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【詩】中庭

嘗てICUの羊水の中に居たぼく
妖精たちの祝福を受けたタトゥーの
シールの様な中庭には光が射しており
其処は同じ境遇の別のタトゥーを有した
美しい無垢なネコ科の縄張りだった

最も美しい雌猫は最も無垢なシールを
ぼくの心臓に貼りつけ最も速やかに
去っていった 温もりを残して行った
ゴロゴロと喉を鳴らしたものだ
何しろぼくは陽向に居たのだもの

嘗てICUの羊水の中に居たきみ
深い眼差しでぼくを畏れさせ
安心させ愛させ同じ心を共有した
心は詩だった 陽向の中庭のベンチに
並んで丸まって秘密を囁き合った

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