからは泣くことはなくなった。
いつの間にやら「お母さんもう行って!」に変わるのだから、頼もしいものである。


そんなTくんも、今年は小学生になり、
私のもとを卒業する。

本当は、
みんなと一緒に卒業してほしかったけれど
幼稚園行事とレッスンが重なる都合で、
1ヶ月早く卒業する。

卒業の1ヶ月も前から、
寂しいと思ってくれていたようで、
泣きながら書いたというお手紙を
最後のレッスンの日に手渡してくれた。

開くと、
「いつもありがとうございます。たのしかったです。」
と心のこもった文字とともに
なんとそこにはツインテールの私!

子どもから生まれ出るものは、
本当に面白いなぁと思いながら、
Tくんに握手を求めると、
Tくんはなんだかうるっとした表情に。

でもね、ごめんね。
先生の顔は、反対にるんるんの笑顔である。

Tくん、
君は本当にどんなに難しい教材も
自ら楽しく試行錯誤を重ねて突破してきた。

Tくんには、
「難しい」を楽しめる力ある。

だから、
そんなTくんの小学校生活や
これからの未来が、
先生は楽しみでしょうがない。



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