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忘れてあげない [詩]


「忘れてあげない」って言って
いつまでも傷ついていて
かわいそうな私のため
私は忘れなきゃいけない
大好きだったあなたたち

太陽が祝福している広い空が
花に水をあげる丁寧な愛が
なにひとつとして 私のものじゃない
そう思わされたようだった
憎たらしかったあなたたち

それでも私は息を吸う
目を細めて もっとぼんやりと
世界を見る

こんな私にも陽の光は降り注ぐ
眩い生命 新緑の間を縫って
風の届けてくれる香りを追えば
花が私に笑いかける

私の帰りを出迎えた
お伽話を着飾る夕焼け
か細く優しい三日月が微笑む

穏やかな夜だって私のものだ
寄せ集めの古い家具
人を思い出しながら作るご飯
静かに私を奮い立たせるレコード
小さな照明と本

深い眠り

手を繋いで笑い合う
ぐるぐる遠回りしながら
何か見つかるだろうか?
何も見つからないかも
それでもいいよね
あの超新星まで歩こう

朝になって、夢からさめる
しばらくは
音のない時間が続く

それでもカーテンをあける
光が差す
コーヒーを淹れる
またレコードをかける

たくさん繰り返す
思い出さなくなる時まで

来世でまた友達になって
きっと楽しいよ
だって、そうだったでしょう

忘れないで
私のこと忘れないで



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