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【詩】俺の涙は俺が拭く

人は心にどれだけの
責任を持ち得るだろう
裁くこと懺悔すること
誰が平凡な人間で
誰が超常者なのだろう
ただ刺激に反応するだけの
物理現象の心身機構の檻の中
為す術なく犯したヒトゴロシが
大好きなあの人を想う夜に
独り寝床にのたうち回る
その必然と如何違うのか
そのとき俺は犯罪者なのか
自分でもどうしようも無く
夕日に焦がれ夜に眠れず
暁に明星を偲ぶことなく
ただ薮を睨みつけながら
蜃気楼の塔を建築する
かつて憧れた幻の日々
劫火に愛憎を焚べる様に
止むを得ず犯したオノレゴロシを
裁く権限が何処までも
己の心にしかないのなら
俺の涙は俺が拭く

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