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連載 #夢で見た中二物語 66

この星の終末期、世界は突如現れたバグによって侵食されていた。

どこから現れたのか一切分からないバグは、発見されると同時に、恐ろしいまでの勢いで世界中に広がった。

バグに飲み込まれた人や物は一瞬にして機能しなくなり、最後には存在しなかったも同然のように消え去ってしまった。

そのバグによって人々は徐々に居場所を失い、人間以外の動物や植物、世界そのものにさえも大きな影響を与えていた。

そんな世界の片隅にある小さな島に、船舶の製造や修理業を生業として生活している人々の工場があった。

そこで暮らす人々は長い間バグの脅威を避けて生きる事が出来ていたが、ついに島に上陸してきたバグによって逃亡を余儀なくされた。

戦おうとした者たちも大勢いたが、力でバグに対抗する術を持つ者は誰一人としていなかった。

島は完全にバグに飲み込まれしまい、この世界の希望はほとんど断たれてしまった。

そんな中でただ一人だけ、何故かバグの力を無効化し生き残ることが出来た少年がいた。

少年は元々捨てられていたところを船工場の主に拾われたのだが、自分が何者なのかは全く知らなかった。

少年は一人きりになってしまった世界で、最後に乗り込んだ船だけを頼りに大海原へ漕ぎ出すことにした。

長時間船を一人で漕ぎ続けて疲れ切ってしまった少年は、いつの間にか船の上で寝てしまっていた。

寝ている間、昔の楽しかった時代のことを夢に見ていた。

ふと目を覚ますと、目の前には浅瀬が広がっていて、そこに大きな洋館が突然建っていた。

周辺を見渡しても相変わらずの海ばかりで、他の島や大陸の気配は微塵にも感じられない。

自分が暮らしていた島さえも、少し行ったところに別の島があったので、ここは本当に隔離された空間に違いない。

怪しみながらも浅瀬に降り立った少年は、他にどうしようもないので洋館の扉をノックした。

すると扉が開かれ、それぞれメイドのような格好と執事のような格好をした人型のウサギが現れた。

そして何もかも知っているかのような雰囲気で、洋館の奥へと通された。

通された豪奢な部屋で少年が待っていると、先程のウサギ達と同じような格好をした人型のキツネが現れた。

どうやらそのキツネがこの洋館の主らしいのだが、初めは陽気に話をしていた口調が段々と変わってきた。

どうやらこのキツネは例のバグを世界に流し始めた張本人であり、何故この少年にだけバグが影響を及ぼせないのか興味を持ったらしい。

それ故にこの浅瀬におびき寄せ、話を聞く事にしたらしい。

こんなところにいては何をされるか分からないと危険を感じた少年は、キツネの目を盗んで部屋から抜け出すと、隠された罠だらけのこの屋敷から逃げ出す術を探り始めた。

☆☆☆

久方ぶりの夢物語は、少し前に見た内容のものとなります。

ゲームなどのバグ世界って、なんだか妙に惹かれるものがあります。

人間がプログラミングなどをして構成し作り上げたものなのに、作り手が意図しないような形で落とし穴や時空の狭間みたいなものが現れるのが興味深いです。

今回の夢は、そういった部分が現れたものなのかもしれませんね。

今回も、ご愛読いただき誠にありがとうございますm(_ _)m




中高生の頃より現在のような夢を元にした物語(文と絵)を書き続け、仕事をしながら合間に活動をしております。 私の夢物語を読んでくださった貴方にとって、何かの良いキッカケになれましたら幸いです。