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朝と夜の間の微妙な時間

奇妙なものが動きまわり
私は目を覚ました

寝静まる空気を
そーっとそーっと
震わせて

ベッドから起きあがり

窓辺のカーテンを開ける

寝たくないと
ごねる月

早く寝なさいと
急かす
早起き鳥

まだ暗い窓辺の前に座り

詩集を取り出し
そっと
ページを開く

薄くて軽い詩集
きっと
すぐに読み終わる

私は
優雅にコーヒーを飲みながら

予想は外れた

ページという『世界の扉』を開いたら
心が震えて
『世界』から出れなくなった

扉を叩くように
ページを繰る

『さあ、そこに座って』

そこに並ぶ文字列が
胸を張り
『世界』を見せてくれた

悲しい詩ではないのに
涙が出てきた

心が震えていた
心が何かを叫んでいた

気がつくと
朝日はすっかりのぼり

家族の目覚ましが鳴った

私は
そっと
扉を閉めた

『また、きてね』

薄い詩集が
朝日を浴びて
にっこり笑って言った

涙を手で拭い

家族のための
コーヒー豆を挽いた

ガリガリという音が響き
「今日」という日の始まりを告げた

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