9月にセミが鳴いていた話〜推しメン伊藤純奈が乃木坂46を卒業した〜
8月31日。夏の終わりを告げる時、多くはセミたちは鳴き止む。僕はそれを「セミ・ファイナル」と呼ぶ。
「いや、普通の人は呼ばないから」と言われたけど。
しかし9月になったと言うのにセミは鳴き続けている。温暖化の影響なのかは分からない。最後の必死の叫びかも分からない。
8月31日、僕の推しメン伊藤純奈はアイドルグループ乃木坂46を卒業した。本来であればセミの鳴く最後の時期。それでもまだ、構わずにセミは鳴いていた。
僕が伊藤純奈に惚れた理由が、エチュードだとかトークだとかそう言うところだった。もちろんもっとある。
「沈黙の金曜日」というラジオ番組でアルコ&ピース酒井さんが「何でお前アンダーなん?」と言っていた。
アンダー:表題曲をテレビで映される選抜メンバーになれなかった人たちだが、選抜メンバーが他の仕事でテレビ出演する際にはアンダーメンバーが代わりに出演している。
これは僕の中では、伊藤純奈を応援している一般人のファン側が言っても正直あまり効果は無く、アルピー酒井さんが共演してこの発言が出たからこそ僕の中で本当に誇らしい人を推したと自覚した。
もっと言うならば僕の好きな伊藤純奈は、普段メンバーからはアニキだとかイケメンだとか姉御と言われている。わかる。
しかし、モバイルメール(有償メール)では可愛い伊藤純奈を見れたことがとても幸せだった。
本人はキャラクターか、本当にそれが気に入っているのかなんて僕には分からない。ただのファンだからだ。それでも、僕はこの伊藤純奈の頻度もブログより高く、近さを見れるモバイルメールでお菓子作り報告やお花屋さんへ行く話など可愛いエピソードが大好きだった。
「格好いい面と可愛い面、どちらが本当か」
なんて言うのは、僕にとってはわからなかった。それが全て本当であればギャップ萌えってことで好きだし、演技ですよなんて言われても
「じゃあ演技上手いじゃん」
となるくらいに、どっちでもいいくらいに大好きだった。
伊藤純奈は選抜未経験だった。毎度僕は選抜に入ってくれたらと願った。地上波のテレビで伊藤純奈の姿を。トークも歌も好きだから。
近い時で言うと、2020年のレコード大賞で歌った「世界中の隣人よ」で出た時は涙が出た。その前のNHK「シブヤノオト」でも結構映ってくれた。同年の紅白は「Route246」という小室曲には選抜ではない分全員出れる分僕は伊藤純奈を探していた。
伊藤純奈が地上波に出る度に僕は大きいテレビ画面の前を占領し、ティッシュが切れトイレットペーパーで涙と鼻水を出すくらいに嬉しくて仕方が無かった。
乃木坂46の8thバスラでは歌要員として多く出てくれた。
心から嬉しかった。
2期生ライブの初回は新型コロナウイルス感染防止のために中止された。伊藤純奈はセンターで「(橋本)奈々未さんリスペクト軍団」の意思を持つ者として本来橋本奈々未さんがセンターで卒業する曲を歌うはずだった。
翌年にその夢は、無観客ではあるものの、1年間、伊藤純奈が貫き通した「サヨナラの意味」を伊藤純奈がセンターで、橋本奈々未さんが歌うソロパートも歌うことが叶った。伊藤純奈本人の曲説明で「ラストチャンス」と言う言葉はとても重たいくらいに切なさと儚さを感じたあの日。この曲の最後の涙で確信もした。
僕はこの時に、この曲に対して、
僕なりの終わりを見れた
選抜メンバーに入って欲しいと思っていたけど実際は無理だった。その前に卒業を発表した。
不思議と受け入れられたのは、この「サヨナラの意味」を伊藤純奈がセンターでやったことだと思う。
お陰様でこの調子。落ち込んではいるけど希望を持っているのは全て2期生ライブでやってくれたから。
伊藤純奈は乃木坂46のメンバーでありながら舞台のスタッフさんと「また仕事をしたい」と言われるそんな、僕にとっては誇れる推しメン。
2021年8月いっぱいで伊藤純奈が卒業する日。8月31日。セミは変わらず鳴き続けていた。そして、伊藤純奈のモバイルメールの終了案内が届いた。
その時に僕は
「8月32日ならまだ8月いっぱいじゃないか!明日も8月が続いてよ!」
卒業に対し、始めはそんなに落ち込んでいなかったはずなのに。
きっと、発表から「あと約3ヶ月」
ここに僕は甘えていた。
僕は伊藤純奈が推しメンでも乃木坂46時代にLIVEで出会えなかった。だからきっと、僕の中ではこれからも、画面越しの憧れの人なのだと思う。
9月になってもセミは鳴き止まない。だから時間を惜しんでいる。セミファイナルの2021年8月31日。伊藤純奈は乃木坂46を卒業した。
それなのに、9月に入ってもセミだけは夏の名残を残しながら鳴き続ける。
僕はその寂しさに甘えて今年のセミの鳴き声が続くことを祈っている。
それでも伊藤純奈は9月には乃木坂46には居なくなっていた。
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