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糸を手にしてから織物ができるまで。

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日々の仕事風景をすこしづつ切り取って、つづっています。 下絵→図案→紋意匠図→紋図→糸を選ぶ配色→機場で製織→完成! これらの工程で込められている思いや祈りなどに触れてもらえる機…
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2021年9月の記事一覧

工芸の新しい潮流をみた

工芸の新しい潮流をみた

先日、京都府乙訓郡の”大山崎”に行ってきました。

京都市内の地下には大きな水がめがあり、”おいしい水”もあるので、京都の南のほうには酒造メーカーが多数あります。

大山崎町にもいくつか酒造メーカーがあるのですが、先日行ってきたのは、

『アサヒビール大山崎山荘美術館』

という、JR大山崎駅から徒歩10分くらいの、天王山登り口から山手へとあるいたところに位置する、山の中の美術館です。

今回の目

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”おもいで織り”第2期分、織りあがりました。

”おもいで織り”第2期分、織りあがりました。

2020年秋から2021年春にかけて行われた、京都精華大学の”コラボレーション演習”という授業内で誕生した”おもいで織り”というサービス。

過去記事👇 よろしければご参照ください。

2021年の7月に京都精華大学と京都リサーチパークとの共催シンポジウムが行われたときに、

コラボレーション演習授業にお声をかけてくださった、国際文化学部の米原有二先生が登壇されていて、”おもいで織り”の出来上が

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椿の柄

椿の柄

先日、墨濃淡の図案をパソコンでぽちぽちと描いているのが楽しいということを記事に書いていました。

週があけて本日もまた、新作予定の”椿の柄”の紋意匠図をぽちぽちと描くことにとりくんでいます。

私たちが携わっている西陣織の機は、2400本もの長い経糸のがたてに通っているところへ、約6~10種類ほどの杼(ひ)をつかいわけて、緯糸(よこいと)を通し、ひと櫛ひとくし、筬(おさ)で抑えながら、約34センチ

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スミ濃淡を織物でつくる

スミ濃淡を織物でつくる

和紙に墨汁と筆とで描かれる濃淡には、独特の面白さがあるように感じています。

ちまたにはたくさんの画材がありますが、アクリルガッシュやポスターカラーや油絵具などのように、何度も上から色を塗り重ねられる画材とはその質感が全く違います。

”画材”として同じ目的のために存在しているにもかかわらず、その材質の違いが絵そのものの描き方も変えるし、同じような構図で同じような色味をえらんだとしても、全く異なる

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表と裏の世界

表と裏の世界

最近は自分たちの”創作”に取れる時間がふえてきていて、少しづつだけれど、織物でやりたいことが形になってきています。

今回は、龍の柄について書いてみます。

私たちの作っている織物は、経糸(たていと)2400本くらいを使用しています。

その2400本をざっくりと4分割して、緯糸(よこいと)をその経糸にからませて表と裏との”2層”の奥行きがある一枚の布へと作り上げていくのです。

【 表の層 】

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