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連載 #夢で見た中二物語 62

友人と共に海外旅行に行く事になり、旅支度を済ませてとある巨大駅へと向かう主人公の女性。

その駅は地下と一階が電車駅、二階と三階と四階がショッピングモール、五階と六階と七階(屋上含む)が飛行機の発着場になっている。

途中でパスポートを忘れた事に気付いた主人公が慌てていると、友人が大丈夫だと適当な事を言って(大丈夫な訳ない)、そのまま飛行機に乗せられてしまう(そもそも普通は乗れないと思う)。

飛行機が行き着いた先はヨーロッパとアジアの雰囲気か合わさったような見知らぬ王国で、しかも主人公は友人とはぐれてしまい、言葉も通じない地理も分からないその国の首都らしき大きな街を彷徨う事となる。



その王国の国王は好奇心旺盛で、先日王位継承の儀式を受けたばかりの青年だった。

その若さ故に国王という仕事に暇を持て余しといるように感じ、お忍びで元々興味のあった薬草屋を町の片隅で営み、変装しながら自らその店先に度々立っていた。

そんな国王がいつものように店先に立っていると、店の前にある階段に主人公が行くあてもなく座り込んでいる事に気付いた。

初めはかなり驚かれたが、話しかけてみても言葉が通じないし、完全に意気消沈しているようで、困り果てた国王は自分の直属の従者に連絡を取って、彼女の言葉が分かりそうな通訳がいないかと問い合わせる。

とりあえず主人公を店にかくまって、しばらくすると従者から連絡が入り、彼女の言葉が分かりそうな者がいるからコッソリそちらに送ると言う。

通訳が到着すると彼は妙な表情をしていたが、主人公が話す言葉を理解し丁寧に対応してくれた。

しかし通訳は一通りの話を聞くと、国王の方を再びみょうな表情で見てから言った。

通訳「彼女が話しているのは、この国のものではありますが・・・ずっと昔の言語です」

国王「ずっと昔とはいつ頃だ;具体的に言ってくれないか;」

通訳「そうですねぇ、大体千年くらい前のものでしょうか?」

国王「ふざけているのか?」

通訳「いくら親しくとも、王様に対してふざけるものですか;」

国王「・・・つまりこの女性が嘘の言語で語っているのでなければ、タイムトラベルでもしたという事か・・・
   しかし、彼女はそもそも何と言っている?」

通訳「大体、貴方が今言ったような流れで間違いはなさそうですね
   友人と海外旅行でパスポート無しに飛行機に乗ったそうですが、この国に着いてから友人とはぐれてしまい街をさまよい歩いていたのだと」

国王「という事は、もう一人いると言うことか」

通訳「しかし、その友人とやらも少し怪しいですね
   この女性はパスポートを忘れた事に飛行機に乗る前に気付いたそうですが、彼女の友人はパスポート無しに飛行機に乗って大丈夫と言ったそうです」

国王「そして、この国に到着するや否や姿を眩ませたと
   新手の時空犯罪者か、最近多いみたいだからな
   遂に、この国にまで魔の手が及んで来たのだろうか」

通訳「十分あり得る話ですが、そうだとしたらその友人とやらの目的は何なのでしょうか」

国王「それはさすがに分からないな、直接聞くか何事が起きない限りは
   とにかくこの女性を保護しよう、ただし重々気をつけて」

通訳「分かりました、城の者を呼びましょう」



主人公は突然大きなお城のVIPルームのような所に連れて行かれ、混乱状態のまま待ちぼうけをくう事になる。

しばらくすると先程の青年、つまり国王が正装をして従者と共に現れた。

主人公は驚くが、国王は主人公の友人が見つかり帰る方法が分かるまではここにいてくれて良いと、主人公が分かる言葉で話をしてくれた。

どうやらこの短い期間で、国王は例の通訳から主人公の分かる言葉を勉強してくれたらしい。

しかしどうもその話では、主人公がこの国に到着した飛行場というものも存在していないらしい。

すでに迷子になった時点で主人公もその飛行場の場所を覚えていなかったのだが、その話を聞いて主人公は増々不安になる。

そんな主人公の心境を悟ってか、国王は出来る限りの事をしてあげるように従者に言う。

主人公はそのままその部屋を与えられ、しばらくそこで生活する事となる。



あれから一年ほど経ったが、主人公が元の世界に帰る方法も見つからず、むしろこの国の言葉がかなり話せるようになってだいぶこの世界に溶け込んでいた。

過去、つまり主人公が生きていた時代の話を色々語ったりして、歴史の修正に多く貢献していた。

その一方、主人公の存在を知った国の人達は彼女を怪しみ、時空犯罪者かスパイもしくは時空改変者のような者ではないかと怪しむ。

未だに主人公の友人は見つからず、時空を飛び越せるような飛行場や飛行機の存在も分からず、主人公もほとんど諦めかけていた。

相変わらず国王は親切にしてくれるし、自分の元悽世界に未練もないし、むしろもうこのままここにいても良いかと思い始める。

そんなある日、いつものように例の薬草屋でバイトの準備をしていると、突然フードを目深に被った怪しい女性が現れる。

主人公はすぐにその女性が例の友人だと気付き、彼女を問い詰める。

彼女が語るところによると、この時代の歴史はものすごく改変の手が入っていて、主人公にその歴史を元通りに修正させる為に一年間ここに置いていたのだと言う。

例の飛行機を用意したのも彼女で、実は彼女は今この時代の時空警察のようなもので、主人公の時代に行って主人公の友人となり、時空旅行へと誘ったのだと言う。

しかし歴史の修正をよく思わない者達も当然いて、そろそろ危ない頃だから主人公を迎えに来たのだと言う。

主人公は散々悩むが、ずっとここに居続けると自分の存在が時空間に歪みをもたらす可能性があると聞いて帰る事を決意する。

帰る際に自分がここに来た理由も友人の正体も決して誰にも語ってはいけないと諭され、主人公は人知れず友人と共に旅立つ。

ただ国王とその従者しか触れる事を許されていなかった引き出しに一通の手紙を滑り込ませると、その場から静かに立ち去った。



しばらくすると国王がいつものように変装してお忍びでやって来たが、主人公がいない事に気付き探し回る。

そんな中でふと例の引き出しが少し開いており、その隙間から白い封筒がのぞいている事に気付いてその手紙を引っ張り出して読み始めた。

「君に話をしてからにしようかと思いましたが、顔を合わせると別れづらくなるかと思ったので何も言わないまま去る事にします。

 拾ってもらった恩も返せず、君に疑問を残したままで消えるのは申し訳ないけど・・・

 多分また会えるはずなので、それまで待っていてください。」

その文面は国王にとって理解不能なものだったが、何故か不思議と安心感を感じ、その手紙を懐に仕舞って鼻歌交じりに店を開く準備を始めた。



無事に過去の世界に戻ってきた主人公は、いつものようにバイト先へと向かった。

過去の時代の例の旅行に出る前の日に戻って来たので、主人公がこの一年間この時代にいなかったという事実は誰にもバレずに済んだ。

例の友人は主人公の元を去り、再び時空警察の仕事へと戻っていった。

主人公がバイト先に着くとそこは小さな薬局で、そこの主人である一人の青年が既に開店準備を始めていた。

・・・例の未来の薬草屋の前であの国王に話しかけられた時、驚いたのは未知の街で見知らぬ話しかけられたという事だけではなかった・・・。

何故なら彼が、この薬局の主人にとてもよく似ていたからだ。

主人「やぁ、おはよう」

そう言われた主人公は、妙にニヤニヤしなから挨拶を返した。

主人公「おはようございます、王様」

☆☆☆


今年の初夢、少しだけ変えてありますが大体こんな感じでした。

多分主人公と国王は、年齢が同じくらい(大学生くらい?)かと思います(だから手紙で「君」と書いてる)。

最初の方に出てくる「飛行場」と「ショッピングモール」と「駅」の複合施設は、よく自分の夢に出てくる場所です。

ここに「学校」が加わる事も多いですが、とにかくメチャクチャ広くて薄暗い場合が多いですね(そして外は夜か夕方)。

絵にするのは難しいのですが、今回の夢は特に街の雰囲気がとても良かったです。

西洋風の雰囲気と東洋風の雰囲気が、良い感じで混ざっている感じでした(イラストはがっつり和風ですが)。

時空がなんとかとか、歴史改変がなんとかとか、完全にSFとかスチームパンクの世界観ですよね。

(国王と薬局の主人が似ていたのは、実際に繋がりがあるのか他人の空似かは不明です。)


今年は「宿命物語」の連載を完了させて、今度はまた別の物語の連載を始められたら良いなぁと一応思ってはいるのですが、まだ人前に出すのが躊躇われる出来なので、正直いつになる事やら分かりません。

なので、「宿命物語」の外伝まで全部投稿し終わった後は、しばらく「夢で見た中二物語」と「夢筆の抽象画」をupするかと思います。

(以前も、ラジオのどこかで言ったかとは思いますが。)


今回も、ご愛読いただき誠にありがとうございました m(_ _)m




中高生の頃より現在のような夢を元にした物語(文と絵)を書き続け、仕事をしながら合間に活動をしております。 私の夢物語を読んでくださった貴方にとって、何かの良いキッカケになれましたら幸いです。