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連載 #夢で見た中二物語 51

ふと目を開くと、たくさんの木々が生える自然の中の土手のような道の上にいた。

どうやってこの場所に来たのかという経緯も一切分からず、主人公はしばらくその場に立ち尽くしていた。

ふと背後を見るとそこは深い森の出入り口のような場所で、目の前に視線を戻すと拓けた風景が広がっている。

主人公は特に理由もなく、ただ自分が元々向いていた方向というだけで拓けた道の方へと歩き始めた。

初めの内はとても自然が多く、植物も動物も穏やかに暮らす優しい風景が広がっていた。

風が木々を揺らす音も小鳥がさえずる声も聴こえ良く、主人公は穏やかな心境で歩みを進めていた。



そうして歩いている途中、突然道の半ばに奇妙な格好をした老人が現れた。

老人は自らを占いが出来る秘術師だと言い、主人公に警告めいた様子で謎の言葉を投げかける。

その言葉を聞いた主人公は不気味に思い走り去りかけたが、ふと気になって老人の方を振り返ると老人の姿は消えていた。

不審に思った主人公だったが、老人の言葉と様子を思い出して恐れを感じながら再び道を進み始めた。



老人と出会ってから、主人公の進む世界は徐々に様変わりし始めた。

小動物たちは姿を消し、あれだけたくさん生えていた木々をはじめとした植物もだんだんと枯れたりして少なくなる。

そして主人公は荒れ果てた大地を目の前に見ることとなり、その内遠くの方で戦禍の響きが聞こえるようになってきた。

主人公は嫌な予感がして引き返すことも考えたが、この先に一体何が待ち受けているのか・・・

そして何が起こるのか気になり、しばらくは歩みを止めずに進むことにする。

ずっと変わらないのは土手状の一本道だけで、その周りでは大洪水が起きたり恐ろしい戦闘が巻き起こっていたり・・・

更に目の前の空に焼夷弾の雨が降ったり、武器を持った兵士たちが敵地へと向けて走り去って行ったりする。

すっかり別世界と化してしまった世界の中で、主人公は声もなく立ち尽くすしかなかった。

そして不意に踵を返したかと思うと、即座に”過去”へと向けて走り出した。



これから起こりうる、まだ変えることの出来る”未来”。

過去の時代に戻った主人公は、自然と平和のありがたみを感じながら草むらに寝転んで、青青とした木々と空を見上げた。

自然という言葉の中には、人間の本能的な争いの概念も含まれる。

そして自然の中で生きている限り、災害などからも逃れ得ない。

それならば自ら考え、出来うる対策を取りつつ平和を実行していくしかないのだろう。

そう考えながら主人公は、静寂の中で一人眠りについた。


☆☆☆


夢というのは楽しいだけでなく、怖い内容のものもあります。

今回の夢は、今まで見た中でも一番目か二番目かに怖い思いをした夢。

夢を見たりSFを読んだりすることの意味として、皆さん一人一人様々な考えを持っていると思います。

自分としては予言とかそういうものよりも、もっと現実的な実際に起こり得る可能性の物語として見ています。

そしてその実際に起こり得る可能性の物語には、必ず解決策があるとも思っています。

夢は、それを見ることで擬似的に経験した”本当の恐怖”や”その他様々な感情”を自ら実感することに意味があるのではないかとも考えてしまいます。

(※全て個人の意見です。)

皆さんも夢を見ている間、そこで起きた出来事を現実のものと思って怖くなってしまった経験はありませんか?

中高生の頃より現在のような夢を元にした物語(文と絵)を書き続け、仕事をしながら合間に活動をしております。 私の夢物語を読んでくださった貴方にとって、何かの良いキッカケになれましたら幸いです。