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Manager’s notes

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マネージャーの役割・スキルなどについて考えをまとめるためのノート
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ピープルマネジメント:目標設定には柔軟性が求められる

現代の不確実性が高い時代において、厳密な目標設定はリスクを伴う。状況の変化や新たな知見に対応するため、目標は常に修正されるべきである。特に、長期目標の設定には多大なコストがかかるため、ある程度の見通しが立つ短期目標を設定する方が効果的である。 短期目標の利点 長期目標は合意を得るための調整や計画に多くの時間とコストがかかる。一方、短期目標は比較的見通しが立ちやすく、迅速な対応が可能である。短期目標にすることで、組織全体が柔軟に動きやすくなり、変化に適応しやすくなる。 実

ピープルマネジメント:目標達成状況を追跡する重要性

目標を設定するだけでなく、その達成状況を追跡することも非常に重要である。目標達成状況を定期的に確認することで、メンバー自身の成長を促し、マネージャーのサポート体制を強化し、組織全体のパフォーマンスを向上させることができる。以下に、目標達成状況を追跡することの具体的な利点について詳しく解説する。 メンバー自身の省察を促す まず、一定のリズムで目標達成状況を確認することは、メンバー自身の接撮を促す効果がある。定期的に進捗状況を振り返ることで、自分がどの程度目標に近づいている

ピープルマネジメント:目標を公開する重要性

目標設定は組織運営の基本的な要素であり、その効果を最大限に引き出すためには、目標を公開することが重要である。目標の公開にはいくつかの重要な利点がある。以下に、その理由を詳しく解説する。 組織のスピードを上げる まず、目標を公開することで、組織全体のスピードが向上する。全員が同じ目標を共有し、その進捗状況をリアルタイムで把握できるため、迅速な意思決定が可能となる。これにより、問題が発生した際にも迅速に対応でき、プロジェクトの遅延を防ぐことができる。情報の透明性が高まることで、

ピープルマネジメント:目標管理には主体性が求められる

目標管理を実践するためにはメンバーの主体性が不可欠である。これは、組織全体の大きな目標に向けて、各メンバーが自分自身の役割を理解し、自らの強みを最大限に活かして、どのように貢献できるかを自ら考え、具体的な目標を設定することで、個人と組織の双方が成長することができる。 このような主体性を持った目標設定が重要な理由は、メンバー自身が自発的に目標を立てることで、その達成に向けての意欲やモチベーションが高まり、責任感が強化されるためである。 この考え方は、ピーター・ドラッカー氏が

ピープルマネジメント:コーチングスキルはなぜ必要か?

前回は、マネージャーは高い基準を設定し、メンバーにフィードバックすることの重要性を説明した。 今回は、ピープルマネジメントにおいてコーチングスキルがなぜ必要なのか考察する。 ピープルマネジメントにおいてコーチングスキルが求められる理由は、現在の組織運営の変化に対応するためである。従来のピラミッド組織では、生産性を追求するために、マネージャーには優秀なメンバーが昇進し、自分の知識やスキルをメンバーに教える職人的なマネジメントスタイルが主流だった。 しかし、現在の組織運営に

ピープルマネジメント:ビジョンを高い基準で明確にする

前回は、高い基準に基づいてフィードバックすることの重要性について説明した。では、「高い基準」とは一体なんだろうか?今回は、この「高い基準」について解説する。 マネージャーが持つ「高い基準」の正体は、マネージャーが持つ理想とするビジョンに根差した要求である。マネージャーは理想とするビジョンを言語化し、メンバーに伝えることである程度の基準を示す。しかし、マネージャーが持つビジョンを言葉だけでメンバーに共感してもらうことは非常に難しい。 そのため、ビジョンと現実のギャップを具体

ピープルマネジメント:目標管理制度の変遷

ビジョンに基づいて高い基準を設定し、マネージャーがフィードバックすることでチームの方向性を醸成していくことに貢献することを説明しました。 今回は、よりチームの方向性を明確に示すための方法である「目標管理」にの変遷を振り返る。 期限と概念の誕生 目標管理制度の起源は、1950年代に経営学者ピーター・ドラッカーが著作の中で、目標設定とその達成を重視するマネジメント手法を提唱した。ドラッカーは、従業員が自身の目標を設定し、それに向けて努力することで、個々のパフォーマンスが組織

ピープルマネジメント:目標管理の目的

前回は、目標管理制度の変遷について説明しました。ピーター・ドラッカーの提唱から始まり、企業で活用されるようになった。 今回は、目標管理制度の目的についてまとめる。 目標管理の目的は多岐にわたる。主に以下の3つの要素に焦点を当てることが重要である。これらの要素は、組織の方針と個人のキャリアを結びつけ、両者が協力して成長するための基盤を提供する。 組織の方針にアラインすること 目標管理は、組織全体の方針を統一し、全員が同じ方向に向かって努力するための手段である。組織のビジ

ピープルマネジメント: 1 on 1 で高い基準に基づいてフィードバックすること

前回は、1 on 1 を内省を習慣づける場として活用することを紹介した。 定期的に 1 on 1 を実施するなかでマネージャーはメンバーに内省を促す問いを発することで、メンバーは内省する力を身につけ、自立していく。 もう一つの 1 on 1 で実施することとして、マネージャーが持つ基準を伝えることがある。マネージャーが持つ高い基準に基づいてフィードバックすることは、チームやメンバーのレベルを引き上げるために非常に重要である。 目標のクリアリティ メンバーは自分の業務や目標

ピープルマネジメント:1 on 1

前回は、マネージャーが持つべきマインドセットについて解説した。しなやかマインドセットはすべての人が持つべきマインドセットだが、マネージャーは特に理解しておく必要がある。 なぜならば、マネージャーはメンバーがしなやかマインドセットを持っていることを信じること、メンバーにしなやかマインドセットを持つように導くこと、を実践することが求められるためである。 今回はマネージャーとメンバーの間に築いた信頼関係を利用してメンバーの成長をサポートする「1 on 1」について説明する。 「

ピープルマネジメント:ポジティブ・フィードバック

前回は、信頼関係を構築するために傾聴(アクティブ・リスニング)のスキルが重要であることを説明した。 今回は、ポジティブ・フィードバックについて取り上げる。 ポジティブ・フィードバックは、組織内での個人の成長やパフォーマンス向上を促進するための重要なコミュニケーション手段である。ポジティブ・フィードバックは、個人が成功や優れた行動を示した際に、その成果や強みを認識し、称賛することである。これによリ、個人は自信を深め、継続的な成長とパフォーマンス向上に向けた意欲を高めることが

ピープルマネジメント:傾聴(アクティブリスニング)

前回は、自己開示によってマネージャーとメンバーの相互理解を深めることが信頼関係の構築に有効であることを説明した。 マネージャーは他者とコミュニケーションを取る機会が多くなる。そのため、コミュニケーションを円滑にするための重要な手段として「傾聴(アクティブ・リスニング)」が非常に重要なスキルとなる。 傾聴とは、単に相手の言葉を聞くだけではなく、その内容や意図を理解し、相手の感情やニーズに共感することである。傾聴では、相手の発言に真剣に耳を傾け、相手の立場や視点を尊重し、適切

内省の技術:記録することからはじめる

自己成長のためにはフィードバックが欠かせない。自己成長のために重要なフィードバックを外部から得られない場合には、「内省」によって自分自身を振り返り、成長に繋げることができる。 この内省のために最も基本的かつ強力なツールが、日々の出来事を記録することである。記録することで、自然と過去に起きた出来事をふりかえり、自分の行動や思考、感情のパターンを客観的に見つめ直すことができる。 過去の出来事を詳細に思い返すことで、その時の状況や自分の思考を追体験するこができる。追体験では時間

内省の技術:テーマを絞り込む

内省は、記録することが重要だが、ただ記録するだけでは効果的なふりかえりができない。内省のために重要なポイントとしては下記の3点がある。 テーマを絞り込む 感情を記録する 定期的に記録を見返す まずは、「テーマを絞り込む」について説明する。 テーマを絞り込まず漫然と記録することは、何を書けばよいか分からず記録しにくい。結果として、自分の書きやすいことを記録するようになってしまう。書きやすいことが振り返りたいことであれば問題ないが、振り返りたいことでなければ内省の効果が