産後うつ増加が止まらない原因

産後うつになった当事者として考察を綴ります。

現状は10人に1人程度産後うつに陥るといわれており、コロナの影響でこのリスクが倍増したと言われています。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201016/k10012665491000.html
(NHK WEBニュースより)

 産後うつの原因を調べると、ホルモンバランスによるものという文献が主になっています。数字や根拠をもって示せるものが現状それだからでしょうか。それ以外の原因はまだ明らかになっていないとされています。(研究・調査の途中のようです)

 NHKのWEBニュースにもあるように3人中2人の母親は自分が「産後うつの可能性がある」と診断されたときに無自覚でした。私も例にもれずそうでした。

 産後うつを経験した私が思う原因は大きく分けて2つあります。
 「孤立」と「情報格差です」

「孤立」について
 子育て中に「孤立」していると"頑張りすぎ"に気づけないため、早期発見ができず末期の産後うつに陥ってしまいます。産後うつの予備軍の状態の時に家族や友人など周囲の人が気づくか、母親自身が気づくことが重要です。予備軍の時期であれば回復しやすいからです。(“予備軍”の時の具体的な兆候は https://twitter.com/atsuko_achan で呟いています)

 「孤立」には2種類あります。1つ目は、物理的にも精神的にも孤立しているケース。母親1人で子どもと過ごす時間がほとんどのケースで、家族や友人などおしゃべりができるひとがいない状態だと物理的にも精神的にも孤立した状態です。2つ目つのケースは、家族や友人などおしゃべりができるひとはいるものの、“本音で話しをする相手がいない状態”です。この状態は、物理的には(周りの人からみると)孤立していないけれど、悩みを誰にもうちあけることなく過ごしているので、精神的に孤立している状態です。

 私は後者の方で、精神的な孤立状態を7年我慢していたら『産後うつ』と診断されました。体調不良で、泌尿器科と呼吸器内科を受診したところ、両方の先生に「心療内科を受診ししてください」と言われて渋々受診し『軽度の産後うつ』と診断されました。

 晴天の霹靂でした。自分では「大丈夫!」と思っていたからです。だって、子育てをしていくには”多少”のストレスや我慢をすることは当たり前で「だってみんながふつうにやっていること」なんだから、私もできて当たり前だし、「つらい」なんて声にだしたら生まれてきてくれた我が子の存在を否定するみたいで…口が裂けても「つらい」なんて言っちゃいけないと思っていました。

 やっかいなのは、この”多少”の幅です。職業や勉強に得手不得手があるのに、子育てにも得手不得手があるという概念を持ち合わせていませんでした。「みんながふつうにやっていること」であったとしても、すごく努力をしないとそれができない人もいる。職業であればそれが理解され、転職したり、役割を変えてもらったりできるのに、こと子育てに関しては、それはできない。と思い込んでいました。

 わたし個人の「やりたい」「本当はこうしたい」を全部諦めて、寝不足は当たり前でストレスには耐えて、感じる理不尽さを飲み込んで…これが全部込みで「母親になる」ってことなんだ。と真剣に思っていました。日本中の母親を尊敬しました。日本中の母親が、わたしが想像していた「母親とはこうあるべき」という姿で生きているんだ。って勝手に思い込んでいたからです。

情報格差について
 いまでは、書きながら当時の自分の視野の狭さと、偏った思い込みに驚きますが、当時のわたしは真剣にそう思っていました。そして産後7年間その思い込みに気が付くことができませんでした。孤立の怖さは、自分が情報弱者だと気づけないことです。
 私が7年間思い込みに囚われていた理由は、その間コミュニケーションのあった自分や夫の家族とママ友、ご近所さんその3方全てが同じ「母親とはこうあるべき」という3歳神話や産後は自己犠牲は当たり前で子どもや夫第一優先で生きるべきという昭和的価値観のコミュニティとしか接点がなかったからです。コミュニティ格差による情報格差があります。

 時代は令和になり、男性育休取得の義務化が推進される中で、私がこの話をすると7年前だからでは?と、今はそんな人いないでしょ?!という言葉ともらうことがありますが、令和になった今も子育て現場にはこのような性別役割分業への同調圧力は大いにあります。オンライン子育て広場の運営で延べ1万人の親子と関わっている中で実感するのは、子育てを取り巻く環境はどんどん二極化しています。

昔のわたしみたいなママを誰ひとり取り残したくない。

私が #ママバラ を創業した理由のひとつです。
公式WEBサイト▶︎ https://mamabala.jp

NHKにて紹介いただきました
▶︎ https://youtu.be/AJ0XRABWfVc

NPO法人ママライフバランス 代表理事
ママライフバランス株式会社 代表取締役
上条厚子

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