結婚した相手が異性ではなかった話3

前回までのあらすじ

結局わたしは問いただすことはせず、といって放置も気持ち悪いのでどちらでもない感じにKくんには接することになりました。ちょうどオカマやニューハーフ以外の呼び方、男の娘やジェンダー、LGBTのカミングアウト、同性結婚の話なども日常でよく聞くようになっていました。

ある時は「『男の娘』だって~。最近はこんなのあるんだねー?」と言いつつ、Kくんの反応をうかがいました。

またある時は、服飾デザイナーのデザインした家族全員分の服の紹介ををテレビでやっていて、それが男親の丈の長い巻スカート姿だったりして「お揃いでいい感じだね〜」と言って、Kくんの反応をうかがいました。

そしてまたある時は少し年上で仲がいい、気の良いご夫妻の奥さまの方(奥様という呼び方は嫌がるタイプです)とビール屋さんでバッタリお会いした時に、Kくんを前に「男でも着たいなら、着ればいいじゃん!スカート!」と言って盛り上がったりして反応をうかがいました。


徐々にKくんは黒いジーパンやズボンをやめ、長いキュロットスカートみたいなのを外で履くようになっていました。

ある日二人で電車の椅子に並んで腰掛けていました。前に高校生と思しき学生が4人ほど立ちました。
しばらくすると前の高校生がヒソヒソと喋っているのが聞こえてきました。
「このヒト男?女?」
ーヒソヒソ
ーヒソヒソ
わたしとKくんは何か会話はしていたと思いますが、わたしはKくんとの会話はすでに上の空、Kくんは聞こえてるのか聞こえていないのか、、、わたしは目の前のヒソヒソが気になって気になって、、、

立ち上がって
「このヒトが男でも女でもアンタたちになんの関係があるんだ!?全部聞こえてるわ!!」

という妄想が膨らんで膨らんで破裂しそうになったとき、わたしたちが降りる駅に到着しました。
わたしは必要以上に勢いよく立ち上がり、高校生どもを睨めつけながら電車を降りました。

後でその妄想を話したとき、Kくんは
「僕はこんなのだけど、えこえこは気にしないで」と言っていました。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?