#時空の森羅万象物語 第Ⅷ章第72節
さて、今まで名前は出てきていたものの、ハッキリと登場していなかったメンドン島へ、ようやく渡って参ります。
メンドン島は薩摩硫黄島をモデルにした想像上の島ですが、その他に口永良部島という屋久島にほど近い島もモデルの一部としています。
口永良部島は面積約36k㎡、人口百数人ほどの島で、屋久島の北西12kmの海上に存在しています。
口永良部島は屋久島町内に含まれ、漁業や農業が盛んな地域です。
数年前に地震や噴火が起きて話題になったのが、まだ記憶に新しいかもしれません(2015年に噴火したのは新岳)。
屋久島は地震や噴火などとほぼ無縁ですが、すぐ近くにある口永良部島は異なる火山帯にある為か活動が活発です。
時空物語での虹野島とメンドン島の距離感は、薩摩硫黄島というより口永良部島の方が近いです。
一方の薩摩硫黄島は面11.65k㎡、海岸線14.5km、最高標高703.7mの活火山【硫黄岳】を有する小さな島です。
硫黄島はランクAに相当する活発な火山で、有史以来度々の噴火が記録されています。
織姫さんが言っている通り、島を訪れて宿泊する人は、研究者であったり公共事業関係者であったりという事が多いようですね。
硫黄や珪石の発掘は平家物語での記述が残っているほど歴史の古いもののようですが、特に硫黄は国外から安価なものが大量に輸入された事により価格が暴落し閉山へと追いやられてしまったとの事。
かつては観光事業にも力を入れようとし、リゾート計画の一環としてクジャクを連れてきたそうですが、計画そのものが上手くいかずに放置されてしまった結果、島民よりクジャクの数の方が増えてしまったという話もあるようです。
現在は島にいくつかの民宿と自然の観光地があり、自然の中に温泉も湧いているそうなので、密かにいつか行ってみたいなと思っているところです。
(浅葱が例の夢の話をしているように、この黄色い海の話は第0章第0節の段階で言及しています。
あと一応補足として、火山の防災避難基準は「平常」「火口周辺規制」「入山規制」「避難準備」「避難」に分かれています。)
薩摩硫黄島がその北外縁にあたる鬼界カルデラについても、以前言及した事があったかとは思いますが、改めてもっと詳しく書いておきましょう。
鬼界カルデラは薩摩半島から約50km南の大隅海峡に存在する巨大なカルデラで、世界的にもトップクラスに危険なカルデラとして有名なようです。
2016〜2017年に行なわれた神戸大学の海底調査によると、直径約10km、高さ約600m(正確には589mとも)、体積約30k㎥にもなる巨大な溶岩ドームが確認されています。
万が一、今、鬼界カルデラの海底火山が本格的に噴火した場合、一億人が犠牲になる恐れがあると言われているほどの脅威的な力を有しているとの事。
メンドン島の名前の由来である仮面神【メンドン】は、旧暦8月1日の八朔太鼓祭りの際に現れる竹籠を元にした被り物で作られた神様で、その由来には「朝鮮出兵の凱旋祝い説」や「南方起源説」など諸説あるようです。
時空物語には出て来ませんが、屋久島の南方にあるトカラ列島などにも少し姿が異なりながらもメンドンと近いような仮面神がいたりするので、お互いに色々と影響し合っているのかもしれませんね。
例の山岳海洋森林祭は本番がまだ先ですが、少し前に屋久島の様々なお祭りのイメージを合わせていると書いたように、薩摩硫黄島や種子島のお祭りのイメージも取り入れているつもりです。
浅葱が壇ノ浦の戦いが云々と言っているのは、幼い安徳天皇が三種の神器の一つと共に海に沈んだはずだったのが、生き延びて薩摩硫黄島に辿り着いて余生を送った、と言われている話の事ですね。
真偽のほどはともかく、この辺りの話に関しては重要な点もありますので、また後ほど詳しく書いていこうかと考えております。
薩摩硫黄島の出現時期は織姫さんが言っている通りに7800年前の縄文時代とされているようですが、その辺りの話が屋久杉の年齢推定にも関わっているそうです。
カルデラを作るような超巨大噴火は、日本では過去15万年の中で少なくとも14回は起きているとの事。
日本列島の歴史で最も規模が大きかった噴火は、9万年前に起きた【阿蘇カルデラ】が出来た時のものなのだとか。
そして最も最近起きた超巨大噴火が鬼界カルデラが出来た時のもので、世界的に見ても新しく、過去1万年間で世界最大規模の噴火を引き起こしていたようです。
日本では約100万年前まで東北地方でもカルデラ噴火が起きていたが、それ以降はほとんど北海道と九州に限られているとの事。
桜島の大正噴火でも、その噴煙はカムチャッカ半島まで届いたという説もあるくらいなので、自然の驚異は一部で起きたとしても世界中に影響を与えてもおかしくはないみたいですね。
今回も、ご愛読いただき誠にありがとうございます m(_ _)m